インタビュー

マーケティングのPDCAはどうすれば会社に定着するのか?

PDCAがどうしても会社に定着しないという悩みは、どうすれば解決できるのか? カギは、マーケティング活動の可視化にあった。
(左から)株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 内田康雄氏、川本聡氏、Datorama Japan株式会社 石戸亮氏

PDCAがどうしても会社に定着しないと悩んでいる会社は多い。そういう会社は往々にして、安易なツールの導入に走りがちだが、なかなかうまくいかないこともある。

ツールの導入は、会社にとっては劇薬だ。マーケティング活動はもちろん、会社の仕事の進め方や組織の連携などに大きな変化を及ぼす。結果、あらゆるところに歪みが生じて、かえってパフォーマンスが落ちてしまうというマイナスの可能性も生じかねない。

では、どうすればツールを導入して、マーケティングのPDCAを定着させることができるのか?

「カギは、マーケティング活動の可視化にある」――そのような視点でローンチされたのが、3社共同サービスの「CX Monitoring Dashboard with Datorama」だ。

※「CX Monitoring Dashboard with Datorama」は、株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(以下、BICP)と株式会社デジタルインテリジェンス(以下、DI)が、Datorama Japan株式会社(以下、Datorama)のプラットフォームを使いつつ、戦略策定やコンサルティングを行うサービス。

株式会社ベストインクラスプロデューサーズの川本氏、内田氏、Datorama Japan株式会社の石戸氏に話をうかがった。

「CX Monitoring Dashboard with Datorama」をローンチしたきっかけは?

―――なぜ、わざわざ3社共同サービスとしてローンチすることになったのでしょうか。

川本: BICPは今年で創業3年になりまして、これまで事業主の戦略策定や、顧客体験の設計などを支援してきました。また、Datoramaさんも私たちと同じタイミングで日本支社を開設され、プラットフォームとしての知名度を広めて定着させていく活動を地道にしてこられました。DIさんはデータ活用をベースにしたコンサルティングを得意とされてきたこともあり、いつか各々の強みを生かした新しい取り組みをしたいよねと、以前から代表同士で話していたことがきっかけです。

―――3年経って、機が熟してきたということでしょうか。

川本: そうですね。ようやくおのおの、自社の活動や製品が抱える問題や課題が明確になってきたということかもしれません。 たとえば弊社(BICP)でいうと、戦略を設計して、エグゼキューションをモニタリングしていくときに、その一連の流れをサービスとして定型化したいという課題が出てきました。Datoramaさんは、戦略から要件を詰めていくパートナーを探されていた。ちょうど、そのタイミングが一致したというのが、大きいと思います。

石戸: お客様からも、Datoramaも戦略に入ってほしいというご要望が強くあり、特に去年の中盤ぐらいから課題感としてありました。

内田: DI社は、これまでもデータ活用モデルの設計や、ダッシュボードの構築案件を数多く手がけてきました。最近は、「べき論」で終わらずに、ちゃんと現場で施策をチューニングできるようにすることまでフォローするケースも増えており、本サービスを機にお互いに課題解決力を上げていきたいと考えています。

川本: 我々は、策定するマーケティング戦略と連動して、さまざまなデジタルマーケティングツールの導入や運用支援も行っているのですが、「とあるツールを導入したけど、使いこなせない、組織に定着しない」という話を耳にする機会が多く、ずっと気になっていました。こういう場合は、導入プロセスに問題があることが多いので、すみやかにうまく使えない原因を探し、どこに問題があったのかを分析しないといけません。逆に言えば、それなしに次々ツールを入れ替えても何の意味もない。それなのに、単純にツールベンダーさんの問題にされていることが多いことには、疑問を持っていました。「CX Monitoring Dashboard with Datorama」というサービスは、それに対する問題提起という側面もあるのです。

(左から)株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 川本聡氏、内田康雄氏、Datorama Japan株式会社 石戸亮氏
(左から)株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 川本聡氏、内田康雄氏、Datorama Japan株式会社 石戸亮氏

安易なツール導入は仕組みの定着に繋がらない

―――安易にツールを導入する企業へのアンチテーゼ的な意味合いもある?

