「ダイナミック広告でプロスペクティング配信ができるようになった」これって何がすごい?
ダイナミック広告でプロスペクティング配信ができるようになったんですって!
これを聞いて「へー!」って意味がわかる人は、この記事をそのまま読み進めなくても大丈夫です。
「日本語なのに意味わからん」という人のために、フィードフォースの澤井和弘さん、中村直哉さん、北島舞さんにダイナミック広告やプロスペクティング配信、リターゲティング広告って何? そのメリットは? など詳しく聞いて来ました(以下、発話は敬称略)。
ダイナミック広告とリターゲティング広告について
――本当に最近のデジタル広告は複雑ですよね。まず、ダイナミック広告とはどんなものでしょうか?
澤井: 「ダイナミック広告」とはリターゲティング広告の一種で、ユーザーが以前に閲覧した商品や関連商品をアイテム単位で広告として配信できるものです。
たとえば、ECサイトならば商品単位、不動産サイトならば物件単位、求人サイトならば求人情報単位などのアイテム単位で、サイトに訪問したユーザーが見た商品やそれに関連する商品を個別に出しわけられる広告です。
ダイナミック広告を運用するうえで必要な要素が3つあります。
広告運用
管理画面を操作して入札金額を調整するなど。データフィード
企業が持っている商品やアイテムのマスターデータを、配信先の媒体に自動で変換して、配信する仕組みのこと(配信先の媒体(Criteo(クリテオ)やGoogleのダイナミック広告など)は、それぞれ独自の広告表示のフォーマットを持っているため、そのフォーマットに合わせてデータを変換しないといけない)。タグ
ユーザーがサイトの「どのページを見たか、どの商品を見たか?」といった情報を配信先の媒体に送ることで、その行動に合わせて広告配信ができるようになります。対象となるサイトのページに「タグ」と呼ばれるコードを埋め込むことで、ユーザーが「どのページを見たのか」といった情報を得られます。
――全員に同じ広告を出すというのではなく、個別かつアイテム単位で広告が出せるってことなんですね。では、次に、リターゲティング広告ってどんなものですか?
澤井: 「リターゲティング広告」とは、サイトに訪問してから何らかの理由で離脱したユーザーに対して、広告を表示できるものです。たとえば、ECサイトにユーザーが訪れて、商品を見たにも関わらず離脱してしまった場合などに商品をもう一度おすすめできる広告の仕組みです。
追従型広告、追っかけ広告っていうと、わかりやすいでしょうか?
Googleでは、「リマーケティング広告」と呼んでいますが仕組みは同じことです。媒体社によって名称が異なっているだけです。
プロスペクティング配信って?
――プロスペクティング配信とは?
澤井: 「プロスペクティング配信」とは、サイトに訪れていないユーザー(潜在ユーザー)にユーザーの興味関心がありそうな商品をアイテム単位で広告配信ができる仕組みです。
アイテム単位で広告を出せるという点では、最初に説明したダイナミック広告と同じなんですが、大きな違いは、サイトに訪れていないユーザー、つまり潜在層にリーチできるという点です。
ダイナミック広告やリターゲティング広告は、サイトに訪れたユーザーに対して広告を配信します。ですから、「刈り取り型」と言われるコンバージョンしてもらうことが目的の広告施策です。
一方、プロスペクティング配信とは、サイトに訪れていないユーザー(未訪問者)に広告を配信できるので、認知と刈り取りを同時に行うことができる広告施策として期待されていますし、FacebookやGoogleでは、最近このプロスペクティング配信という機能に力を入れ始めています。
――なぜそんなことができるんでしょう?
澤井: FacebookやGoogleはユーザー情報、たとえば行動データや閲覧履歴、位置情報、テキストデータなどのさまざまなオーディエンスデータを持っているので、自社のサイトで商品を購入した(コンバージョン)したユーザーと近い属性のユーザーを見つけられるわけです。
そして、その近い属性のユーザーに「興味があるだろう」という予測のもと、アイテム単位で広告を配信できるのです。
――プロスペクティング配信の具体的な例はありますか?
