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透明性100%のデジタル広告配信のために! アドベリフィケーションの必要性を正しく理解しよう(第1回)

アドベリフィケーションはベンダー丸投げではダメ! 広告主も正しい知識と運用を知っておこう。

デジタル広告の仕組みが複雑になるにつれて、広告詐欺やブランド棄損などの新たな課題が浮き彫りになってきています。支払った広告費が目的にかなった効果を上げているかを確認するには、アドベリフィケーションの検討・導入が必要です。

昨今、デジタル広告市場、中でもプログラマティック広告の市場はめざましい成長をとげています。その一方で、直近では「漫画村」のような違法サイトへの広告掲載や不正サイトにおける広告詐欺など、デジタル広告の仕組みを悪用した犯罪も表面化しています。

その際、必ず出てくるキーワードが「アドベリフィケーション(広告を検証する仕組み)」です。本サイトの読者の皆さまもおそらく一度は耳にされたことがある、もしくは、すでに取り組んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「アドベリフィケーションは専門のベンダーに任せておけばいいのではないか」とお考えの方も多いかもしれませんが、広告主も正しい知識と運用を知っておかないと、十分に効果を上げることができません。

第1回となる今回は、まずアドベリフィケーションへの必要性を理解していただくことを目的としてお話しさせていただきます。

アドベリフィケーションとは?

アドベリフィケーションとは、ad(広告)とverification(検証)という名前のとおり、「広告を検証する仕組み」です。

広告の何を検証するか、というと、たとえば、

  • 違法なサイトや反社会的なサイトに広告が表示されていないか
  • ちゃんと人が広告を見ているか
  • Webページの見える場所に広告が表示されているか

などです。

では、どうして広告を検証しなければならないのでしょうか。

それは、プログラマティック広告を配信・表示するテクノロジーが複雑化し、広告が正しい成果につながらないような表示のされ方をしていたとしても、すべてを人の目で確認することが困難になってきたからです。

こういった背景があり、広告を検証する仕組みであるアドベリフィケーションが求められるようになったといえます。

アドベリフィケーションで何を検証するのか?

アドベリフィケーションで検証する事柄は、大きく分けると、以下の3つです。

  1. ブランドセーフティ
    広告主のブランドイメージを低下させるようなサイトに配信されていないか

  2. アドフラウド
    広告詐欺がおこなわれていないか

  3. ビューアビリティ
    ユーザーが広告を視認できるように表示されているか

図1:アドベリフィケーションの3つの要素

それぞれどういうものなのか、くわしく説明していきましょう。

ブランドセーフティとは?

ブランドセーフティとは、その名のとおり、brand(ブランド)のsafety(安全性)を検証することです。具体的には、広告主のブランド毀損につながるようなメディアや、適正なメディアであってもその広告には適さない面(ページや場所)に広告が配信されることを防ぐといった内容です。

たとえば、公序良俗に反するカテゴリのページに表示されていた場合、広告主のブランド毀損につながる可能性がある、というのは非常にわかりやすい例です。それ以外にも、

  • 自社の業績不振に関する記事
  • 自社プロダクトについてのネガティブな記事
  • 競合プロダクトを扱われている記事

の場合はブランド毀損リスクありとする、といったように、広告主ごとに独自に基準を定められているケースもあります。

ここで注意したいのは、日本市場の独自性についてです。

たとえば、海外ではブランドセーフティにおける排除カテゴリとして一般的なものに、「銃器などの武器についての情報を取り扱う面」が挙げられますが、日本語のサイトではほとんどありません。

一方で、UGC(User generated content)のなかでも悪質な「まとめサイト」のようなWebサイトは日本独自のものです。また、日本語は英語と比較すると、自然言語処理の難易度が高いと言われています(正確には中国語や韓国語などのダブルバイト言語全体で同様の傾向にあると言われています)。

ブランドセーフティについてはこういった日本の独自性も鑑みたうえで、どのような面を「ブランド毀損リスクあり」と判定するか、慎重に見極めて運用する必要があります。

図2:ブランドセーフティの例

アドフラウドとは?

