初代編集長ブログ―安田英久

グーグルはなぜHTTPSをランキングシグナルに使うことにしたのか

HTTP(SSL)を使っているサイトは順位が上がる? なぜ? コンテンツに関係ないじゃん
Web担のなかの人

今日は、SEOの話題を。グーグルが、サイトでHTTPSを使っているかどうかをランキングシグナル(順位付けの要因)にすると発表しましたが、これはなぜなのでしょうか。SSLとコンテンツの質には関係ないのですが……。

グーグルは、HTTPSを使っているかどうかを、ランキングシグナルに含めるようにしたことを、8月7日に発表しました。つまり、HTTPS(SSLが有効)で提供されているページは、そうでないページよりも評価が高くなるということです――現在はまだ影響範囲が狭いようですし、コンテンツの良さに比べれば「ほんの少し」の程度だということですが。

この発表に対して、こんな疑問をもった方は多いのではないでしょうか。

なぜHTTPSが順位に影響するの?
グーグルは良いコンテンツのページを上位にしたいのではないの?
SSLを使ってることが、コンテンツの善し悪しと関係あるの?

私の考えでは、「HTTPSを使っているかどうかはコンテンツの善し悪しには関係ないが、それによってユーザーの体験を向上させられるから、グーグルはランキングシグナルとして扱うようにした」のだろうと思っています。

つまり、HTTPSによって、より安全に、より不安なく、ユーザーがサイトのコンテンツに触れられるようになるということですね。

ちょっとWebから離れて、レストランの善し悪しでたとえてみましょう。

「良いレストラン」というと、料理がすばらしいところを思い浮かべますが、レストランの評価を決めるのは料理の味だけではないですよね。

  • 外観や内装などを含めた雰囲気
  • 行きやすいかどうかの立地
  • 他にどんな客がいるかの客層
  • 接客サービスの質
  • 料理が出てくるタイミング
  • 料金

などなど、レストランの質のコアである料理以外にも、その評価を左右する要因はたくさんあります。そして、こうしたものが全体として「あのレストランは良い」「悪い」といった評価をつくります。

だから、「良いレストランを教えてよ」と言われたら、料理の味だけでなく、こうした要素も含めて考えますよね。

検索エンジンがWebページを検索結果に表示するのも同じではないでしょうか。

すばらしい内容のページでも、コンテンツを区別できないぐらいにたくさんの広告が貼られていたり、ページの表示が非常に遅かったり、アクセスするとセキュリティ上の問題を生じたりするようなサイトは、オススメしたくないですよね。

HTTPSの使用というのは、昨今のWebの状況で、より良い体験を提供する要因だとグーグルは考えているのでしょう。

もちろん、SSLを使うことでページ表示速度に悪い影響があったり、非HTTPSページへのリンクでリファラーが渡らなかったりといった問題がありますし、グーグルはSSL証明書の組織名を情報として取得しようとしているのではないかという疑いも出たりはするのですが、そのあたりは、ひとまず置いておきましょう。

大切なのは、グーグルがWebページを評価するときには、「中身が良ければいい」という考え方ではなく、「全体としての体験が良いかどうか」を見るように、これからもどんどんなっていくのだろうということです。

やっぱり、エクスペリエンスなんですね。

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