Web担当者に告ぐ! サイト運営にはコツがある

どーすりゃ上司は、わかってくれるんだ! Web担当者って大変なのに……ヒト、予算をもっとくれ!

どうやって上司を説得し、Webサイト運営に係るステークホルダーともいえる存在を意識した、戦術設計をどのようにすべきかを解説する。

企業のなかでWeb担当者の置かれている状況は改善されてきたものの、まだ社内の理解が得にくい、他の部門と連携しながらWebサイトの運営ができていない、新しい施策がうまく回らない、予算がなかなか増えないという状況ってありますよね。

今回は、そんな悩めるWeb担当者の方のために、どうやって上司を説得し、Webサイトの運営に係る人々、経営、決済、運営組織、そして自社業態の市場とユーザー、いわばWebサイト運営に係るステークホルダーともいえる存在を意識した、戦術設計をどのようにすべきか具体的な戦略を練るうえで必要な考え方について説明します。下図の戦術の全体像を参考にしながら、記事を読み進めてください。

Webサイトのステークホルダーを意識した戦術設計の全体像Webサイトの成長モデルを可視化できている?成長モデルに含まれる他部門の役割が可視化され連携している?連携する他部門とWebサイトの成長モデルが共有されている?戦略に対する具体的なアクションプランって決まっている?Web解析を軸としたKPI設計が決まっている?「現状の可視化」と「戦略の整理」のドキュメント化できている?経営層/事業決済者と「事業の課題」を共有・共感できている?メンバーの自発力を高める演出ってできている?

1st STEP
Webサイトの成長モデルを可視化できている?

まず、自社サイトの成長モデルについて整理をしてみましょう。前編で述べたとおり、Webサイトの運営には目的の定義が必要不可欠で、ヒト・モノ・カネの経営リソースを投入するからには、さらなるサイトの成長が求められます。

Webサイトに求められる成長とは、「サイトで得られる成果を拡大する」ことです。しかし、その拡大すべき対象や目的を細分化して考えないと、行う施策がすべてバラバラで連携がとれず、成長が鈍化する危険性を持っています。

施策の対象や目的:なぜ? 誰の? 何に対し? 何のために?

これらをきちんと整理しておかないと、それぞれの施策の役割が明確でないままサイト運営が進行します。そうすると、

施策の予算が獲得できた ⇒ 期待するほど成果が得られなかった ⇒ 施策を実施することがムダかもしれない ⇒ やがて、施策そのものが停止する

という、施策結果の安易な判断を繰り返してしまう状態になるかもしれません。では、このような停滞した状態にならないために、「サイトで得られる成果を拡大する」には、具体的にどんな要素があるのかを考えてみましょう。一般的な例として、次の4つの要素が考えられます。

図1:自社サイトの成長に含まれる4つの要素
  • 集客の拡大
    新規プロモーションやトライアル施策を行って、集客の拡大を図る
  • 収益の拡大
    コンバージョンレート(CVR)や顧客獲得価格(CPA)の改善など、広告運用やサイト運営の効率化を行って、収益の拡大を図る
  • サービス・商品の拡大
    新サービスや新商品の開発を行って、サービス・商品の拡大を図る
  • 顧客情報の拡大
    取得する顧客情報の拡大と、Web解析やDMP、CRMを連携させて、より詳細な顧客行動データの獲得を図る

もちろん、Webサイトのビジネスモデルによっては差があると思いますが、本記事ではこの4方向の成長を例として進めてきます。

1st STEP
成長モデルに含まれる他部門の役割が可視化され連携している?

これら4つの要素をすべて拡大するには、その要素の役割を担っている各部門と連携していく必要があります。一つの部門だけで、この4つの要素の成果を管理し、拡大を図るのは困難です。では、企業においてどの部門がその要素の役割を担っているのかを確認にしておきましょう

図1_1:自社サイトにおける3つの要素を担っている部門
  • 集客と収益の拡大 = オンラインマーケティング部門
  • サービス・商品の拡大 = サービス・商品開発部門
  • 顧客情報の拡大 = 顧客情報を管理する部門

運営規模の大きなサイトのWebサイトを運営する部門では、さらに細かく分かれているケースもあるでしょう。

  • 既存施策による収益の拡大を担う広告運用(を効率化する)担当部門
  • 新しい集客経路を開拓する運営企画担当部門
  • コンテンツ編集部門
  • Web解析部門

