Amazon広告をユーザーの段階に合わせて選ぶコツ
2019年4月19日発売の書籍『Amazon広告“打ち手”大全 最強の戦略77』の一部をWeb担で特別公開。
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ファネルに応じて
適切な広告メニューを選べ
認知・検討・購入・ロイヤリティの4段階を意識する
Amazonスポンサー広告の3つのメニューとAmazon DSPのターゲティングは、対象とするユーザーがどのような心理状態にあるかを踏まえて使い分けます。その基準となるのがファネルの概念です。
ユーザーの段階に合わせた広告の目的を意識する
ユーザーは商品を購入するまでに、さまざまなステージ(段階)を経るのが普通です。商品を知った直後、いきなり購入するユーザーはほとんどおらず、特徴や性能、内容などを詳細に調べたり、ほかの商品と比較・検討したりしてから購入に至ります。
こうしたステージを表現する際に、よく用いられる概念が「ファネル」〈※1〉です。以下の図は、ユーザーが商品を知ってから繰り返し購入するまでを「ブランド認知」「検討」「購入」「ロイヤリティ」の4つのステージに分け、それぞれにおける広告の目的を整理したものです〔図表10-1〕。購入ステージまではユーザーが絞り込まれていく様子を、ロイヤリティ以降は購入の機会や幅が広がっていく様子をファネルの形状で表しています。
※1 ファネル(Funnel)
本来は漏斗(じょうご)のこと。マーケティングにおいては、商品の購入や共有・拡散の各段階を表現するために用いる概念。
各ステージにおけるユーザーは「潜在層」「準顕在層」「顕在層」「既存顧客」とも言い換えられます。例えば、ブランド認知におけるユーザーはニーズが“潜在”している状態であり、広告によってブランドや商品を認知することで、次のステージへ移行します。
ブランド認知のステージではAmazon DSPが強力
Amazon広告に取り組むにあたっては、Amazonスポンサー広告の3つのメニュー、およびAmazon DSPにおけるターゲティングの設定を、各ステージに応じて使い分けることを推奨します。以降、1つずつ説明しますが、全体像は本節最後の図にまとめました〔図表10-2〕。
ブランド認知のステージでは、Amazonスポンサー広告の商品ディスプレイ広告、Amazon DSPのオーディエンスターゲティング、ライフスタイルターゲティングが有効です。より強力なのはAmazon DSPで、外部の大手メディアサイトなどに広告を配信できるため、大量のインプレッションを獲得することが可能になります。
商品ディスプレイ広告はAmazon内にしか広告を掲載できないため、インプレッションの面ではAmazon DSPに劣ります。しかし、クリック課金での出稿が可能で、CPCも安価に抑えられるというメリットがあります。
検討段階のユーザーにはスポンサープロダクト&ブランド広告
検討のステージでは、Amazonスポンサー広告の商品ディスプレイ広告に加えてスポンサープロダクト広告、スポンサーブランド広告も併用することをおすすめします。
この段階のユーザーは、Amazon内でカテゴリーキーワードや関連キーワードでの検索を数多く行います。例えば「ビール ギフト」「野球 バット 軟式」といったキーワードです。比較・検討の候補から自社商品が漏れないよう、検索広告を使ってしっかり露出し、商品詳細ページを見てもらいましょう。
Amazon DSPについては、購入直前のユーザーにリーチするホットカスタマーターゲティングや、既存顧客などのリストから作成した類似ユーザーを配信対象にして、購入までを意識したクリエイティブで訴求していきます。
購入/ロイヤリティでの検索広告は補助的に使う
購入のステージではユーザーのニーズが顕在化し、例えば「よなよなエール」「バット ミズノ」など、具体的な商品名やブランド名を含む指名キーワードでの検索が増えてきます。そうしたキーワードでスポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告を運用すれば、高いパフォーマンスが期待できるでしょう。
ただし、このステージではそもそも広告を出稿しなくても、売れる可能性が多いにあります。よって、さらなる広告費を投じて売り上げを増やそうとするのは、賢明な施策とはいえません。
指名キーワードの自然検索で商品やブランドを十分に露出できているなら、その分の広告費を別のステージの施策に割り当てるといいでしょう。もし自社の指名キーワードで競合の広告が表示されるなら、それを阻止するための運用を行います(142ページを参照)。
Amazon DSPについては、検討のステージに加えてリターゲティングとアドバタイザーオーディエンスが有効になります。自社のブランドや商品をすでに知っている人など、高いCVRが期待できるターゲティングに絞り込んでいきます。
ブランドロイヤリティのステージでは、すでに購入したユーザー、つまりリピーターが対象です。指名キーワードの検索広告がメインになり、購入ステージと同様の補助的な運用になります。(鳴海)
ファネルのステージによって、ユーザーの熱量も変わってきます。それぞれに適したキーワードやターゲティング、クリエイティブを考え、成果を見ていきましょう。
2019年4月19日発売の書籍『Amazon広告“打ち手"大全 最強の戦略77』をWeb担で一部公開中
ネット広告は「3強」の時代へ。
ECの本丸を攻略するための“打ち手"を先駆者が提案
Google広告(旧AdWords)、Facebook広告に続く運用型ネット広告として、「Amazon広告」(Amazon Advertising)が急成長しています。
その最大の強みは、Amazonが持つ圧倒的な規模の「購買データ」を利用できること。商品を買いたいユーザーが数多くアクセスし、実際に購入していくAmazonという場が広告プラットフォームとして魅力的であることは、もはや疑いようがありません。
また、Amazon広告では購買データに基づいたターゲティングにより、外部のメディアサイトやSNSに掲載した広告から、自社商品のAmazon詳細ページなどに集客することも可能です。顧客となりうるユーザーを幅広いサイトから的確に見つけて売り場に呼び込む、強力な販促手段として期待が高まっています。
本書では、コンサルタントとしてAmazon広告にいち早く取り組んできた著者が、Amazon広告の自社運用、および代理店に運用を依頼する際の具体的な“打ち手"を提案。前提として知っておくべき知識や心構えから、Amazon内の検索・ディスプレイ広告、Amazon外でのターゲティングやリマーケティング、広告の評価と拡大に向けた施策まで、成果につながるノウハウを体系的に解説していきます。
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