ローカルSEOの最新潮流――最も重要かつ本質的なポイントはコレだ!(後編)
この記事では、ローカルSEOに本当に大切ことを解説している。文字が多く読みにくいかもしれないが、本当に大切なことが書かれているので、ぜひ最後まで読んでほしい。(Web担編集部)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、オフラインにおける取り組みがローカルSEOに与える影響と、ローカル企業が目指すべき進路について、そして最も重要な本質について、見ていく。 →まず前編を読んでおく
オフラインPRのジャーニーを取り込む
他のローカルSEO業者も同じ思いを抱くのだろうかと、ときどき気になることがある。というのも、20年か30年、さらには40年ものあいだ独自のマーケティングを展開してきた地域ビジネスの経営者と話をすると、頭の下がる思いがするのだ。
インターネット登場以前の時代を生き抜いたこれらの称賛すべき人たちは、
- 米国メモリアルデー(戦没者追悼記念日)セールに向けた店頭の飾りつけ方
- 顧客サービスを習得する方法
などだけでなく、
- 新聞
- 電話帳
- クーポンブック
- ラジオ
- ビルボード
- ローカルテレビ
といった広告をうまく使って破産せずにROI(投資利益率)を絞り出すかにいたるまで、あらゆることを決める責任を負ってきた。
私がコンサルティングをしたなかには、地域社会の中で自身のローカルブランドを築くための取り組みとして、オリジナルの短いメロディを歌うことまでしていた家族経営の事業主もいた。特に小規模な事業主は、生き残りをかけて、消費者へのアピールにすべてをかけている。
これに対して、ローカルSEO業界はまだ、ウェイサイド・イン(1797年創業)やメイシーズ(1858年創業)、フラー・ブラシ(1906年創業)などが築いた道を少しずつたどっている状態だ。地域の消費者に確固とした信念を持って販売しようとする事業者は、ビジビリティを求める検索のなかに、バーマシェイヴのビルボード広告から、地域の自動車販売店の「とんでもない」広告まで、あらゆるものに可能性を見出して(そして、その多くを試みて)きた。
1960年代、米国の老舗製粉会社ピルズベリーでバイスプレジデントを務めていたロバート・キース氏は、一部に消費者中心のマーケティングモデルの推進も含む事例記事を公開した。同氏の研究には批判が寄せられたが、その考え方には、今の時代の特に優秀なマーケターが支持しているマインドセットに類似したものも見られる。
「消費者中心であること」は「誠実であること」とほぼ同義となる場合が、きわめて多い。
オーガニックSEO業界が、偽物の信号でインターネットユーザーや検索エンジンを「だます」ことができたとしても、長期的には利益にならない――このことは、すでにグーグルがわれわれに教えてくれた。
同様に、このデジタル時代にあって、オフラインのパッケージやテレビ広告で不実なことをすればすぐに明るみに出て、消費者に広く知られてしまうだろう。
- タコスに実際は味付き牛肉が入っていないこと
- 12本入り炭酸飲料の実売価格が3ドルではないこと
- チューインガムには実際は殺菌効果がないこと
……こんな不正が暴露されたとしたら、消費者の反発をしのげるブランドはあるだろうか?
何十年にもわたって人々から支持を得ているメイシーズのような有名ブランドでも、店舗での魅力的な体験を継続的に生み出せなかったり、変化する市場での競争にうまく対応できなかったりすれば、ただちに店舗の閉鎖など深刻な損害につながることがある。
オフラインマーケティングは本当に難しい。
では、これがローカルSEOにどう関係するのか?
地域ビジネスの経営者は否定的な口コミを恐れると言われている。たとえば、こうしたものだ。
こうした状況が明らかになったとすれば、ローカルSEO担当者は、経営者と一緒になってこう言うのだ。
なんてことだ。連中はいったい何をやっていたんだ。どうすれば、この問題を解決できるだろう?