図2ように、サイトで得られる成果を拡大するには、その役割を担っている各部門と相互に深く連携する必要があります。各部門に蓄えられたナレッジやデータを資産活用しなければ、サイトの成長は鈍化してしまいます。

図2:各部門に蓄えられているナレッジやデータを活用して行う施策

図2の連携を具体的な例に挙げると、次のようなものになります。

  • Webサイトを運営する部門は、顧客情報を管理する部門が提供する、顧客の行動に関する分析結果をもとに仮説を検証し、コンテンツ設計やメール施策など、ユーザーとのコミュニケーション手法の改善や、新しいターゲティング広告手法のトライアルなどを行い、集客の拡大を図る
  • サービス・商品開発を担う部門は、Webサイト運営から得られたデータやユーザーの声と、顧客情報を管理している部門が蓄積している顧客の声を反映させて、ユーザーの関心を引きつつ収益性の高い新サービスや商品の開発を行う
  • 広告運用の担当者は新規プロモーション施策の結果を元に、新しい施策のコストと成果効率を安定させる運用の調整を行い、通常の広告運用への組み込みを図る

1st STEP
連携する他部門とWebサイト成長モデルって共有化できている?

このように、さまざまな部門が役割分担をしてビジネス展開していくこの分業体制は、いわゆる日本文化的な「縦割り行政」を生みだす危険性も秘めています。縦割り行政の状態のままでサイトの運営が進行してしまうと、せっかく各担当者が立案した素晴らしい施策案も他部門の協力や合意が得られにくいため、結果的に、「予算の獲得」や「事業決済」を得ることができず、実現したいことから遠のいてしまいます。

そこで図3のように各部門が担っている役割をまとめて、成長の姿をイメージできる図を作りましょう。各部門の相互連携がスムーズに実現できるように、Web担当者が主導権を握って、組織全体に理解を求め、目的の共通見解を共有する必要があります。

図3:各部門が連携することで「収益と集客」の最大化する

図3をもとに詳しく説明すると、たとえば、「収益の最大化」を得るためには、サイト運営担当者と広告運用担当者が連携していく必要があります。

  • サイト運営担当者「集客施策の設計と推進」
    新規ユーザーを獲得する集客施策を行う
  • 広告運用担当者「コストの効率化・収益率の向上」
    広告運用の効率化やサイト内改善による効率化を行う

また、「集客の最大化」を得るためには、サイト運営担当者と顧客情報を管理する部門が連携していく必要があります。

  • サイト運営担当者「集客施策の設計と推進」
    新規ユーザーを獲得する集客施策を行う
  • 顧客情報を管理する部門「データ分析と仮説の定義・施策結果の検証と改善」
    データ分析による仮説と検証を繰り返し行う

このように関連する部門すべてが連携することで、Webサイトの成長へとつながり、次のアクションに向けて予算や事業決済を獲得できるという構造になっていきます。

図には記載しませんでしたが、もちろんサービス・商品開発部門も、「ユーザーの付加価値を高める」という重要な役割を担っており、他の部門と連携することで、良い商材のラインナップそのものがユーザーの関心をひき、集客を支えます。

このシンプルともいえる構造を改めて各部門を通して共有する意義は、“自社サイトが、「ユーザーの評価」と「自社競合との差別化」得るための付加価値を持つ必要がある”ということを全部門で明文化するためです。

「他の部門も自分たちと同じ目的を共有して、行動しているだろう」という曖昧な認識ではなく、しっかりと目的を共通認識し、目的に向かって連携を確認しながら行動していくことが重要なのです。これを行うことによって施策に対する各部門の合意が得やすく、予算の獲得や人員配置の承認決済を、スムーズに進行できるようになるのです

「あたりまえ、くだらない、めんどう」と思ってはいけません。目的の統一と整理ができていない運営状態は、意外にどの企業でも見られるケースです。Web担当者が主導で「○○改善推進運動」に近いアクションをすることに意味があるのです。

Web担当者として、社内で権限を獲得していくためには、各部門が成果を得られるための演出に加えて、Webサイト運営と施策に対する協力と事業承認、信用と信頼を得るための行動が必要です。担当者自身がこの共闘体制を作り上げないと、自分が正しいと信じるサイト運営と施策実行は実現しないのです

2nd STEP
戦略に対する具体的なアクションプランって決まっている?

