3つの「好き!」がチームを本当の仲間にする!
こんにちは! LIONの内田です。
若手マーケターのリレーコラム、今回は私の順番です。
いきなりですが、みなさんはお仕事をするときに、どうやってチームづくりをしますか?
「あー、チームづくりとかコラム2回目にしてもう普通すぎる話題だな」と思ったそこのあなた! 侮ることなかれ。共通の目的のためにプロジェクトを進めていく共同体であるチームは、理想の仕事をするうえでもっとも大切なものと言っても過言ではありません。今回はチーム運営にあたって、私が大事にしているTipsをご紹介します。
チームづくりは「味方づくり」
これまで私はいろんなチームに所属して仕事をしてきました。現在はいわゆるクライアント(発注)側にいますが、前職はサプライヤー(受注)側だったので、オーナー的な役割とプロジェクトメンバーとしての役割、どちらも経験しています。
これまでの経験のなかで「チームづくりが上手だなぁ」と感じた人は、実は少数。パートナーとなる広告代理店に対してめちゃくちゃキツイ言葉であたってしまったり、施策の懸念点を指摘されると受け入れられなかったり……。ほとんどの人が、結果的にパワーバランスのおかしいチーム運営をしてしまうように思います。
かくいう私も、チームで仕事を進めることが得意ではありませんでした。やっぱり他のメンバーに忖度してしまったり、共通言語を持つ努力もせずに怒ったり……。でも、ふと気付いたんです。これって損してるなって。
やっぱり人は、楽しんで仕事がしたい。
大好きなもののために働けたらとても幸せ。
誰でもそうですよね? 逆に、嫌々やる仕事は実力の数パーセントも出せないものです。チームづくりやモチベーションコントロールが下手ということは、パートナーの実力を存分に引き出すことなく嫌な印象だけ植え付けてしまうブランド毀損に他ならないのです。
そして、私のような年代のマーケターにとって、チームづくりはもっと大きな意味を持ちます。すなわち、味方づくりです。
若手だと、まだまだ大きな権限は与えてもらえないし、意見もなかなか通りませんよね。でも、チームなら可能です。あなたの所属するチームが、あなたの希望になんとか応えたい! と思ってくれさえすれば、あなたは理想的な形でプロジェクトを動かすことができるのです。
本当の意味で仲間になれたという経験
私がチームづくりを大切にしようと意識し始めたのは、前職での仕事がきっかけでした。
当時サプライヤー(受注)側のツールベンダーで働いていた私は、広告代理店の担当者と一緒に広告主と打ち合わせをすることが多くありました。
まさにそこは、サラリーマンの世界。
絶対的に権限のある広告主と、要望に応えたい広告代理店の担当者。ツールベンダー側の担当者だった私は、広告主と言葉をかわすことさえ少ない上意下達の状態。
それが普通でした。これ以外の関係性を知らない私は、こうやって仕事は回っていくのだと思っていました。
でも、あるマーケターとの仕事で、大きな気づきがあったんです。
そのマーケターが中心となって運営されていたチームでは、まず“生活者に適切なタイミングで求められている情報を届ける”という共通の目標を掲げられていました。
そして運営にあたっては、「全員が平等に発言して、施策をより良いものにしていく」という基本方針にのっとり、毎週の定例会には、広告主、広告代理店、ツールベンダー、それに加えて普通は競合同士であるDSP企業数社も一緒に参加して、すべての担当者が平等に同じテーブルで議論をするよう促していました。
共通の目的に向かってすべての参加者が力を出し合う――それはまさに「理想的なチーム」でした。
施策はどんどん洗練され、新しいチャレンジがたくさん生まれました。私個人も、毎週の定例会への準備がどんなに忙しくても、「この人たちのために、生活者のために、頑張ろう!」と思えました。
きっとあのとき、あの場に参加していたメンバーは、実力はもちろん、それ以上に“気持ち”で仕事をしていたのではないかと思います。
1つの目標に向かって、会社や立場を超え、本当の意味で仲間になれたそのときの経験によって、私はチーム運営の醍醐味を知ったのでした。
チームを本当の仲間にするための3つのTips
さぁ、ここまでくるとチームづくりがしたくて仕方なくなっていませんか? ここで私が実践している“さらに楽しくなる”チームづくりの3つのTipsを公開します。
Tips① 好きな人と仕事をしよう
「え、なにいきなり……。そんなん良いチームになるに決まってるやん……」と思ったあなた、正解です。
生み出されるクリエイティブや戦略の練り方が好き! つまりその仕事っぷりが好き! と思える人と仕事ができると、とっても楽しいですよね。その熱量が、さらに良い仕事を生み出し、チームを1つの方向にまとめていきます。
1つだけ付け加えるならば、私は能力や人柄よりも“自分と価値観が合うかどうか”をとても重要視します。
