スポンサープロダクト広告はオートターゲティングから! 3つのメリットを理解する
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まずはオート
ターゲティングを始めよ
スポンサープロダクト広告をスピーディーに掲載する
Amazonの検索結果や商品詳細ページに広告を掲載するスポンサープロダクト広告では、2種類のターゲティングを利用できます。このうちの「オート」は、初めての運用時に大きなメリットを発揮します。
システムが商品に適したキーワードを自動選定
スポンサープロダクト広告には、ターゲティングの設定として「オートターゲティング」と「マニュアルターゲティング」の2種類が用意されています。このうち最初に開始すべきなのがオートターゲティングで、Amazon広告をいち早く軌道に乗せるうえで有効です。実施手順と詳細は以降で述べていきます。
オートターゲティング
宣伝する商品に適した検索キーワードをAmazonのシステムが自動的に選定し、それが検索されたときに広告を表示します。また、関連商品などのASINが自動選定され、商品詳細ページにも広告が掲載されます。
マニュアルターゲティング
広告を出稿する検索キーワードや関連商品などのASINを、運用者が手動で選定します。広告が掲載されるキーワードや商品詳細ページを厳密にコントロールできます。
実施手順
- Amazonスポンサー広告の管理画面でキャンペーンを作成し、[スポンサープロダクト広告]を選択する。
- [キャンペーン名]と[1日の予算]を設定し、[ターゲティング]で[オートターゲティング]を選択する〔図表20-1〕。
- 広告の出稿対象となる[商品]を設定する。
- [デフォルト入札額]で入札単価〈※1〉を設定する〔図表20-2〕。
※1 入札単価
広告の1クリックに対して支払い可能な最大金額。実際にかかるクリック単価(CPC)はこれよりも低い金額となるが、入札戦略によっても入札単価は変動する。
最低限の設定項目で広告をすばやく掲載できる
スポンサープロダクト広告のオートターゲティングから開始すべき理由は、以下の3つのメリットが大きいためです。
- 運用スキルがほとんど必要ない
- 広告の審査がなく、すぐに出稿できる
- 実際に広告が掲載された検索キーワードや関連商品などのASINがわかり、ほかの施策を展開するときの参考になる
まず1つ目のメリットですが、オートターゲティングという名前の通り、高度な運用スキルは必要ありません。Amazonスポンサー広告の運用に初めて取り組むときには最適です。
実施手順の通り、キャンペーン名以外で設定が必要なのは[1日の予算]と[商品]、[デフォルト入札額]の3つだけです。キーワードやASINの選定、ROASの最適化は自動で行われます。Always-onで広告を配信する場合、終了日の設定は不要です。
デフォルト入札額については、最初から「40」円に設定されています。そのままでもいいですし、50円など少し高めにしてもいいでしょう。筆者の経験上、100円以下でも十分によい結果が出る傾向があります。
商品情報がクリエイティブとなるため審査は不要
2つ目のメリットは、スポンサープロダクト広告では商品情報そのものが広告のクリエイティブになることと関係します。商品情報はAmazonに出品する時点ですでに審査が完了しているため、広告の出稿時点での審査はありません。よって、広告を掲載したいと思ったとき、すぐに出稿できます。
Amazonスポンサー広告のほかのメニュー、スポンサーブランド広告と商品ディスプレイ広告では広告の見出しなどを新規に作成するので、必ず審査があります。スピーディーにAmazonでの売り上げを増やしたいときにも、スポンサープロダクト広告が最適です。
ほかの広告メニューのためのキーワード候補がわかる
3つ目は、キャンペーン開始後のレポートがもたらすメリットです。スポンサープロダクト広告をオートターゲティングで配信していくと、実際に広告が掲載された検索キーワードごと、および関連商品などのASINごとにデータを取得できるようになります。
検索キーワードのうち、特に購入につながっているキーワードがあれば、スポンサープロダクト広告のマニュアルターゲティングやスポンサーブランド広告の出稿対象にして、さらに広く配信することを検討できます。また、商品詳細ページに表示された広告の成果を分析し、パフォーマンスのよいASINをマニュアルターゲティングに追加するのもいいでしょう。
スポンサープロダクト広告のレポートは、管理画面から以下の実施手順で作成します。
実施手順
- Amazonスポンサー広告の管理画面でキャンペーンの一覧を表示し、[広告レポート]を選択する。
- [すべてのキャンペーン]で[Sponsored Products]を選択する。
- [レポートタイプ]で[検索ワード] などを選択する〔図表20-3〕。
- [レポート名]や[レポート期間]などを設定してレポートを作成し、ダウンロードする。
想定外の競合商品や併せ買い商品の発見も
オートターゲティングのレポートについて、やや深掘りした分析方法も紹介しておきましょう。
検索キーワードごとのレポートには、自社商品に関連するカテゴリーキーワードや指名キーワードだけでなく、競合商品や競合他社に関連するものも登場します。そのため「自社商品が他社のどのような商品と比較されているのか?」を知る手がかりになります。想定内の競合であれば目新しい発見はないのですが、思いもよらない商品や企業と比較されているかもしれません。
関連商品などのASINでは、通常は自社のほかの商品や競合商品、同一または関連カテゴリーでよく併せ買いされる商品の詳細ページが購入につながりやすく、レポートでのパフォーマンスも高くなります。しかし、まったく関係のないカテゴリーの商品詳細ページから購入につながっていることも、まれにあります。
日本最大級の品揃えを誇るAmazonでは、実店舗や自社ECではありえない併せ買いが起こります。こうしたAmazonならではの気付きが得られるのもオートターゲティングのメリットです〔図表20-4〕。
新商品では広告の表示回数が伸びないことも
ただし、オートターゲティングでは以下のいずれかに該当する場合は広告が掲載されにくくなり、期待した効果が得られないことがあります。
- 出稿対象が新商品である
- 商品詳細ページの情報が不足している
新商品の場合、Amazonにその商品の購買データが不足しているため、最初のうちは広告がなかなか掲載されない傾向があります。レポートで取得できるインプレッションの数値を注意深くチェックし、不十分であれば入札単価(デフォルト入札額)を上げるなどの対応をしましょう。それでもインプレッションが増えないなら、オートターゲティングはいったん諦めて、キーワードを手動で設定するマニュアルターゲティングに切り替えます。
既存商品でインプレッションが伸びない場合は、商品詳細ページの情報が不足している可能性を疑います。オートターゲティングでは商品詳細ページも参考にしてキーワードを選定しているため、コンテンツが不足していると、然るべきキーワードで広告が表示されません。商品詳細ページの改善についてはChapter 4で述べますが、常に充実したコンテンツを用意してください。(鳴海)
スポンサープロダクト広告のオートターゲティングは、ほかの広告メニューへと広げる起点になります。運用後のレポートを参考に、施策の確度を高めていきましょう。
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ネット広告は「3強」の時代へ。
ECの本丸を攻略するための“打ち手"を先駆者が提案
Google広告(旧AdWords)、Facebook広告に続く運用型ネット広告として、「Amazon広告」(Amazon Advertising)が急成長しています。
その最大の強みは、Amazonが持つ圧倒的な規模の「購買データ」を利用できること。商品を買いたいユーザーが数多くアクセスし、実際に購入していくAmazonという場が広告プラットフォームとして魅力的であることは、もはや疑いようがありません。
また、Amazon広告では購買データに基づいたターゲティングにより、外部のメディアサイトやSNSに掲載した広告から、自社商品のAmazon詳細ページなどに集客することも可能です。顧客となりうるユーザーを幅広いサイトから的確に見つけて売り場に呼び込む、強力な販促手段として期待が高まっています。
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