実践編

⑧ 「お問い合わせフォーム」を疑う前に

⑧ 「お問い合わせフォーム」を疑う前に

「お問い合わせページ」あるいは「資料請求」のフォームのセッション数も、目標の1つとなる。というと、お問い合わせや資料請求の完了画面のセッション数(コンバージョン数)ではなく、フォームページのセッション数なのか、不思議に思われるかもしれない。それは次の2つの理由による。

  1. お問い合わせや資料請求の完了数は、そもそもゴールとして管理されていることが多い
  2. お問い合わせや資料請求の完了数を増やすためには、そもそも、そのフォームのページへの到達を増やすことが不可欠

一度、あなたのサイトでも、図4のように、「フォームにアクセスした人がフォーム送信を完了した率」に加えて、「全体の訪問者のうち、お問い合わせフォームにアクセスした率」を計算してみてほしい。

お問い合わせフォームを疑う前に、そこへの誘導を見直そう
図4 お問い合わせフォームを疑う前に、そこへの誘導を見直そう

調べてみると、お問い合わせや資料請求のフォームに到達した人が完了画面に到達する率(フォームからのコンバージョン率)は比較的高く、しかも意外に安定しているサイトが多い。しかし、そもそもフォームページにアクセスしている人が非常に少ない場合が多いのだ。

月にお問い合わせが5件~10件というサイトがあれば、フォームのページに到達する人数が100~200人というサイトが多いのではないだろうか。フォームから完了画面への動きを「コンバージョンプロセス」と呼ぶが、このコンバージョンプロセスの到達率は「5人÷100人×100=5%」など、5~10%ぐらいになっていることが多いのだ。もし3%以下だとしたらもう少し高める作業が必要になると考えられる。仮に10%あれば、それは優秀なフォームだと言って良いだろう。多くのサイトで実際5%前後ある。

サイト全体の訪問数が月に10,000人でお問い合わせが5件だとすれば、全体のコンバージョン率は0.05%ということになる。「5人÷10000人×100=0.05%」という計算だが、これは非常に低いコンバージョン率だということになるだろう。

コンバージョン率が低い場合、ほとんどのサイトで「フォームが悪いのではないか」と考える。フォームを最適化するEFO(エントリーフォーム最適化:Entry Form Optimization)というサービスまであるぐらいだから、需要は高いのだと思われるが、アクセス解析の立場からすれば、その優先順位の付け方は必ずしも正しくはない。

実際にフォームのセッション数を加えて絵にしてみれば、図4のようになるのだ。つまり、フォームから完了へのコンバージョンプロセスの成績は比較的良い状態であるのに対し、訪問者がそもそもフォームのページに訪れる率が低い場合が多いのである。

全体のコンバージョン率というとらえ方では「どこが悪いのかわからない」が、間にフォームのセッション数という数字を加えることで、フォームの前が悪いのか後が悪いのかが分別できるのだ。そうして分別すれば、「フォームへの誘導を強化しなければならない」と対策が明らかになる。

対策が明らかかになれば、やることは簡単である。今のお問い合わせのボタンでは誘導力が低いわけだから、もっと目立つボタンにしたり、新たに魅力的なボタンを加えたりすれば良い。加える位置はどこにすれば良いか。施策の候補は4つか5つに絞られるだろう。順番に試して効果の高い方法を見つけだせば、誘導を強化できる。

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