“商品は買ってないけどブログは読んでる”人にだけAdWords広告を出して、効率よく購入を促すには?[別ドメイン編](第74回)
自社のブログを読んだことがあるユーザーに絞り込んでAdWords広告を出稿して、さらに購入の可能性を高めたい。ただし、ブログと本サイトでドメイン名が異なる
※今回は、GoogleアナリティクスのアカウントとAdWordsのアカウントをリンクする手順も解説している。
前回は、「商品はまだ買ってないけどブログは読んでいる」人にだけAdWords広告を出して、購入を促す方法を解説した。その際、想定したのは、同じドメイン名内で関連商品に関する「ブログ」と、販売やサービス申し込みを主目的とする「本サイト」を運用しているケースだった。
しかし、現実的には、「本サイト」と「ブログ」を異なるドメイン名で運用しているケースもけっこうありそうだ。
そこで今回は、「本サイト」と「ブログ」を異なるドメイン名で運用している場合を想定して、前回同様「商品はまだ買ってないけどブログは読んでいる人にだけAdWords広告を出して、購入を促す方法」を解説する。
実は本ケースではGoogleアナリティクスのセグメント機能は直接利用することはほとんどない。アナリティクス設定のリマーケティングの設定を利用するだけで済んでしまうからだ。
前提条件は以下のとおりだ。
- 商品・サービス関連の「ブログ」のドメイン名はhttp://example.com/
- 「本サイト(サービス申し込みサイト、eコマースサイト)」のドメイン名はhttp://example.jp
- 上記2つのドメイン名はGoogleアナリティクスの別プロパティIDで計測している(クロスドメインで1つのプロパティIDで計測している場合については、最後に補足で解説してある)
- 上記2つのプロパティに対して、広告を行う該当AdWordsのアカウントを連携している
このような条件のもと、目的のユーザーに絞ってAdWords広告を出すときのユーザーリストを紹介する。
- 商品・サービス関連の「ブログ」(http://example.com/)を訪問したユーザー
の条件に合致したユーザーから
- 「本サイト」(http://example.jp)訪問ユーザー
を除外する。
1つ目のユーザーリストで広告のターゲティング設定を行い、2つ目のユーザーリストに対して広告の除外設定を行うことで、「本サイト」を利用していないユーザーを抽出する。
その商品・サービスに関連する情報についての関心はある程度あるのだが、申し込み/購入検討に至っていない(あるいは申し込み/購入可能な本サイトの存在を知らない)コンバージョン予備軍にターゲットを絞って広告を出そうという狙いは、前回と同じだ。
ユーザーリストの設定
example.comドメイン名(ブログ)の訪問ユーザー全員を対象にしたユーザーリストの作成方法
今回作成するユーザーリストは、
- example.comドメイン名(ブログ)の訪問ユーザー全員
- example.jpドメイン名(本サイト)の訪問ユーザー全員
の2つなので、そもそもセグメントを作成する必要がなく、いきなりユーザーリストを作成するところから始めればよい。手順はどちらのドメイン名も同じだが、ここでは「example.comドメイン名訪問ユーザー全員のユーザーリスト」を作成してみよう。
今回はせっかくなので、該当のAdWordsのアカウントとリンクするところから、くわしく手順を紹介していこう。
GoogleアナリティクスのアカウントとAdWordsのアカウントをリンクする手順
まずはGoogleアナリティクスのアナリティクス設定ページを開き、example.comドメイン名を計測しているプロパティ(図1赤枠部分)の項目にある[リマーケティング]>[ユーザーリスト](図1青枠部分)をクリックしよう(図1)。
この画面で、「AdWords をリンク」(図1緑枠部分)をクリックすると、同じプロパティの[AdWords のリンク設定](図2赤枠部分)の画面に自動的に移動する。
現在のGoogle アナリティクスを見ているGoogleアカウントが管理者になっているGoogle AdWordsのアカウント候補が出てくるので、連携したいGoogle AdWordsアカウントにチェック(図2青枠部分)して、「続行」(図2緑枠部分)をクリックしよう。
図3の画面ではリンクグループの名前を付けて(図3赤枠部分)、連携したいビューを選択する(図3青枠部分)。複数選択可なのでここでユーザーリストの抽出に必要なビューはすべてチェックを入れておこう。それから「アカウントをリンク」(図3緑枠部分)をクリックする。
これで、GoogleアナリティクスのアカウントとAdWordsのアカウントをリンクできた。
