編集長ブログ―安田英久

AKB総選挙に税金2800万円、その目的とKPIはおかしいのか正しいのか

AKB総選挙に投じた2800万円の成果を何で判断するべきか

今日は、プロジェクトや事業のゴール設定とKGI、KPIに関するお話しを。沖縄で開催されたAKB総選挙に税金2,800万円が支出されていて、その成果指標に関する話題が上がっているのです。

AKB総選挙に国費2800円

先日沖縄で開催されたAKB総選挙(正式には「AKB48 49thシングル選抜総選挙」および「AKB48グループコンサート」というようですね)に、国からのお金2,800万円が支出されていたという話題が、河野太郎議員のブログの「OKN48」という記事で解説されています。

記事では、国費の支出に関して次のように解説しています。

2800万円の国費を使ったAKB総選挙が終わった。

今回、閑散期におけるAKB総選挙の沖縄開催が、沖縄観光の発展に資するという名目で、会場設営費等が助成の対象になった。

公的なお金であれ企業のお金であれ、何らかの支出をするからには、目的設定が必要です。「どうなれば、やって良かったとみなすのか。どうならなければ成功ではなかったとみなすのか」ですね。

通常は、その目的を達成できているかを判断する指標を「KGI(Key Goal Indicator)」として設定します。ただ、目的は多くの場合大きなものですぐには判断しきれないため、KGIを達成する方向に近づいているかどうかを「KPI(Key Performance Indicator)」として設定します。

さて、今回の国費を使うに理由については、次のように設定されていたということ。これが達成すべき「目的」ですね。

なぜ、AKB総選挙が沖縄観光の持続的発展に資するのかという問いに対して、総選挙という大きなイベントを行うことで、今後の閑散期にAKBの公演を誘致することにつなげたいということだが、

そして、今回の支出がその目的に対してどの程度役に立ったかの成果指標として、次のようなものが設定されていたということ。これがKPIですね。

この事業の成果指標は、県外からの観光客数8000人となっている。

あれ? 何か変ですね。どうも、目的とKPIが合致していない印象があります。

河野氏も次のように疑義を呈しています。

今後のAKBの誘致が目的ならば、成果指標は来年度以降のAKBの沖縄公演の日数または回数などでなければおかしいのではないか。

目的 → KGI → KPI群を考えてみる

私も最初に違和感を覚えたのですが、改めてこの目的とKPIを考えてみましょう。

こういう場合に大切なのは、適当にKPIを設定するのではなく、ゴールからさかのぼって、それを達成するための指標を考えていくことです。

目的 今後の閑散期にAKBの公演を誘致すること

実際には、「これにより、閑散期の沖縄訪問観光客数を増やし、県外から地域に落ちるお金を増やす」ことが最終目的なのですが、そこは置いておきましょう。

この目的の達成状況を測るKGIはこんな感じでしょうか。

KGI 2022年まで(5年間)に、閑散期(11月~2月と5月~6月)におけるAKBの沖縄公演を合計で合計で×回開催すること

これが、河野氏の言っている「成果指標はこうでなければおかしいのではないか」という数字ですね。

さて、この時点で沖縄の意図がどうであれ、視点がAKBと観客の側に移ります。

AKBも商売でやっているのですから、公演が採算に合わなければ動いてくれません。また、他の地域で公演を開催するのと比べて利益が悪ければ、積極的に沖縄での公演を増やすモチベーションは上がらないでしょう。

そして、その採算の鍵を握るのは、観客側です。彼らがわざわざ閑散期の沖縄まで交通費を使って参加してくれなければ、公演は成功せず採算はとれません。

となると、KGIを達成する前段階としてのKPIとして、次のようなものができます。

KPI 閑散期に沖縄公演を開催し、そこで多地域と遜色ない採算を達成する

しかし、現時点では閑散期に沖縄で公演しても採算がとれるかどうか判断しづらいのならば、わざわざリスクをとるモチベーションはAKB側には出てきません。

となると、AKB側が「6月という閑散期に沖縄で最も大きなイベントを(低リスクで)開催してみて、その参加者の数をもとに、今後そういった次期に公演で採算がとれるのかを判断したい」というキモチになるのは、理解できます。

となると、その手前の段階のKPIとしてこういう感じになりますよね。

KPI 2017年6月の総選挙で、××××人の参加者を獲得する

あ、「今回の総選挙に8000人参加」という成果指標って、少し手前段階のKPIとして考えると、意外と間違ってないのかもしれませんよね。

さらには、ここに、次のようなKPIがあると、「今後の開催において、必要な観客数を確保できる可能性」をさらに判断しやすくなるのかもしれません。

KPI 2017年6月の総選挙に関し、マスメディアで××GRP相当の露出を獲得し、さらに、現地参加者によるソーシャルメディア上での関連書き込みが×××万件発生する

とはいえ実際のところはというと、河野氏が言うには、当初設定されていた「8000人」というKPIの達成状況すら把握できていないのではないかという話もあり、何とも言えないキモチになります。

一発勝負でAKBの総選挙をやって、8000人を呼び込んで、それが次にどうつながるか、はっきりした見通しもない。そもそも今日までにこの8000人が達成されたどうかもわからない。

やったことの数値を確認するフローになっていない文化なのか、それとも、達成していないから正式に数値として出したくないのか、どちらなのかはわかりませんけどね……。

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