初代編集長ブログ―安田英久

レコメンドのCTRは5~13%が一般的 ~最近のレコメンドについてアイジェントECの中の人に聞いてみた

最近話題のレコメンドエンジンの動きについて
Web担のなかの人

今日は、最近話題のレコメンドエンジンの動きについて、レコメンドサービスを提供している会社の中の人に聞いた話をまとめてみます。

話を聞いたのは、「アイジェントEC」というレコメンドエンジンを提供しているシルバーエッグ・テクノロジーさん。

念のために解説しておくと、レコメンドエンジンとは、Webサイトなどで、「この商品もいかがですか?」と薦める機能を実現する仕組み。アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も」というやつですね。概念でいうと、「ユーザーそれぞれが見たいと思うコンテンツや買いたいと思う商品を予測して提示する仕組み」です。

ただ、レコメンドエンジンも、オススメ内容を探る仕組みが

  • コンテンツの関連性ベース
  • ユーザーの行動パターンベース
  • 事前に登録したユーザーの属性ベース

など何種類かあります。

シルバーエッグさんは、これまで「アイジェントASP」として提供してきたレコメンドエンジンを機能強化して、11月16日から「アイジェントEC」と名前も新たにしてサービス提供を開始しているということで、今回、レコメンドについていろいろと聞いてみました。

シルバーエッグさんの技術は、主にユーザーの行動パターンベースのレコメンド。アイジェントASPの時代にも、EC向けに「同じような商品を買って(見て)いる他の人が買っていて、その人は買っていない商品」を薦める、ユーザーの行動パターンベースのレコメンドを実現していました。そのときには、

  • 同時購買相関(一緒に買ったデータ)
  • プライア相関(過去に買ったデータ)
  • ブラウズオーダー相関(見たデータと買ったデータ)

のなかから、ページごとに最適な相関データを選び、リアルタイムで相関を計算していたとのこと。いろいろあるんですね。で、今回のパワーアップで、さらに、

  • ブラウズブラウズ相関(見たデータと見たデータ)

が加わったとのこと。つまり、買わなかったけれども、どのページを見たあとにどのページを見たかの情報ですね。

さらに、「パス・ディペンデンシー(ユーザー動線追跡型)」という、ユーザーごとの動線をリアルタイムで追跡して分析する機能が加わって、これまではある商品のページでは、だれが見ても特定の商品が薦められいたのが、同じ商品ページでも見る人によって異なる商品がレコメンドされるようになったとのこと。あるドレスのページを見た人でも、その前に真珠のネックレスを見ていたのか、喜平ネックレスを見ていたのかで薦める内容が変わるということですね。

シルバーエッグの中の人によると、他のレコメンデーションでもブラウズブラウズ(閲覧+閲覧)相関を利用したものはあったが、比較的ノイズが多かったとのこと。アイジェントECでは、その精度をかなり高めたのだそうです。具体的には、ある顧客サイトでテスト導入したところ、従来のアルゴリズムを利用していたレコメンドのクリック率よりも30パーセント(30ポイントではなくパーセント)高いクリックスルー率を示したのだとか。有名な米Netflixが行っていたレコメンドエンジンのコンテストの勝利条件は既存システムの10%アップ(レーティングの予測精度で)ですから、なかなかですね。

また、既存の技術では大量の過去データを蓄積しなければ有効なレコメンデーションが出せないという弱点もありました。つまり、アクセスや購買の少ないサイトではレコメンドが生かし切れないんですね。でも、アイジェントECではサイト上での個別ユーザーの流れ(クリックストリーム)をベースにしており、全体トラフィック量が多くない(データが蓄積されない)サイトでも有用なレコメンドが可能になるとのこと。これは、コンテンツの入れ替わりの激しいサイトや、ページ数が膨大なコンテンツサイトでも精度の高いレコメンドが可能になるということなので、結構良い部分なのではないかと。

アイジェントECはレコメンド経由の売上額ベースの課金だということも併せると、「うちのサイト小さいから」というところでも使いやすいですね(初期費用も無料ですが、月額ミニマムチャージあり)。今回のバージョンアップでは、レコメンドの結果が良かったものはより強く推薦されるようになる強化学習の機能も追加されたので、サイトの成長にともなって徐々にレコメンドが変わっていくのも、発展途上のサイトにはありがたいかもしれません。

※2009-11-24 ミニマムチャージの件、情報として明確になるように追記しました。

レコメンドというものはなかなか評価が難しいもので、実は、「そのシステムがどれくらい効果があるか」の世界共通の指標はありません。特に、レコメンデーションシステムが出したリンクのクリック数を成果として示す場合も多いですが、リンクのクリックは目的ではありませんよね。

レコメンデーションサービスを選ぶ際には、レコメンドのリンクがどうクリックされたかではなく、結果として求めるビジネス指標への影響がどうなっているかが大切です。購買率を増やせたのか、購買数を高められたのか、平均単価を高められたのか、リピート率を高められたのか。そういったビジネス目的を、導入側の担当者が正しく理解して検討することが、レコメンデーションエンジンでは大切なのです。

商売の基本はお客さまを知ること。お客さまを知ったうえで商品を薦めていくべきなのに、ネットではそれをしにくいものです。レコメンデーションは、そのギャップを埋めるものなので、レコメンドのシステムから得られる、お客さまに関する知識をどう活かしていけるかが重要なんですね。

ちなみに、シルバーエッグの中の人に、レコメンドの一般的なパフォーマンスを参考値として教えてもらいました。

  • レコメンドのクリックスルー率(レコメンドのクリック数÷レコメンドの表示数)=5%~13%
  • レコメンドの購買転換率(レコメンド経由での購買数÷レコメンドのクリック数)=3%~40%

とのことです。もちろん、サイト、ページの種類によって違いますし、指標の定義によってもっと大きい(小さい)数値になる場合もあるので、あくまでも参考として。

Web担でもっといろんな記事を見てもらうのに、レコメンドシステムをうまく利用できないかな……。その前に記事ページのコンテンツエリアやサイドバーのデザインを練るのが優先かもしれませんが。でも、まずレコメンドを導入して、そこから得られた情報をもとに、サイトをどう改善したらいいかのヒントを得るというのもアリかもしれませんね。

・今回話を伺ったシルバーエッグ・テクノロジーさん
http://www.silveregg.co.jp/ja/

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