example.comドメイン名(ブログ)の訪問ユーザー全員を対象にしたユーザーリストの作成方法
では、ブログの訪問ユーザーを対象にしたユーザーリストを作っていこう。
再びユーザーリストの画面(図4赤枠部分)に戻ろう。
まずはユーザーリストを抽出する対象である「ビュー」を選択する。基本的にはサイト訪問者全員を抽出したいので、各種フィルタを掛けた条件で絞り込んだビューではなく標準の「すべてのウェブサイトのデータ」ビューなどを選択(図4青枠部分)すればよいだろう。
「移行先のアカウント」は、先ほど連携したGoogle AdWordsアカウント(図4緑枠部分)を選択して、「次のステップ」(図4黒枠部分)をクリックする。あとは次の画面(図5)で「有効にする」(図5赤枠部分)ボタンをクリックしよう。
すると、デフォルトで「すべてのユーザー」という名前(図6赤枠部分)のリストが作成されるので、「編集」(図6青枠部分)をクリックする。
次の画面でユーザーリスト名に「ブログサイトのユーザー」(図7赤枠部分)などと修正したうえで、「保存」(図7青枠部分)しよう。
「有効期間」(図7緑枠部分)はユーザーリストの保存期間だ。長期検討商材なら長めでもよいだろうが、一般消費財などで関心がすぐに移ってしまうようなものは短めにして、とっくに関心のなくなった人をいつまでも広告で追いかけないようにしよう。
example.jpドメイン名(本サイト)の訪問ユーザー全員を対象にしたユーザーリストの作成方法
同様にして、本サイト(サービス申し込みサイト、eコマースサイト)の方のexample.jpドメイン名訪問ユーザー全員のユーザーリストを、「本サイトのユーザー」などという名前で作る。こちらのユーザーリストに対しても、先ほどと同じ有効期間を指定しよう。
これでAdWords側のリマーケティングリスト用のユーザーリストとして選択できるようになる。
2つのユーザーリストを組み合わせて「ブログを訪問したことがあるユーザー」にAdWordsで広告を出稿するには?
AdWords側では、キャンペーンあるいは広告グループで、「1つ目のセグメントに該当するが、2つ目のセグメントには該当しない」ターゲット設定をする。
具体的には、次のようにする。
キャンペーンあるいは広告グループのターゲティングの設定で、1つ目のユーザーリストで作成したリマーケティングリストから選択する。
広告グループ(あるいはキャンペーン)の除外設定で、2つ目のユーザーリストで作成したリマーケティングリストを選択して、本サイト(サービス申し込みサイト、eコマースサイト)訪問ユーザーを除く。
この設定で広告を出そう。
おまけ① クロスドメイン計測をしている場合の設定方法
複数のドメイン名を1つのプロパティで計測するクロスドメイン計測をしていても、基本的には今まで述べてきた方法を応用できるだろう。簡単に解説すると下記のようになる。
ブログサイトと本サイトを別々のビューで集計している場合
ユーザーリストのリンクの設定で選択するビュー(図4青枠部分)をそれぞれ別のビューを選択して、2つのリストを作成しよう。
上記の例は別プロパティのビューでリストを作成したわけだが、こちらは同じプロパティ内の別のビューでリスト作成作業をするという違いだけだ。
ブログサイトと本サイトをまとめたビューしか作成していない場合
レポートに表示されるページ名(/abc/index.html)はドメイン名が省略されるが、この場合はドメイン名をページ名表記に加えるフィルタなどを掛けるのが普通だ(詳細の解説は省略する)。
そのためこの場合は、いつものセグメント機能を利用し、「条件」分類(図8赤枠部分)の設定画面で、
- ブログユーザーのリストでは「ページ」「含む」「example.com」(図8青枠部分)
- 本サイトのユーザーリストでは「ページ」「含む」「example.jp」
といった条件でセグメントを作成して、これをリマーケティング用のユーザーリストに設定すればよい。
おまけ② リマーケティングタグを両サイトに実装している場合の設定
最後に、AdWordsのリマーケティングタグを両サイトに実装してある場合についても説明してこう。この場合はわざわざGoogleアナリティクス側の条件を細かく指定する必要もないので、AdWordsの「新しいリマーケティング リスト」の画面(図9赤枠部分)で、単純にブログサイト訪問者と本サイト訪問者のリマーケティング リストをそれぞれ作ればよい。
たとえばブログサイト訪問者のリストは、プルダウンから「ページを訪問したユーザー」を選択(図9青枠部分)し、ユーザーが訪問したページの条件は、「URL」「次を含む」「http://example.com/」(図9緑枠部分)とすればよいだろう。
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