川本: アンチテーゼは言い過ぎですが、ツールを導入する際は、導入の前段階で、ちゃんと導入後の運用イメージを明確に持つことはとても大事です。 弊社(BICP)は、プロセスを大事にするマインドで仕事をしています。たとえば、いきなりツールを導入するのではなくて、1回、Excelベースでもいいので、帳票を作って回してみて、実用性の実感とメンバーがそれを見る習慣を付ける、というプロセスを絶対に入れています。その上で、ツールを導入し、画面を設計して環境を整えた後に、それをどう使っていくかというワークショップを行って、定着をさせる。我々の最終目標はツールの導入ではなく、ツールをきちんと使いこなしたうえで人と人を結び付けるところです。

内田: ツールの安易な導入と言うと、「データがあるから何かしよう」という発想から始まって、まずはDMPを入れよう、などというようにツールの導入自体が目的化しているケースが多い印象があります。そうなると、数値をなんとなく並べてはみたけど、結局何がやりたかったんだっけ、と運用に乗らずに終わってしまう。こういうケースを「仕組みドリブン」と言っていますが、そうではなく、「目的ドリブン」で行くべきです。ツールの導入前に目的を明確にし、それを達成するための一連のプロセス(CX)や発生しうる施策、各施策の役割を整理することが大切です。

川本: もう1つ大事なのは、重要な戦略ほど、部門を横断しているものが多いということです。 プロセス単位で見ていくと、最初は広告部管轄だったのが、後にCRM部に移管されていて、しかも、それぞれの施策に関するデータは繋がれることも共有されることもなく、断絶しているというケースは非常に多いです。 そこに我々のフレームワークを使って、顧客目線で整理していきます。横串にする思想でダッシュボードを使っていくことで、事業KPIも紐づくし、コミュニケーション戦略も作りやすくなる。この部分が「CX Monitoring Dashboard with Datorama」の一番のキモだと思っています。

MIとBIはどう違う?

―――ところで、ちょっと話が変わりますが、Datoramaはマーケティング・インテリジェンス(以下、MI)と呼称されていますが、BIとはどう違うのでしょう。

石戸: もともとグローバルでは、創業時からMIとして提供しているのですが、日本では分析ツールはBIの呼称のほうが認知が広いので、2015年のDatorama Japan設立時からしばらくは「マーケティングBI」と紹介していました。「マーケティングに強いBI」と言ったほうが、マーケターに興味を持っていただける可能性が高いと判断したためです。しかし、日本支社設立から2年以上経過し、やはりBIでは包含する分野が広すぎるので、改めてDatoramaはマーケターのための、マーケターが使えるMIですとお伝えしています。マーケティングデータのみならず、売上やPOS、CRMデータをDatoramaに集約・統合し、可視化することで、マーケティング施策全体を見通し、各施策の最適化を促し、マーケティングの意思決定のスピードアップをサポートしています。

MIとDMPはどう違う?

―――いずれにしても、データをたくさん溜めて施策につなげるというサービスですが、となると、DMPとどこが違うのでしょうか。

石戸: 我々としては、MIは、BIまたはDMPとはまったく違うものという認識です。 BIはあくまでシングルソースデータをSIでデータの整理から可視化していくまでの技法のこと。MIはビジネスやマーケティングに関わる全量データ(マルチデータソース)をできる限りSIなくデータ整理から可視化・意思決定する技法。MI、BIは、ビジュアライゼーションや意思決定に使われることが多いのがDMPとの大きな違いですが、実際、TREASURE CDPさんとは連携できる良きパートナーだったりします。 DMPとDatoramaの違いで説明しますと、多くのDMPは顧客IDに紐づいた顧客データを大容量で入れられるのが強み。自社ID、cookie、サードパーティデータなど、さまざまな種類のIDが顧客に紐づいたビッグデータを何でも入れられて、紐づけられる。それに対してDatoramaは、メディアのコストデータや売上の目標データなど、意思決定に必要なものを中心に入れます。DMPは補完関係になります。実際は目的も違うし、格納するデータもだいぶ違うのです。