では、いよいよ具体的な戦術、アクションプランを考えていきましょう。目的を共通認識化するだけで終わってしまっては、各担当者の賛同は得られません。組織が担うべき役割を定義し、「Webサイト運営の意義」を各担当者目線の目的へと細かく分解していく必要があります。

図4:一般的に考えられるWebサイトの施策

図4に、一般的に考えられるWebサイトの施策を配置してみました。施策を考えるうえでポイントとなることは、「既存で取り組んできた施策の効率化」と「新規に取り組むべき施策」を分けて考えることです。

というのも、新規の施策は、得られる成果の効率が悪いことが多く、結果を一律に既存の施策と比較できません。既存の施策と新規の施策は、それぞれ細分化したKPIを設定し、個々の施策が担うべき役割を定めて、各担当者と一緒に目標となるゴールを設けることが大切です。

図5:Web解析から施策へ

これは同時に、決済者の単純な結果判断から、施策の担当者を守る手段でもあります。また、個々の施策に対して、「直接的な成果貢献」以外の役割を定義することで、担当者が推進しやすい気負いのない環境を作るという目的もあります。

たとえば、図5のような自社サイトに接触したユーザーをWeb上のメディアで追いかけるリターゲティング広告や、特定の興味関心を持っていると判断されるユーザーを狙い撃ちにするターゲティング広告の場合、直接的な成果効率のみを追いかけてしまうと、まるでウインドウショッピングをしているユーザーに、つきまとうだけの店員のような広告運用になるおそれがあります。

これらのターゲティング広告は、「接触したページ」「クリエイティブ」「訪問回数」「ページビュー」などの相関関係の分析を行うことで、次のような成果だけでは語れない多くの知見を得ることができます。

  • ユーザーが欲している課題
  • 新規に狙うべきユーザーセグメントの発見
  • 次の施策へのヒント

まずは、「新規顧客あるいはユーザーセグメントの開拓や、既存ユーザーに対するコミュニケーション課題を発見する」といった「間接的な成果」を役割として定義して、新しい知見を得ることに対して、きちんと評価できるような体制にしましょう。

図6:コンテンツの編集方針の定義

また、SEO施策として重要なコンテンツ運用についても、明確な目的の定義が必要です。というのも、コンテンツを作る話になるとよくあるのが、

何をやろうか? ⇒ 何かおもしろいアイデアは?

という思考で作られてしまうような状態です。こういった状態が続くと、自社サイトにあるコンテンツにユーザーから見ても一貫性なく、中途半端なラインナップになってしまいます。本来ならば、

○○の効果を得たい ⇒ ○○なコンテンツを作ろう! ⇒ ○○に関連するユーザーの関心を集めるテーマは?

という思考回路で制作するべきでしょう。アイデア重視の思考回路でコンテンツを作ってしまうと、「コンテンツを作ることが目的」となってしまうため、決済者に「コンテンツを作った成果は?」と問われたときに、決済者の納得できるような回答ができないという結果がまっています。

それを防ぐために、コンテンツを作成する担当者は、図6のような編集方針を定義する必要があります。競合サイトのコンテンツラインナップや対象とするユーザーのニーズや行動を理解してプロットし、次のようなコンテンツ戦略を定義しましょう。

  • 自社サイトが競合サイトとの差別化するためにはどんなコンテンツを配置すべきなのか?
  • ユーザーのニーズに応えられるコンテンツはどんなものなのか?

また、コンテンツ戦略に応じた、KPI設計も厳密に連動させましょう。たとえば、

  • コンテンツの内容に応じた検索訪問のキーワードバリエーションがどのくらい拡大したのか
  • ブックマークによる直接訪問がどのくらい増加したのか
  • コンテンツを最初の入口とした後に、再訪問するユーザーがどのくらい増えたのかなど

といった、ユーザーが自社サイトに「訪問すべき価値」がわかる指標を目標とすべきです。また、SEO視点のコンテンツというと、外部からの自然発生する被リンクの獲得を目的として捉えられることが多いですが、ユーザーに付加価値を提供できているコンテンツであるかどうか、という視点も忘れずに運用しましょう。

2nd STEP
Web解析を軸としたKPI設計が決まっている?

