コンテンツマーケティングを成功に導く5つのステップ②アイデアの評価+制作
コンテンツマーケティングのキャンペーンを企画するときのプロセスを5つのステップで解説しているこの記事、
- リサーチとアイデアの創造
- アイデアの評価
- 制作
- プロモーション
- コンバージョン
①~③の3回に分けてお届けしているが、第1回ではステップ1の「リサーチとアイデアの創造」について説明した。今回はステップ2の「アイデアの評価」とステップ3の「制作」について見ていこう。→まず第1回を読んでおく
コンテンツマーケティングを成功に導くステップ2/5
アイデアの評価
コンテンツマーケティングキャンペーンに取り組むことが増えるにつれて、僕はプロセスの中の「アイデアの評価」というステップに、より価値を置くようになった。
素晴らしいアイデアを考えついたと思えるが、それは本当に素晴らしいのだろうか。100%正確に予測することは決してできないが、アイデアを評価するためのフレームワークを使うことで、予測の可能性を高めることはできる。
肝心なのは、これから説明するフレームワークそのものではなく、何らかのフレームワークを使って自分のアイデアの質を常に公正に評価できるようにすることだ。
僕が勧めるフレームワークの1つは、聞いたことがある人もいるだろうが、チップ・ハース氏とダン・ハース氏の著作『アイデアの力』から引用したものだが、ここではその内容について詳しく触れるつもりはない。これについてはすでにさまざまに書かれているからだ。たとえば、Distilledの記事や、もっと新しいところではハンナ・スミス氏の記事がある。また、本書の要約も公開されており、書かれている重要なアイデアや原則について知ることができる。
簡単に言うとこの本は、アイデアが自分の中に確立したと言い切れるための6つの原則について、著者ら自身の研究をベースに説明している。
シンプルである ―― アイデアは、すぐに理解できる簡単なものでなければならない。これを確かめる良い方法は、アイデアに見出しを付け、見出しだけでそのアイデアを説明できるかどうか確認することだ(つまり、短い1文だけで伝えられるかということだ)。
意外性がある ―― 100%まったく新しいアイデアでなくてもよいが、何らかの新しさや意外性を備えている必要はある。
具体的である ―― これはシンプルであることと混同しがちだが、微妙に違う。具体的であるとは、言わんとすることにあいまいさや誤解の余地がないアイデアであることを意味する。
信頼できる ―― アイデアの基盤に信頼性がなければならない。このような信頼性は、信頼できるデータ、信頼できる(専門性を持った)著者、または信頼できる会社をそのアイデアの裏付けとすることで獲得できる。
感動がある ―― 感情的な反応を引き起こすアイデアであれば、覚えてもらえる可能性ははるかに高くなる。
ストーリー性がある ―― この点についてはすでに述べたが、子供だった頃のことを思い返そう。あの頃に読み聞かせてもらった物語は、誰でも何かしら覚えている。僕たちは、ストーリーの組み立てや、ストーリーによって関心を掻き立てられることになじみがあるのだ。
ここで重要なのは、フレームワークそのものではない。もちろん、フレームワークはきわめて重要ではあるのだが、大切なのは、チームの誰もが、アイデアについて有益で建設的な意見を出し合えることなのだ。
一般に「そのアイデアは気に入らないな」とか「そのアイデアではうまくいかないよ」などと言うことは簡単だが、それが正しい場合でも、受け取る側にとってはたいして役に立たない。
しかし、適切なフレームワークを使えば、それに沿った意見を述べられる。前述のフレームワークを利用するなら、「このアイデアはシンプルとは思えない」とか「具体性に欠けている」などという具合だ。この方が聞く側にとってはるかに役立つし、アイデアを完全に放棄するのではなく、少し手を加えるだけで済む可能性も出て来る。
先に述べたように、利用できるフレームワークはこれだけではない。すでに説明した次のような項目も、フレームワークにできる。
- ストーリーや面白い仕掛けがあるか。
- 独自性を持った興味深いデータがあるか。
- アイデアを美しく見せることはできるか。
この3つの問いのうち少なくとも1つにイエスと答えられるなら、アイデアが成功する確率は高いと言える。
コンテンツマーケティングを成功に導くステップ3/5
制作
僕はデザイナーでも開発者でもないので、コンテンツのデザインや開発の方法について話すつもりはない。だが、コンテンツの制作という点で、僕たちがこれまで学んだこと(ときには思い知らされたこと)がいくつかある。
形より機能
ここでまず伝えたいのは、大切なのは形より機能であることを忘れてはいけないということだ。
「インフォグラフィックがほしい」とか「動画がいい」とか「インタラクティブなコンテンツが必要だ」などとは、間違っても言わないようにしてほしい。
まずは適切なアイデアを生み出すことにフォーカスし、次にそのアイデアを伝えるにはどの方法がベストなのかを問いかけよう。インフォグラフィックがアイデアを伝えるにはベストだという結論になれば、最高だ。だが、形から入ってはいけないのだ。アイデアからスタートし、アイデアが導く方向に目を向けるようにしよう。
そうなれば、ひどい出来のインフォグラフィックがウェブに公開される例を減らせるかもしれない。もっとも、この責任の少なくとも一端は僕たちの業界にあるのだが。
モバイルファーストのデザイン
モバイルの成長を示す統計データはいくらでもあるため、これについてはもう取り上げない。少し掘り下げて調べたい場合は、この分野の専門家であるベネディクト・エバンス氏の研究と分析を強く推奨したい。
コンテンツに関して覚えておくべきなのは、コンテンツを見つける場がモバイル中心になっている傾向がどんどん強くなっていることだ。これまでコンテンツを見つけるのは、ノートパソコンやデスクトップでネットをブラウジングし、ブログやTwitterやFacebookをクリックする姿を思い浮かべていた。だが、現実には、次の図のような形になってきている。
上手では「サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを見るのに最高の場所」というコンテンツへのリンクが示されている。モバイルデバイス上でこのようなリンクをクリックしたら、当然アクセスするコンテンツは正常に表示されるものと期待される。それなのにモバイルで正しく表示されなかったら、コンテンツを楽しんだり関わったりする気にはならないだろう。ましてや、コンテンツをシェアしたり、リンクを張ってくれたりといったことはするはずもない。
ビッケ・チャン氏が作成した次のスライドは、モバイル向けデザインの重要性を明らかにし、そのための実用的なヒントまで提供してくれる素晴らしい資料だ。
ここで重要なもう1つの点は、デザイナーへのデザイン依頼だ。どのようにする必要があるのかを何から何まで指示して、制約するようなことはしないでほしい。コンテンツの目標といくつかのガイドラインを示したら、あとは任せよう。もちろん、折に触れて意見を述べるのは構わないが、指図しすぎないようにしたい。
公開前のチェックリスト
僕たちが思い知らされた教訓の1つは、何かを立ち上げようという興奮の中にいると、いくつか基本的なことを忘れがちになるということだ。考えておかなければならないのによく忘れてしまうことには、次のようなものがある。
- ソーシャルグラフやオープングラフのタグ付け
- 分析コード
- レスポンシブテスト
このチェックをやりやすくするため、覚えておくべきことをリストアップしたGoogle Docsのテンプレートをもう1つ用意したので、ぜひダウンロードして使ってほしい。
このリストはごく基本的な項目に思えるだろうが、つい忘れがちなのだ。
この記事は、①~③の3回に分けてお届けしている。最終回となる次回は、ステップ4の「プロモーション」とステップ5の「コンバージョンとトラッキング」について説明する。→次の記事を読む
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