これから始める最新アドベリフィケーション

ブラックリストを活用した、新しいブランドセーフティ・アドフラウド対策とは?(第4回)

企業や代理店単位の独自ブラックリストではなく、アドベリフィケーションベンダーが数億URLの解析結果をリアルタイムで更新するブラックリストの活用について解説する。

Momentum株式会社の柳谷です。

今回は、アドベリフィケーションに関して、

  • アドベリフィケーションベンダーによるブラックリストを活用したアプローチ

について説明します。

第2回記事で、以下の3つの方法をご紹介しました。

  • Post-Bid対応
  • Pre-Bid対応
  • 配信実績から作成したブラックリストによる対応

「Post-Bid対応」「Pre-Bid対応」は、アドベリフィケーションベンダーが提供している基本的な機能で、リスク回避において有効な対策ではありますが、それぞれに運用上の課題もあります。代理店・広告主のリテラシーによっては導入のハードルが高く、結果としてアドベリフィケーション導入の難易度も高くなってしまっていました。

そうした状況の中、新たなアプローチとして、「アドベリフィケーションベンダーによるブラックリスト」による対応が選択肢に加わりました。運用がもっとも手軽かつ費用もコンパクトという特長があります。今までアドベリ対策ができていなかった代理店・広告主も気軽に導入ができるため、今までになかった新しい対策方法として、今回はこれについて説明します。

Post-Bid対応は、余分な費用と工数が発生する

「Post-Bid対応」は、代替広告に差し替えることで、公序良俗に反する面への配信をブロッキングできます。しかし、広告入札後の実施となるため、広告主はブロッキング機能の費用以外に、広告入札の費用を負担しなければなりません。またPost-Bid対応の実施に新規の入稿が必要なため、人的工数が発生します。

Pre-Bid対応は、利用できるアドネットワークが限定的

「Pre-Bid対応」のメリットは、各アドベリフィケーションベンダーと連携しているDSPであれば、広告配信時にDSP側のインターフェース上で選択するだけで利用が可能であるなど、導入への工数がかからない点です。一方で、Googleディスプレイ ネットワーク(GDN)やYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)などの、広告主に広く利用されている主要なアドネットワークにおいては利用できないというのが現状です。

こういった状況の中、新たなアプローチとして「アドベリフィケーションベンダーによるブラックリスト」への注目が高まっています。

アドベリフィケーションベンダーによるブラックリストとは?

第2回記事で、「自社の配信実績から作成したブラックリストによる対応」には問題点として、「リストの更新頻度」に課題があるということをお話ししました。

ブラックリストを独自に作成する場合、高い頻度で更新しなければ有効性が保てません。インターネット上では日々新たなサイトや記事が生まれており、自社のブランド毀損やアドフラウドのリスクにつながるものも当然増えていきます。そんな中で、広告主や代理店が高い頻度でリスクを網羅的にカバーできるようなブラックリストを自社で作成し、更新していくのは非常に難しい状況です。この課題を克服する方法が、アドベリフィケーションベンダーによるブラックリストです。

アドベリフィケーションベンダーは、さまざまな広告配信プラットフォームと常時接続されていて、アドフラウド・ブランド毀損リスクのあるドメインや記事面等の膨大な情報をリアルタイムに、収集しています。つまり、つねに最新のブラックリストを生成し続けることが可能なのです。この「アドベリフィケーションベンダーのブラックリスト」を活用することで、広告主や代理店側でのブラックリストの更新頻度における課題を解決することができる、というわけです。

アドベリフィケーションベンダーのブラックリスト活用は、導入手順も非常にシンプルです。各種アドネットワークやDSPの基本機能として提供されているブラックリスト設定画面に、最新のリストを反映するだけで対策が可能です。Post-Bid対応のように入稿作業は必要ありませんし、Pre-Bid対応のようにアドベリフィケーションベンダーと連携済みのプラットフォームでしか利用できないという制限もありません。そのため、運用コストも従来の「Post-Bid対応」「Pre-Bid対応」に比べると安価となるケースも多いと思います。

ブラックリストが利用できるアドベリフィケーションツールは?

アドベリフィケーションベンダーによるブラックリストは、導入手順がシンプル、運用コストも安価とメリットの多い方法ですが、唯一欠点があるとすれば、ツールの選択肢が限られることです。

現状、ブラックリストが利用できるアドベリフィケーションツールは、弊社モメンタムが広告代理店向けのアドベリフィケーションツールとして展開している「HYTRA DASHBOARD」だけです。手前味噌になってしまい恐縮ですが、最後に「HYTRA DASHBOARD」について簡単に説明しておきます。

リアルタイム更新、高精度で豊富なリスト

「HYTRA DASHBOARD」では、ブランド毀損につながるドメイン、アドフラウドが頻出されるドメインをダッシュボード形式で広告代理店へ共有しており、これらのリストはリアルタイムに更新しています。

国内最多のアドプラットフォームとの連携によって収集される月間約1億URLもの膨大なサイトの中から、独自の日本語解析技術をベースに、まとめサイトをはじめとする日本ならではのカテゴリを網羅したフィルタによる機械判定に加えて、人的オペレーターによるダブルチェックを行った高精度で豊富なリストが特徴です。

HYTRA DASHBOARDのしくみ

国内大手の主要な広告代理店で利用

なお、モメンタムでは2019年1月より、「HYTRA DASHBOARD」を活用いただきながらアドベリフィケーションへの取り組みを積極的に行う広告代理店を「Agency Certification Program(ACP)」として認定するプログラムを開始しました。

このプログラムは広告主が、アドベリフィケーションに取り組むパートナー代理店を選定する際に指標の1つにしていただくことが目的です。すでにADK、オリコム、Supership、電通グループ、博報堂DYメディアパートナーズ、ハートラスといった国内大手の主要な広告代理店が認定を受けています。


アドベリフィケーションへの取り組みに対する意識は広告代理店各社で高まっています。今までに比べ、より安心な広告配信を提供するべく、広告代理店が主導となってアドフラウドの排除やブランドセーフティを行っていくケースは今後も増えていくと考えられます。

また、これからも日進月歩で新たなツールや対策方法が開発されていくはずです。対策の精度向上やコスト削減のために、定期的に情報をチェックするように心がけてください。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

RFP
RFP(Request for Proposal)は「提案依頼書」のこと。SIe ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]