次に、施策を評価するためのWeb解析の考え方について整理してみましょう。具体的な計測指標や計測テクニックの詳しい内容に関しては、他の記事にお任せするとして、ここでは施策立案の軸となる考え方についてのみ触れます。

施策立案するときどのように考えていくべきなのかを説明するために、まずユーザーが通常インターネット上でどういった行動を取っているのかを4つの状況に分類して確認しておきましょう。

状況①:ユーザーが話題を求めている

図7:ユーザーは日々興味の対象となる情報を求めインターネットを回遊する

図7のようにユーザーはインターネットを日々回遊し、メディアサイトでニュースをチェックしたり、キーワード検索で競合サイトや自社サイトに訪問します。

状況②:ユーザーが関心を持ったモノ(商材)の情報を求めている

図8:熱心にキーワード検索で関連する情報を探す

やがて図8のように、ユーザーは回遊のなかで気になるモノ(商材)を発見し、熱心にキーワード検索で関連する情報を探し、判断材料を求めます。

状況③:ユーザーが選定材料を求めて、さらに詳しい情報を得ようとする

図9:さらに詳しい情報を得ようと自社サイトに再訪問し回遊する

そのなかで、ユーザーは図9のように自社サイトや競合サイトに繰り返し訪問し、充実した情報が掲載されているサイトを見つけたら、さらに深い情報を得るためにサイトを回遊していきます。

すなわちこれは、ブックマークや自社サイトブランドを指名した検索による再訪問ユーザーを得られている状態です。まずは、この再訪問を勝ち取ることが、Webサイトブランドとしての成長の証でもあります

一方で、新規ユーザーも獲得しつつ、新しいユーザー層の認知が広がらないとWebサイトの成長は止まってしまいます。つまり、一定の再訪問ユーザーのシェアを保ちながら、新規ユーザー、再訪問ユーザー、両方が成長し、サイトに訪れるユーザー数自体が増えていくことが望ましいのです。

状況④:決断材料を求めて回遊し決断行動をする

図10:決断材料を求めて回遊し、競合サイト、自社サイトどちらかにコンバージョンする

そして、モノ(商材)が良いものなのかを判断するためのコンテンツや、ユーザーレビューや体験記、プロのレビューなどで判断し、ユーザーは図10のような動きで自社サイトの成果にいたります。

状況①~④をまとめる

図11:ユーザーの状況ごとに求める情報が変化する

このように、ユーザーの状態ごとに求める情報が変化し、自社サイトに流入する際の検索キーワードや広告のクリエイティブ、掲載する内容も変化します。当然入口となるランディングページや回遊するページも変化します。

そこでWeb解析ツールのデータを活用し、図11にように自社サイトへ訪問するユーザーの属性がどの状態なのかを把握して、戦略対象セグメントの明確化と戦術の設計へと役立てましょう

  • どの状態の訪問が多いのか
  • どの状態の訪問が獲得できていないのか

具体的には、図12のように自社サイトへの流入元ごとにセグメントを分け、それぞれの訪問後のユーザー行動、回遊状況をWeb解析で調べて、成果への到達との相関関係を数値で集計して把握します。

図12:自社サイトへの流入元とユーザー行動・成果の相関関係

たとえば、「『商材名×選び方』のキーワード検索で特集コンテンツにランディングしたユーザー」といったように、想定するいくつかのユーザーシナリオで、訪問ユーザーをいくつか分類します。それらのユーザーの訪問状況と回遊状況、成果到達までの効率を可視化しましょう。

そうすると、「商材の選び方に困った人のアクセスは多いが、商材ページから先に進むユーザーが少ない」「『サービス名×口コミ』のキーワード検索で訪問したユーザーの成果効率は非常に高いが、訪問数が少なく競合に負けている」などの状況が浮かび上がってきます。それぞれのユーザー層に対しての改善プランも想定しやすくなるでしょう。

また、Google アナリティクスのマルチチャネルレポートなどを活用して、繰り返し訪問の経路とランディングページのシナリオを俯瞰して集計し、自社サイトの王道の成果シナリオを理解することもおすすめします

成果到達のプロセスを数値によって可視化することで、ユーザーがサービス利用を決断するまでのプロセスと仮説検証がより正確に行えるようになり、自社サイトに対するユーザーの思いや迷いがイメージできるようになります。

3rd STEP
「現状の可視化」と「戦略の整理」のドキュメント化できている?