アドフラウド(ad fraud)は、ad(広告)のfraud(詐欺)という直訳のとおり、広告詐欺を意味しており、広告の表示回数やクリック数等を不正に水増しして、過大な広告料金を請求することです。

広告業界の中には、「人でないトラフィックによる広告表示をアドフラウドとする」と定義するケースもあります。一方で人が介在するアドフラウドも存在します。たとえば、大量のスマホを用意して人力でクリックを引き起こす「クリックファーム」というものです。

そのため、グローバルではもう少し広範なものとして、人が介在する/しないを問わない「Invalid Traffic」(=無効な(invalid)トラフィック。略してIVT)が定義されており、その中にアドフラウドが位置づけられています。

さらにこの無効なトラフィックであるIVTはGeneral IVT(GIVT)とSophisticated IVT(SIVT)に二分されています。非常に簡単に説明しますと、悪意のないIVTがGIVTであり、その逆に悪意を持って行われるのがSIVTということです。このSIVTを発生させる手段の1つがアドフラウドになります。

※ IVTの細かな定義についてはMRC(Media Rating Council)のIVTに関する資料をご覧ください。

GIVT(悪意のない無効なトラフィック)とSIVT(悪意のある無効なトラフィック)、それぞれの例をあげてみます。

GIVT(悪意のない無効なトラフィック)

GIVTにあたるのは、たとえば、検索サイトやウイルス対策ソフトによるクローラーによって発生する広告トラフィックです。別の目的のためのクローリングを通して副次的に発生した広告トラフィックはGIVTに分類されます。

SIVT(悪意のある無効なトラフィック)

一方SIVTですが、Hidden Ads(隠し広告)やAd Injection(広告の不正挿入)を始めとした価値のあるコンテンツを持たない違法なメディアを運営する事業者が、広告主から支払われる広告予算を正当なメディアから横取りすることを目的としたトラフィックについては、SIVTとして分類されます。

これらのSIVTについては手法が広範に渡るうえに日々新たなフラウド手法が生み出されています。また、反社会勢力の資金源の1つとも言われていますので、そういった情報をリアルタイムにキャッチアップできているかが、アドベリフィケーションツールを提供するベンダーを選定する基準の1つになります。

図3:アドフラウドの例

ビューアビリティとは?

ビューアビリティ(viewability)とは、「広告が閲覧される機会にあるか」ということを指します。

一般にデジタル広告は、広告主が選定した配信事業者によって、対象となるメディアに配信されます。しかし、「配信された」=「広告が閲覧される機会にあった」というわけではありません。

具体的には以下の図2にもあるように、ページ最下部の枠に広告が配信された場合、ユーザーがスクロールせず次のページに遷移してしまうと、広告の配信はされたものの閲覧はされていないことになります。これはATF(Above The Fold)のようなファーストビューの枠の場合でも同じことが言えます。

※ATF(Above the Fold)とは、「ファーストビュー」と同じ意味で、ユーザーがWebページを表示したときに、スクロールせずに閲覧できる領域のことです。

図4:配信はされたが閲覧されない広告のイメージ

例をあげると、特定のメディアのページに訪問した場合にお気に入りのコンテンツを見たくてすぐにページをスクロール、もしくは次のページに移動する、といった行動は皆さんも取られているのではないでしょうか。

実際のところ、「配信インプレッション」と「閲覧される機会にあったインプレッション」における乖離は、どうしても一定数発生してしまいます。

そこでMRC(Media Rating Council)やIAB(The Interactive Advertising Bureau)といった広告業界団体では、「ビューアブルインプレッション(viewable impression)」という定義を策定しました。

具体的に、ビューアブルインプレッション(viewable impression)とは、ディスプレイ広告の場合、広告面積の50%以上が画面に1秒以上表示された場合にカウントするといったものです。