一般的にも「仕事は人が大事」とは言われますが、その場合の「人」とは、おもに能力や人柄のことを指していますよね。
しかし、実はこれには落とし穴があります。
能力だけで人を選んでしまうと、施策も能力重視になってしまうことが多分にあるのです。「バズる」とか「高いCTR」とか「サイトセッション数が昨対200%成長」とか、そんな一時的で表面的な成果だけを追い求めることになってしまいがちです。
マーケターの任務は、生活者に適切に情報を届けること、自社のファンになってもらうことなのです。
一時的にバズったからって、残念ながら明日や明後日には忘れられてしまう時代。だからこそ、チーム一丸となって「ファンになってもらう」「生活者目線で居続ける」ことを大切にすべきです。
私は、この価値観に共感してくれる人こそ、チームメンバーとして迎えるべきだと思います。
それに、一時的にサイトセッション数が爆発するよりも、ファンを地道に増やすほうが、長い目で見れば売り上げにつながるはずです(詳しくは「ファンベース」でググってくださいね!)。
Tips② 好きなモノ・人を増やそう
一緒に仕事をしてみたい人が増えれば増えるほど、Tips①は簡単になっていきます。「この施策だったらこの人だなぁ~」と、ふだんから自然と考えてしまうからです。
私は、こっそりと“クリエイターズファイル”を作っていて、仕事をしてみたい人をつねにファイリングしています。そして、ぴったりな施策が生まれるとすぐにアプローチします。キャンペーンも動画も記事広告も、最近の私の仕事はクリエイターズファイルが火を噴きまくりです。
大切なのは、つねに情報収集を怠らないこと!
目にした事例が素敵だったらプランナーさんを探し出しましょう。ライターさんやフォトグラファーさんのTwitterアカウントをフォローしてみましょう。その人の哲学や価値観に触れることで、よりおもしろいプランニング案が浮かぶものです。
人だけでなく、広告を出稿するメディアも同様です。そのメディアが描いている世界を理解するようにしましょう。プランニングするときは、「このメディアでこんな企画をやっていたらとても読者に喜ばれそう!」という観点が重要です。
Tips③ なぜ好きなのかちゃんと伝えて、ファンになってもらおう
“仕事をしてみたい人”をチームに入れることに成功したら、次はその人にも好きになってもらう努力をしましょう。
この記事の前半で、「人は、楽しんで仕事がしたい。大好きなもののために働けたらとても幸せ」と書きました。その人がチームで楽しく仕事をしてくれるように、その人の実力が存分に発揮されるように何ができるか、チームのオーナーとして考えてみてください。
そのときに、大切になってくるのが「伝え方」です。
具体的には、自分がその人のどんなところが好きで、どんな企画をやってみたいのか伝えてみてください。好きな相手になら、きっと目を輝かせて話してしまうはずです。相手がおもしろそう!と思ってくれたら第1歩。
次は、あなたが担当する商品やサービスの好きなところを伝えましょう。人間くさくてかまいません。「とても便利な商品なのに、予算がなくて可哀想なんです」でもいいです。自分自身が自社のファンになってその熱量を伝えることで、まわりにファンを増やしていきましょう。
楽しんで仕事をしている人が、気を付けたい注意点
ここまでチームづくりのTipsをお伝えしてきましたが、最後に注意しておきたいことがあります。それは、「自分が経済の中心にいると思い込まない」ということです。
Tips①・Tips②は、自分の価値観で動くところが大きいです。これは、私が年代的に自社商品を使う生活者と近しい立場だから成り立っていると思います。もし自社商品やサービスを使う生活者と心を通わせられないと思ったら、自分の価値観だけに頼らないほうがいいでしょう。
そしてこれも忘れがちな観点ですが、おそらくマーケティング職の方々は、情報収集力や情報処理能力が異常に高いと思います。つねにトレンドを追い、時代の先端に触れる機会が多いからです。自然と、一般的な生活者とズレが生じてくるのです。このズレに注意して生活者目線になりながらプランニングしないと、とんでもなくアーリーアダプターで一部の人にしか響かない施策を生み出してしまいます。
と、最後に釘を刺す形になりましたが、次に挙げた3つの「好き」が、私が考えるチームづくりのポイントです。
①好きな人と仕事をしよう
②好きなモノ・人を増やそう
③なぜ好きなのかちゃんと伝えて、ファンになってもらおう
ここまでで、15回も「好き」と言いました(多すぎる……)。今、この記事を読んでいるあなたとも、今後、お仕事をご一緒することがあるかもしれません。そのときは、私の心からのラブレターをこころよく受け取ってくださいますよう、よろしくお願いします!
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