次に、組織を動かす環境づくりについて見てみましょう。「動かす」というより「演出」と表現したほうがいいかもしれませんが、この演出こそが実は組織を動かすうえで欠かせない要素なのです。

どのような環境であれ、人は不安があれば決断できません。そして誰かのいうことを聞いて、そのまま動くことにも抵抗を持つものです。それぞれ置かれている状況や考え方に応じた舞台設定を準備することで「ヒトを動かす」ことができます。

最初にとりかかる演出は、予算と事業決済の獲得です。まずこの決済を勝ち取らないことには、やりたい施策もなにも始まりません。そして、これが最も面倒な仕事でもあります。

そのためには、図13のように、これまで述べた現状の可視化と戦略を整理したドキュメントを整備しましょう。

  • できていること(得ているもの)/できていないこと(得られていないもの)
  • 今やるべきこと(解決すべきこと)/これからやるべきこと(開拓すべきこと)
  • これからどうなりたい(経営計画)/これからどうなるべき(計画への提言)
図13:サイトの現状を可視化し戦略を整理

これらを経営層に訴え続けるしかありません。すでにやっているが聞いてくれないという状態ならば、結局は訴状そのものが「十分に理解されていない」に等しい状態であるといえます。

現場が考えているほど経営は甘いものではありません。そこに携わる方々も、現場とは違う階層で高度な判断を迫られているものです。もしもその人達が、あなたが考えるほど「理解できない人たち」が経営層だとしたら、あなたの所属している企業の経営が成立しているはずがありません。あなたの訴える内容そのものに、事業決済ができない原因が潜んでいるはずです。

3rd STEP
経営層/事業決済者と「事業の課題」を共有・共感できている?

それでも予算の獲得や事業決済がうまくいかないという場合、おそらく経営の思惑と、あなたが提示したドキュメントに「共有と共感」を得られていない場合が多いと思われます。

経営層や事業決済者は「私が思う間違い」「私がやりたいこと」を聞きたいわけではありません。次のようなことを経営層や事業決済者に理解してもらわなければなりません。

現状の「ビジネスの成長と明日」に対して ⇒ どのような「障害や課題があって」 ⇒ 戦略のなかで「今どのあたりにあって」 ⇒ 「Web施策が何を担い」 ⇒ 経営の根幹のなかで「何をもたらすのか」(直接成果だけではない) ⇒ そのうえで、経営、事業、それぞれが「判断すべきモノ・コト」

経営と事業、それぞれが知りたいのは、Web担当者自身が無理やり良く見せようとプロットした成果数値の羅列ではありません。図14のように「ジャッジすべきポイント」なのです。

図14:経営層がわかるジャッジすべきポイント

そして、次の施策の準備として、現行施策の進捗にあわせて、こまめに状況を共有し、結果が良くても悪くても、経営層と決済者が手応えを感じられるような演出をすることです。そうすれば、オンライン市場で起こっていること、取り組むべき課題への共通理解が生まれるはずです

「それでも、わかってもらえないんだ!」という場合は、論拠とロジックの組み立て、特に数値による演出が失敗している可能性が高いでしょう。

担当者が施策の目的としての伸びしろ(投資対効果)を語るだけでは、Webの施策を理解してもらうことは難しいのです。「売上」「利益」というフィールドは、決済者の主戦場で戦うということです。

彼らのほうがウワテの分野であり、詰めの甘さがあれば論点はそこに集中してしまい、肝心のWeb戦略は「よくわからん」となってしまうかもしれません。わからないものには「お金は出せない」のです。

図15:自社サイトビジネスにおける特徴を「勝ちパターン」として可視化

ところで、Web解析では、課題やダメな部分を洗い出すことで、「改善」が行われる材料となります。しかし、改善ばかりが強調され、自社サイトビジネスにおける特徴を「勝ちパターン」として可視化して、論理的に構造化する作業が軽視される傾向にあるのではないかと私は感じています。そもそも、Web担当者を配置できるぐらいの予算があるのですから、自社サイトは市場で全方向100%負けているはずありません。

図15のように、

  • 自社サイトの集客の特徴と課題
  • 既存収益の守りと成長性の維持
  • それ故に攻めなければいけない領域

などを提示して、攻めと守りのアクションを明確に定義付ければ、事業内で施策を共通認識しやすいはずです。細かい施策のディテールはさておき、事業とWeb戦略で互いの目的を投影し、「攻め」と「守り」の領域でまずは戦略の同意を取り付けましょう。

大枠でその攻めと守りが同意できれば、「将来のビジネスにどのような影響を与えるのか?」という成長シナリオとイマジネーションを決済者と共通認識として描くことがでますし、施策への理解を得るための工数(説得の手間)も削減できます。

よくいわれる「モノ言う社員」というのは、批判や評論を繰り返すのではなく、仮説と可能性の提示、踏み込んでみるべきと判断できる材料を整え、進言できる人材のことであると私は考えています。

また決済者も、施策の結果に対して失敗成功、良しあし、勝ち負けだけで判断しているわけではありません。ジャッジをするのは決済者であり、責任も彼らにあります。決済者はあくまでも、誰が前に進むべき材料を持っている(仕入れてくる)のかを重視しています。

未来への可能性と判断材料を準備できるWeb担当者になれば、きっと次の大きなプロジェクトの決済者も、可能性を提示できる「あなた」に声がかかることでしょう。

3rd STEP
メンバーの自発力を高める演出ってできている?

