Googleデータスタジオ ☓ Optimizely Xで実現する「ダッシュボード ☓ マーケティング実験」のススメ
激化する競合環境の中で、各企業は自身にとっての高価値ユーザーを定義・可視化し、それらのユーザーに対する顧客体験を向上させることが重要になっている。そのためにはダッシュボードによる顧客構造の可視化、さらには高価値ユーザーを中心としたマーケティング実験の実行が欠かせない。
イー・エージェンシーの野口氏は「アナリティクス サミット2017」において、「Googleデータスタジオ×Optimizely Xで実現する『ダッシュボード×マーケティング実験』のススメ」と題し、高価値ユーザーを囲い込むための顧客分析と意思決定の実践法、ダイナミズム化するA/Bテスト手法について解説した。
ビジュアライズ機能が豊富なGoogleデータスタジオ
イー・エージェンシーでは、Googleデータスタジオで多くのダッシュボードレポートを作成しているのだという。
Google社が提供する「Googleデータスタジオ」は、多様なデータを取り込んでわかりやすいレポートにまとめてくれるデータビジュアライゼーションツールだ。Googleアナリティクスを含むGoogle社のマーケティング製品とシームレスに連携し、外部データも取り込んで、分析、ビジュアライズ、グラフ作成、共有といったワークフローをまとめて行える。
ドラッグ&ドロップで簡単かつスピーディにレポートを作成できたり、レポート画面上でリアルタイムに条件変更等の操作ができたりすることも大きな特徴だ。さらに、レポート数は無制限で、無償で利用することができる。
野口氏はまず、このGoogleデータスタジオにおいて、主に次の3つの切り口によるダッシュボードを構築することを勧める。
- ビジネス・セールスの可視化
- サイトパフォーマンス・ボトルネックの可視化
- 顧客構造の可視化
「ビジネス・セールスの可視化」を目的としたGoogleデータスタジオの活用例としては、たとえば、
- 日時や地域別の店舗売上の進捗・傾向の可視化
- デバイス別の収益構造の可視化
の例が紹介された。多彩なビジュアライズ機能で直感的にわかりやすく表示したり、条件による絞り込みで新たな気づきを得たりという使い方ができる。
「サイトパフォーマンス・ボトルネックの可視化」を目的としたGoogleデータスタジオの活用例としては、改善が必要な問題のあるページを見つける例や、サイトKPIマップの例が紹介された。
「顧客構造の可視化」を目的としたGoogleデータスタジオの活用例としては、第三者オーディエンスデータとGoogleアナリティクスのデータを組み合わせてユーザーセグメントを見極める例や、会員ロイヤリティを可視化する例などを紹介した。
ダッシュボードは、複雑になったビックデータを可視化・凝縮することで解釈しやすくして、効率よく答えを導き出す有効な手段であり、これによってデータによる意思決定が加速していく
と野口氏は話し、Googleプラットフォームとの親和性が高く、ビジュアライズ力も高いGoogleデータスタジオを活用することを強く勧めた。
アプリケーションレベルのダイナミックな実験が行えるOptimizely X
「ダッシュボードでデータを可視化した後は、マーケティング実験を行ってイノベーティブな意思決定を行うことが重要だ」と野口氏は話を進めた。
大きな変化を伴うマーケティング施策には、そのぶん大きなリスクの不安が付きまとうものだ。しかし、そうした施策もテスト的に行えば、リスクヘッジとイノベーションの橋渡しとなる。A/Bテストをはじめとしたデータに基づくマーケティング実験は、リスクを低減しながらイノベーションを起こす合理的な手段だ。
野口氏は、次のように説明する。
A/Bテストプラットフォームの先駆者であるOptimizelyの最新技術では、システムアプリケーションレベルでのダイナミックな実験がすでに可能になっている。これは、従来のようなウェブブラウザへ書き出した後の情報に変化をつけて実験(A/Bテスト)を行うレベルでなく、サーバ側でデータベースも絡めたダイナミックな実験を可能としている。
これはウェブやモバイルアプリのシステムに限らず、ATMや店舗設置の情報端末、OTT(動画・音声などのコンテンツ・サービス)など、その他さまざまなアプリケーションに対応しており、マーケティング実験は深さ・広さともに拡張している。
それを実現するテクノロジーとして「Optimizely X Full Stack(オプティマイズリー・エックス・フルスタック)」を紹介した。OptimizelyはもともとWebブラウザに表示した情報を実験するためのA/Bテストツールだったが、さらにビジネスインパクトの大きい領域でのマーケティング実験まで幅広く行えるようになっている。これが「フルスタック」という名のゆえんだ。
Optimizely X Full Stackによってサーバーサイドでのダイナミックなマーケティング実験ができるのは、各言語で作られたアプリケーションにSDKを使って組み込むことができるためだ。また、SDKを使えば、Web版以外でのA/Bテストも容易に実現できる。たとえば店頭機器のソフトウェアに組み込んでA/Bテストを行えば、オムニチャネルやマルチデバイスでのマーケティング実験が可能だ。
Optimizely X Full Stackを活用したEC/旅行サイトの例では、たとえば異なる価格・料金を提示するような、これまではできなかった実験ができるようになり、ユーザーのデモグラフィックデータをもとに金額をパーソナライズすることが可能となる。また、
- 検索システムのアルゴリズム変更テスト
- 申し込みフロー全体の変更テスト
- ログイン後ページの機能表示テスト
- 動的コンテンツのOne to One 切り替え表示
- モバイルアプリ/店頭用アプリのテスト
など、さまざまな実験が可能だ。
さらに、BtoBサイトでは、たとえばログインした企業ごとに、情報提示内容のパーソナライズやメール・通知のパーソナライズ、個別のメールオファー発動なども可能だ。
メディアでの活用例では、広告の表示場所、動画広告、チャネル登録料金、広告ブロッカーなどについて、さまざまな実験が行えることが例示された。
野口氏は次のように語った。
Optimizely X Full Stackによって、より深く・広く実験が行えるようになった。これまでのA/Bテストの概念をリセットして、さまざまな実験を行ってほしい
GoogleデータスタジオとOptimizely Xの活用例
ダッシュボードとマーケティング実験の展開について話を進める野口氏は、それによって「高価値ユーザーの囲い込み戦略が行える」という。
20%の高価値ユーザーが全体の80%の売上を構成しているという話はよく言われる話だ。実際にGoogle データスタジオで顧客分析を進めたところ、特定の行動特性を持った3%のユーザーが売上全体の30%を構成するといった高価値ユーザーのファインディングもあったという。
また、Googleデータスタジオのようなダッシュボードを使えば、リアルタイムにユーザーの検討意向度を把握できる。たとえば、購入検討の度合いに応じてユーザーを「BUY」「HOT」「WARM」「COLD」に分け、WARMユーザーとHOTユーザーに対する施策にコストをかけるなどの判断ができると語った。
つまり、これまでまんべんなく投資していた金銭リソースや人的リソースを、重点セグメントへの施策に厚く配分するなどといったリソースの最適化が行え、成果を最大化できるという。
競合に渡してはいけない高価値ユーザーを可視化してリアルタイムに監視し、高価値ユーザーにリソースを集中して実験やアクションを実施することをサイクル化することで、高価値ユーザーの囲い込み戦略が可能となるのだ。
野口氏は、次のように話し、講演をまとめた。
無料のGoogleデータスタジオや、先鋭ツールのOptimizely Xを利用して、ダッシュボード活用×マーケティング実験でイノベーティブな意思決定に挑戦してほしい
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