中村: アマゾンのおすすめ機能をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。たとえば、ビジネスシューズを買ったユーザーに対して、ビジネスシューズと一緒に使う確率が高いビジネスバックやスーツをおすすめする、ってことありますよね。
このおすすめの仕組みが、FacebookやGoogleでもできると思ってもらえるとわかりやすいかもしれません。
――プロスペクティング配信の凄いところは?
澤井: 潜在層にリーチできるようになったことは画期的です。今まで商品やブランドを知ってもらうような認知施策を広告で行うには、動画広告やディスプレイ広告が一般的でした。
でもその方法だと幅広く広告配信しないといけませんので、ユーザーによっては興味がない広告が表示されることになります。また、企業からすると詳細なターゲティングができないので広告費の無駄が多くなります。
興味のない広告が出続けることは、ユーザーにとって不快な広告体験につながり、ブランドイメージを下げる可能性にもなりかねません。いかに、ユーザーの興味関心にマッチした広告をピンポイントで出してマーケティングの精度をあげるか、ユーザーの広告体験を向上できるか。
こういった課題の改善にも期待されているのがプロスペクティング配信なのです。
広告運用担当者に求められるスキル
――どんなクライアントさんがこのサービスを使っているのでしょうか?
北島: 使われ方としては、もともとリターゲティング広告を配信していて、コンバージョンが減ってきた、という課題を抱えている企業さんがプロスペクティング配信を試してみるケースが多いです。
プロスペクティング配信は、興味関心があると予測されるユーザーに広告がアイテム単位で表示されるので、純粋に商品の良さを知ってもらってサイトに来てもらうことができます。これはリターゲティングの種を増やすことにもつながります。
規模感でいえば、商品取り扱い数が少ないからといって、できないわけではありません。ですが、アイテムの取り扱い点数が数千点以上の企業、たとえば、ECサイトや不動産、人材などで使われていることが多いですね。
――広告運用も複雑化していますよね、広告運用担当者さんに求められるスキルって?
澤井: マーケティングの知識に加えて、マスターデータや広告配信の仕組みを理解している必要があると思います。
マスターデータを取り扱って広告配信をしていくので、「自分たちのデータがどんなテーブル構成で管理されているのか、どこにどう保管されているか」を知っている必要があります。
さらに、そのマスターデータが「どう変換されて、どう媒体社に配信されているのか」も知っておいてほしいです。何らかのトラブルがあったときに、裏側の仕組みがわかっていないと、迅速に対処できないことがありますから。
「難しい!」といわずに、まずはやってみる
――広告運用担当者さんに一言お願いします。
中村: Google・Facebookのダイナミック広告は今後さらに伸びると想定しています。しかし、「難しくてよくわからない」という声もよく聞くので、難しく考えずにまずはチャレンジしてもらいたいですね。
とはいえ、クライアントさんのビジネス課題があって、それを達成するための手段ですから、広告配信をすることが目的になってはいけません。
成果を出すために、データ分析をして、仮説を立てて、PDCAを回していきます。広告配信を最適化するために、広告側だけではなく、サイトの改修を依頼させていただく場合もあります。
広告代理店任せにするだけでなく、マーケティング担当者さんも一緒になって課題に向き合ってもらえるとより良い成果が生まれるんではないかと思っています。そのための協力は惜しみませんよ!
北島: 昔に比べると広告に触れる回数は増えています。その分嫌われる可能性も高いです。
しっかりパーソナライズをして、ユーザーの興味関心があるところに広告を出していく。それができないと、ブランドが傷つきかねません。
ターゲティングをせずに広告配信をしている企業さんがあれば、「サイトに来訪しているユーザーから導き出された潜在層へリーチできる広告がある」ということをこの機会に知ってもらって、施策全体を見直すきっかけにしてもらえればと思います。
澤井: モバイルシフト、オンライン上の滞在時間は増える一方で、滞在場所が分散化していくはずです。ですから、アイテム単位で広告コミュニケーションをしていくことは必然の流れです。
プロスペクティング配信は難しいと思われがちですが、そんなことはありません。ちゃんとやれば効果は出ます。
自力でやってみてもいいですし、良い広告代理店を見つけて一緒にやるでもいいです。苦手意識を持たずにぜひ試してもらいたいですね。
――ありがとうございました!
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