モバイル検索シーンの変化に適応していく4つのポイントを、グーグルの変化から読み解く(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。モバイル検索シーンにおける4つの変化のうち、後半となる今回は、「検索結果画面(SERP)におけるモバイルファーストデザイン」と「アプリとウェブ検索の統合」について見ていこう。 →まず前編を読んでおく
領域3検索結果画面(SERP)におけるモバイルファーストデザイン
3つ目の重要なポイントは、グーグルがデスクトップのSERPをモバイル検索と同じようなルック&フィールにしていることだ。
これには、主に次の2つのパターンがある。
カードスタイルレイアウト。ディスプレイの大きさや種類が異なるさまざまなデバイスにコンテンツを簡単に配信できる。
デスクトップ検索画面からのサイドバー広告の撤廃。(商業性の高い検索結果において)より多くの広告がページの上部に表示されるようになる。
取るべき対策
この変更に直接対処できる手段はそれほど多くない。ただし、「商業性の高い」SERPの場合には、トラッキングとレポート作成においてSERPレイアウトの変化を考慮することが重要になる。
さらに、ファネル上位での検索拡大戦略に多少力点を移し、競合する有料広告が少ないと見込める、より商業性の低いキーワードを狙うことを考えるのもいいだろう。
領域4アプリとウェブ検索の統合
グーグルは、アプリのコンテンツとそれ以外のウェブを統合する方法を見つけ出す必要がある。そうしなければ、自分たちが無用の存在になりかねないのだ。
ユーザーがスマートフォンのホーム画面にアプリを配置することから生まれる「囲い込み」の影響、そしてモバイルデバイスの利用時間の約85%がモバイルウェブではなくアプリに使われているとする最近の調査結果を併せて考えると、ユーザーがコンテンツを発見するための橋渡し役であり続けたいと考えるグーグルにとって、アプリはきわめて現実的な脅威となっている。
この問題に対処するため、グーグルはアプリのコンテンツをインデックス化し、ウェブ検索結果に表示する取り組みを始めた。これがまさに、グーグルが
- App Indexing(アプリインデックス)機能
- App Streaming(アプリストリーミング)機能
で行おうとしていることだ。
アプリインデックスでは、アプリの設定によって、http://
で始まる同じウェブリンクから、
- デスクトップサイトのページ
- そのモバイル版(レスポンシブデザインまたは動的な配信)
- アプリ内の同等のコンテンツ(ディープリンク)
にリンクできるようにする。これによって、グーグルは、把握したユーザーの傾向およびウェブの使い方の好みに応じて、最も関連性の高いバージョンを表示できるようになる。
アプリストリーミングは、グーグルが長期的に向かうものと思われる選択肢だ。
これによって、ユーザーはアプリをデバイスにインストールすることなしに、アプリのコンテンツにアクセスできるようになる。コンテンツはグーグルの検索インターフェイスから提供されるため、グーグルは再び、ユーザーとコンテンツプロバイダーの橋渡し役として確固たる地位を築けるだろう。
取るべき対策
自社アプリがまだない企業にとっては縁のない話かもしれない。だが、アプリを作成する必要があるかどうかを検討してみる価値はある。アプリが必要かどうかを判断するには、次の問いに答えてみてほしい。
アプリがあれば……
- 利便性を高めることができるか?
- 独自の価値を提供できるか?
- 社会的な価値を提供できるか?
- インセンティブを提供できるか?
- 人々を楽しませることができるか?
すべての問いに対して答えがNoであるなら、おそらくアプリは必要ない。
すでにアプリがある場合には、http://
で始まるウェブリンクをサポートできるようにしたうえで、設定方法についてはアプリインデックスに関する私の記事を読んでほしい。
グーグルの最終的な狙いは「検索しなくていい世界」
これまで取り上げた変化はすべて、究極のインテリジェントパーソナルアシスタント(IPA)を開発するという目標に向けてグーグルが推し進めている取り組みをサポートするものだと考えられる。
15年前にグーグルを始めたときに思い描いていたのは、最終的に検索文字の入力をまったく不要にしてしまうことだった。
これは不可能な話のようにも思えるが、現在グーグルが、モバイルデバイスにおける強化された機能を使ってアクセスできるようになった黙示的なシグナルを考えれば、ありえない話とは思えなくなる。すでに、次のような事項に関するデータにアクセスできるのだ。
- 検索履歴
- 言語
- 社会的つながり
- 時刻
- ブラウザ
- デバイス
- 位置情報
ユーザーはすでに、キーワード検索に文脈を示す指示がさほど入っていなくても、何を尋ねられているかを検索エンジンが理解できそうだと気づきはじめている。さらに、きめ細かく調整されたテクノロジーを通じて、多くのデータが常に収集されている。
身体的動作や健康状態に関するシグナル(心拍数など)を監視できるウェアラブル端末
ユーザーが道路のどちら側に立っているかを正確に特定できるビーコン
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ドライブ中などの情報を通知する携帯電話
将来的には、このようなシグナルのすべてが、最も関連性の高い検索結果を判断するのに利用できるようになるだろう。ユーザーが尋ねさえしないうちに、というのもありうるかもしれない。
こうしたすべてのシグナルを、
- パブリックインデックス(現在グーグルの検索インデックスと考えられているもの)
- プライベートインデックス(メール、写真、カレンダーなど)
- アプリのコンテンツ
と統合して組み合わせれば、グーグルは人間の秘書(パーソナルアシスタント)並に、ユーザーの日常的な活動について知ることができるかもしれない。
これはつまり、1つのインターフェイスであらゆる種類の検索ができるようになり、最終的には、インテリジェントパーソナルアシスタントが、ユーザーが尋ねる前に次の質問を予測できるようになることを意味する。
その世界では、キーワードどころかトピックさえも重視する対象ではなくなるかもしれない。今後問い続けていくべきなのは、こういうことだろう:
パーソナルアシスタントアプリから見て、最も役に立つソースになるにはどうすればよいのか。
検索の未来を形作っている
- 黙示的なシグナル
- 変化を続けるグーグルのインターフェイス
- インテリジェントパーソナルアシスタント
- ビーコン
- ウェアラブルといった新しいデバイス
といったトレンドについてさらに詳しく知りたい方は、DistilledブログのSearchscapeプロジェクトで私たちが執筆、議論している予測を読んでほしい。
読者のみなさんは、時代とともに進むモバイル検索シーンの変化をどのように捉えているだろうか。インテリジェントパーソナルアシスタントの開発に向かっているという意見に賛成だろうか。
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