広告枠をプログラム買い付けする企業が海外では85%、P&Gは今年中に7割をプログラマティックに
今日は、広告のお話を。IABの調査によると、海外ではすでに85%の企業が、自社の広告を掲載するための広告枠の買い付けに、プログラマティック・バイイング(プログラムによる買い付け)を試みているというのです。
これは、IABが2013年11月に発表した調査資料にあるもの。半年前の資料ですが、私が知らなかった&「85%も!」とびっくりしたので紹介します。
図でいう「オークションベースのメディア売買」とは、「プログラマティック・バイイング」も呼ばれ、広告主はDSPを使って広告出稿のオーダーを出し、メディア側はSSPを使って広告枠を提示し、RTBなどの仕組みを使ってリアルタイムで(訪問者がサイトを訪れるたびに自動的にオークションを行って)どの広告を表示するか決めるもの。
既存の広告枠は「広告をどこに表示するか」で決まっていましたが、こうした広告枠の買い付けでは、「どんな属性の人か」によって入札する方式が可能なため、「狙った層の人が集まるだろう場所に広告を出す」のではなく、「狙った層の人に対して広告を表示する」ことが可能になります。
それにしても、85%もとは、すごいですね。
もちろん、「調査対象となった(比較的)大企業のうち、85%が“プログラマティック・バイイングを試みたことがある”」のであって、「海外の85%の企業が広告出稿をプログラマティック・バイイングだけで行っている」わけではないのですが……。
さらには、世界最大級の広告主の1社でもあるP&Gが2014年中には、米国で買い付けるデジタルメディアの70%~75%をプログラマティックにしたいとしているという話もあるようです。
とはいえ、広告主とメディア側では、プログラマティック・バイイングを採用する目的は異なるようです。
さっきのグラフとは「広告主」と「メディア」の順が逆になっているので注意してください。
「運用効率の改善」や「効率的な価値判断」は広告主もメディアも同様に重視していますが、メディアにとってはさらに「収益拡大」が同様に重要で、広告主にとっては「効率的なターゲティング」「より良い体験の提供」がきています。
こうみると、プログラマティック・バイイング(セリング)は、広告主にとってもメディアにとっても良いものであって、どんどん浸透していくもののように見えますが、実際にはそうではないようです。
こうした手法の推進を妨げる懸念点についても調査では聞いています。
広告主もメディアも、「ブランドセーフティ」つまり、ブランディングに対して悪影響を及ぼす形での広告掲載を懸念しています。
広告主にとっては、以前に「うわっ…ウチの広告、こんなサイトに出てたらブランド毀損じゃん! を防ぐアドベリフィケーションとは?」の記事で解説したような、おかしなサイトや適切ではない面に広告が掲載される可能性への懸念ですね。
メディアにとっても同様です。Web担でも少しSSPを試したことがあるのですが、「この広告がWeb担に掲載されていることで、読者にとって価値があるのか」「この広告をWeb担で目にすることに読者は違和感を抱かないのか」という点がまだクリアされきっていない印象です。
すでに多くの広告主やメディアが価値を感じているプログラマティック取引ですから、こうした問題を少しずつ解決していくことが重要なのではないかと思います。
ちなみに、この資料では、「プログラマティック」や「自動取引」といった言葉について、一般的な使われ方よりも突っ込んで解説しています。実際の取引の仕組みは「在庫予約ができるか」「単価を固定で設定できるか」といった軸で分類できるとしているのです。
このあたりちょっと難しいのですが、プラットフォーム・ワンさんがこの部分を日本語化して解説していますので、気になる方は参考にしてください。
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