―――Datoramaの導入って、大変なんでしょうか。

石戸: 難しくはありません。導入企業の1つ、大手外食チェーンの場合は、導入、要件定義から立ち上がりまで3ヶ月しかかかっていません。 むしろ、導入の前段階、社内外に散在しているデータの所在を知ることが重要です。広告データはどこの部署にあるのか、社内なのか? 社外なのか、社外なら代理店にあるのか、売上データは営業か? などです。システム導入の難しさというより、データが散在していることの難しさと言えます。

ダッシュボードに必要なデータとは何か?

内田: データを探して入れて整備するのは今後課題となってくるところかもしれません。ダッシュボードに必要なデータは2種類ありまして、1つは、打ち手系データ。施策効果を測るデータ基盤と多数連携しているDatoramaはこの手のデータ収集はかなり得意です。もう1つが、パーセプションフローごとのKPI。打ち手系データよりもう少し上段にある1段階的な態度変容をモニタリングするためのデータになりますが、そのデータを横断的に整備している会社はまだほとんどいないはず。ここに自社のデータを作って取り込んでいくことを、これからやっていかなければならないと思っています。

―――自社で全部統合して、パーセプションフローごとにデータを入れるって大変そうですよね。

川本: 最近は、部門を横断しようという動きが企業側にも増えてきていると感じています。先ほども、1つのプロセスにも関わらず、管轄部署が変更されると施策データが共有されないという問題を紹介しましたが、そもそも、そんなことが起きるのは、部署ごとに共通言語が違っているからなんですよ。だから、部署間の意思疎通が成り立たず、それぞれの部で、見えるものが違ってきたりする。 そういった問題を是正するために、最近、弊社が作戦立案をする際に、会議体で増えてきているのは、ステコミ(ステアリングコミッティ。プロジェクトの運営を行う運営委員会)です。皆が同じ画面を見ながら意思決定を行い、各々の施策をマークさせるといった会議体が増えてきています。大変と言えば大変ですが、ニーズとして重視されてきていると思います。

変化を定着させていくきっかけに

―――導入する会社自体に、PDCAの習慣がないとなかなか大変ですね。

川本: 確かにそうなんですが、ただ、部署ごとに、Excelで帳票管理をしている人って絶対いるはずなんですね。「CX Monitoring Dashboard with Datorama」は、それを部門ごとの連携を取りながら、可視化して、全社で何に役立っているか分かって、回るようにしたい、というところを支援するというものなので、必ず潜在的なニーズはあるはずなんです。それをどうやって、組織の課題として顕在化させるかですね。

内田: 同じ言うにしても、第三者が課題目線で言ってくれた方が進みやすいという意見もよくあります。

川本: 組織を変えたいという個人がいて、その人が声を発すると、その人は仕事ができる人だったりするので、そこにみんなならえになってしまう。それは企業としては健全ではない。だから、我々のような第三者が、組織を変えたいと願う個人の意思を汲み取りつつ、それ以外の方とも話し合いながら、どのように変化を定着させていくか、会議体としての横断型のやり方というのを、丁寧に行っているのです。

内田: ツールを導入して、その後に会社内の人たちがそれを使いこなせて、お互いにコミュニケーションを取れて、目的を持って施策を打てる。「CX Monitoring Dashboard with Datorama」はそのための基盤だと考えていますし、戦略や会社のあり方を変えたいと考えるきっかけになるお手伝いができればいいと思っています。

―――ありがとうございました。

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