ローカルSEOという舞台では、次の2つの力が対峙するものだ。
- オーガニックSEO(高いビジビリティ)
- オフラインマーケティング(消費者主体)
店舗内における体験がどんなものかのイメージは、だいたいの場合は、グーグルの最初の数ページに出ているオンライン上の評判が出発点になる(もちろん、それは実際の店舗における顧客の体験が元になっている)。そこに見出したものに拍手を送ることもあれば、恐ろしさに震えることもある。
これは、何を意味するのか。
ローカルSEOの担当者としては、title要素の最適化やサイテーション(言及、引用)の管理に力を尽くしていればいいだけではなくなっているということだ。
というのも、私たちがオンラインに構築しようとしているのは、オフラインの世界を写したしたものであり、クライアントのオフライン店舗がもつ次のような属性をすべて反映するからだ。
- 消費者への保証ポリシー
- スタッフの雇用とトレーニングの実施
- クリーンさ
- 品質
- 価格設定
- 利便性
- 公平性や誠実さへの認識
- オーナー、管理職、スタッフの人柄
繰り返すが、上記のリストの各項目は、ローカルSEOで大切になる要因を述べている。にもかかわらずこれらは、オンラインにおける技術的な作業とは何の関係もない。すべては私たちが扱うビジネスの企業文化に関係している。
これは、どういうことか。
ローカルSEOに携わるのならば、オフライン世界における顧客サービスの基本的な仕組みを理解していなければ、成果を出す能力を十分には備えていないということだ。
ローカルSEOを進めようという人は、
- ローカルプロモーションの管理
をなんとかしなければいけないのと同時に、
- ビジネスのUSP(Unique Selling Proposition:独自の強み)が何かを見極める
必要があるのかもしれないのだ。
私たちはローカルSEOの案件にはリモートで対応すること画多い。そうした場合、クライアントのホテルや医療機関をじかに訪れることはできないため、(消費者と同じように)オンラインで目にするものからヒントを集めるしかないだろう。
しかし、それに加えて、伝統的なマーケティングの歴史についての知識を身につけていれば、より権威を持ってアドバイスしたり、店舗内での問題に誠実に情熱をもって対処したりしながら、(オンラインの視点だけでは)見過ごされていた機会を最大限に活用できる。
私は以前、趣のある小さなパン屋に入ったことがある。そこではおいしそうな小さなケーキや高価なドリンクを販売しており、店内の装飾は居心地のいい花柄をテーマにしていた。私の叔母が友人とお茶を飲みたいと思うような場所で、上品な安らぎのある店内だった。
しかし、店内BGMとして流れていた音楽は、ヘビーメタルだった。耳が痛くなるような大音量だ。店を任された2人の若い店員は楽しそうだったが、オーナーの姿はどこにも見えなかった。
その店は1年も経たずになくなっていた。
ローカルSEOの担当者として、成功する意欲のないオーナーにやる気をださせることはできないが、伝統的なマーケティング原則や消費者行動に関する調査は、オフラインの流れをローカルのオンラインの流れに統合するのに役立ち、これによってより優れたアドバイスができるようになる。
あなたの会社では、口コミの投稿をオフラインでどうお願いするかのやり方は、すでに指導していることだろう。
もしかしたらそれに加えて、ビルボードやダイレクトメールの管理を始めている段階かもしれない。まだそうした形式のアウトリーチに関する会議に参加しているだけの段階かもしれない。
いずれにせよ、そうした伝統的なマーケティングに関する知識を増やせば増やすほど、ローカル検索マーケティングが成功するチャンスは高まっていくものだ。
すべてにローカルで向き合った後に、さらに必要なこと
米国各地の地域社会では、ずっと昔から、毎年地元を代表するような人たちが集まって行う華やかなパレードを見るため、住民が歩道を埋めるのが伝統になっている。
- 地域の学校のマーチングバンド
- 園芸用具だけで作られた山車を曳く金物店
- 聖書の一場面を模した手作り衣装を身につけた教会団体