これを用いることにより、配信実績だけではなく、広告の閲覧機会にあったインプレッションを可視化することが可能です。

海外でのアドベリフィケーションの浸透は2011年ごろから

このようなアドベリフィケーションですが、インターネット業界の他の例に漏れず、2011年ごろからアメリカを起点として徐々に各国へ浸透し始めました。

なかでも、P&GのCBO(最高ブランディング責任者)が2017年1月のIAB年次総会で語った広告の透明性に関する非常に強い声明は、記事やYoutube等でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それ以前を見ても、2015年3月には、グローバルで展開する保険会社であるAIGが、クリックフラウド(クリック詐欺)を中心とした無駄なインプレッションには支払いを行わないといった動きがありましたが、先述のP&Gの声明がアドベリフィケーションへの業界認識を広めるきっかけとなったのは間違いないでしょう。

このように広告主が大きな声をあげることになったのは、その契機と言えるような出来事があったからにほかなりません。

アドベリフィケーション推進のきっかけとなった詐欺事件

細かな例まであげると枚挙に暇がないのですが、アドフラウドという文脈で見ると、2016年12月に起きたロシアのハッカー集団によって約200億円もの被害が明らかになった事件は業界を震撼させました。

このときに用いられたおもなアドフラウドの手法は、広告業界団体TAG(Trustworthy Accountability Group)の定義する「Falsely represent(オークションURL偽装)」でした。

Falsely represent(オークションURL偽装)とは、オークション(入札)をするページを偽装し、オークション時とは異なるサイトに高単価な広告を表示させ、不正に広告収益を得ようとする、いわば“なりすまし”による広告詐欺の手法です。

ブランドセーフティの文脈では、Youtubeのヘイト動画に広告が表示されてしまっていたことにより、2017年3月に大手広告主が一斉に広告ボイコットをおこなったのは皆様の記憶に新しいのではないでしょうか。

日本での漫画村問題

日本でも同様の事例は頻発しており、その中心と言えるのは直近の「漫画村問題」であったかと思います。

これについてはブランドセーフティ、アドフラウドの両要素を併せ持ち、またデジタル広告業界だけでなく国家まで巻き込むことになった問題でした。

重要な点は、ここで取られていたアドフラウド手法の1つに上記のロシアの事例でも利用されていたFalsely representが含まれていた、という点です。つまり、既出の手法である以上対策は可能であったということです。

アドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティのリスクはどれぐらいか?

それでは、これらのリスクはどれほど存在するのでしょうか。参考までに弊社がアドベリフィケーション推進協議会のホワイトペーパーで発表したNorm値(基準値、標準値)を紹介します。

それぞれで見ると、

  • アドフラウド:9.1%
  • ブランドセーフティ(リスク):11.2%
  • ビューアビリティ:41%

という結果になっています。わかりやすく言えば、アドフラウドの数値に関しては価値のない広告配信を行っている割合ということになります。

ブランドセーフティに関しては、ブランドイメージを低下させたり、ブランド自体の毀損につながっている可能性のある広告配信の割合を指しており、ビューアビリティの数値は全体のうち半数以上の広告が視認される状態になかったことを示す結果となっています。

このようなNorm値は弊社だけでなく各種アドベリフィケーションベンダーでも発表しており、また各国によって差異はありますが、共通する事項としてはどの国においても、アドフラウド、ブランドセーフティ、そしてビューアビリティにおいて一定のリスクは存在し、それを避けるためのアプローチとして各社アドベリフィケーションベンダーが機能しているということです。

図5:日本のプログラマティック広告におけるリスクの実態

真の広告配信の成果とは?

アドフラウド、ブランドセーフティ、そしてビューアビリティ、それぞれのリスクが避けられないなかでどうやって広告配信の成果を可視化していくべきなのか。

そこで、弊社では、アドベリフィケーションにおけるリスクのないインプレッションを可視化する「True impression」(真に価値のあるインプレッション)という指標を定義しました。

次回は、この指標を用いたプログラマティック広告における真の効果を可視化する仕組みや、適切な費用対効果を出す広告配信への対策をご紹介します。

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