最後に、Webサイト運営に係る人々の連携について触れましょう。運営の現場で、ディレクター、クリエイター、SEといった各担当者は、お互いの工数の関係でなにかと、ギスギスしがちです。Web担当者であるならば、彼らをモチベーションアップして、施策のスピードを落とさず工数もムダにしない工夫が必要です。

まず図16のように、現状の課題と推進施策の組織内共有については、先述の決済者への提言と同じですが、大事なのは役割だけを伝えるのではなく、全体の戦略のなかで、それぞれの担当者自身が何に「貢献していくべきか」を可視化して、意識してもらうことです。

図16:担当者自身が何に「貢献していくべきか」を可視化

部分的な役割だけを伝えて施策を推進すると、それぞれ個別の最適が進み、結果として全体の足並みが乱れてしまうこともあります。また、ときには担当者の思い込みや、自分の感性だけで物事を進めてしまう可能性もあります。

あくまでも全体戦略と成長のシナリオ、そのなかで担うべき役割を意識してもらい、自身が担うべき役割はなんなのか、全体像のなかで具体的にイメージしてもらえる状態を作ることが大切です。

そのためには事業全体を理解し共感できる戦略ブレスト会議や、経営戦略の共有勉強会を定期的に行うことが効果的です。おそらく「関係ない」とそっぽを向いて関心を示さないメンバーが出てくることもあるでしょう。そういった人員には、全体戦略から見た担当部門のKPIを明確化する形で丁寧に説明し、動きの是非を客観的なWeb解析数値の結果で意識してもらうようにしましょう。

図17:両施策が全体戦略に与えた役割を評価

また、最も施策の進捗に影響を与えるのが、それぞれの施策担当者が部門の方針を受け入れないという状態で、経験豊富で腕の良い担当者でも、こだわりや信念が強いと、どうしても個人の直感や感性を重視する傾向にあります。これは私自身にも当てはまることで、戦略を立てる側の人間こそ、常に分析データと客観的な事実をもって判断する心構えが必要です。

この場合、予算的な問題がクリアできるのであれば、施策担当者とWeb担当者の施策、両方を推進してみましょう。おそらくWeb担当者側が提言した施策のほうが、全体の戦略に見合ったKPI定義を行っている分、影響力を発揮しているはずです。

図17のように、両者を行った結果を、KPIに基づいた数値で提示して、全体戦略に与えた役割を担当者とともに評価するようにしましょう。もちろん施策担当者の信念に基づいた施策も結果が伴えば、その結果を最大限に評価して尊重しつつも、あくまで全体戦略に沿った考え方のほうが、影響する範囲も大きいということを伝え、組織的な貢献を軸に施策を進められるような環境作りをしていく必要があります。

これもまた労力のかかる作業ではありますが、他者の進言や指示を強制的に遂行させるよりも、成功体験に由来した自発的な行動で、組織課題を意識してもらったほうが仕事の精度も高く、敏捷なフットワークを実現してくれます。

施策に対して、友好的でない反応をしていた担当者にその成功体験の伝播が起これば、結果的に全体戦略に紐付いた組織運営を推し進める効果が生まれることになるでしょう。

◇◇◇

以上、前編と後編に分けて、Web担当者からプロデューサーへの飛躍と、理想の施策を推進するための考えを説明してきました。ポイントは、「係る人々」と「物事の配置」の相関関係を明確にして俯瞰し、戦略と戦術の定義を行い、「役者」の配置を考え、舞台を整える演出家としての動きにあると考えています。

面倒に感じるかもしれませんが、自分がやりたいこと、正しいと感じること、そして導きたい未来があるのならば、決してムダではない作業です。理解と共感、そして結果が得られれば、組織全体が、きっとあなたの推進力を期待して、次なる戦略へのステージを皆が用意してくれるでしょう。

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