- 犬を連れた動物保護施設の職員
- オープンカーに乗った慈善団体
……そんな参加者たちが、観衆の人々に手を振っている。
これこそが、私たちが行くべき道なのだ。デジタル消費者の目の前を行進するように、地域のパレードを導こう。
- NAP(名称、住所、電話番号)
- サイテーション
- ローカルで最適化したコンテンツ
- 口コミ管理
といった要素をこの流れに乗せて、いかにしたら人々に気づいてもらえるかを考える。それを、オーガニックSEOやオフラインマーケティングのコミュニティの手法にならって行い、広告における真実の重要性に対する感覚を常に高める。
言い換えれば、オフラインであるものすべて、オーガニックであるものすべてが、今やローカルSEO自身のものになったということだ。あとはデジタルの位置情報データレイヤーを加え、方向性を明確にして、すべてを集約すればいい。
ただし、はっきりさせておきたいことがある。
オーガニックの流れとオフラインの流れは、過去から現在までの間に、ローカルSEOという私たちの専門分野の川の流れに入ってきたのは、今に始まったことではないということだ。ただ、ローカルSEO担当者としての私たちの仕事には、多くの専門分野にわたる理解が必須であるという点が、以前にも増して明確になってきたということだ。
ローカルSEOという快速船を操って、将来に向けて賢い針路をとる
経験豊富な船乗りの用語で、「yare」の船とは、動きが速く、機動的で活発な船のことだ。それはまさにローカルSEOに携わる事業者や代理店が、ローカルSEO業界に影響を与える小さくても絶えることなく続く変化に対処するためにはなくてならないものだ。
ローカルSEOの歴史においては、新しいアップデート、フィルターやガイドラインの変更が行われるたびに、トップクラスのSEO専門家が、自分たちのクライアントへの影響は深刻ではなく小さなものにすぎないと述べている記録をいくつも確認できる。こういった専門家は、どのようにしてそのうらやむべき状況を獲得しているのだろうか? それは、以下のような理由からだと私は結論づけた。
- マーケティングの全体像を見る専門家になった
- それを実務の基盤として、基本的なガイドラインを守り、人とのつながりをあらゆるマーケティング活動の最終目標とする
そのためには、天候がわずかばかり変化しようとも企業がしっかりと立つことのできるインテリジェントかつ共通の根幹を持つマーケティング材料(ウェブサイト、サイテーション、ソーシャルへの貢献、店頭、印刷、ラジオなど)によって、確固とした基盤を築くことだ。
グーグルが評価の星を表示するか非表示にするか、内容の薄いコンテンツや怪しいリンクを取り締まるかどうかなんてことは、重要ではない。企業とそのマーケターによる取り組みの大部分は、消費者と結びついているのだから、検索エンジンのささいな気まぐれに縛られたりはしない。
というのも、熱心な消費者とのつながりによって、新しいアップデートやルールのたびに大きな損失を被らずにすむような守りが十分に構築されているからだ。悪い口コミが多少あっても、実際には問題ない。消費者はそれでも、良い企業や店舗を見出し、そうした企業に売上は入り続ける。
この確固とした基盤によって事業者は機敏になり、素早く機動的な調整をして問題を解決し、小さな変化のたびに生じる新たな機会の利点を最大限に生かせる。より視野の広いマーケティングビジョンを持たなかったために沈みつつある船から脱出を試みる必要など出てこない。
要するに、将来の成功に向けて最適な針路を取るには、企業として、
- ローカル
- オーガニック
- オフライン
それぞれにおけるマーケティングの技術的側面や歴史的原則を知らなければならないのはもちろん、それにもまして消費者のことを知り、自らの職務に全身で打ち込むビジネスの心を持つ必要があるおちうことだ。
成熟した心とは、賢明な方法で自身のニーズと他者のニーズのバランスを取る心のことだ。私自身、自らの業界が必要とする胸躍る成熟に、全力で取り組んでいる。
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