インタレストマッチが創る未来ヤフー株式会社代表取締役社長 井上 雅博氏
インタレストマッチが創る未来
ヤフー株式会社代表取締役社長 井上 雅博氏
続いてのセッションは、ヤフー社長の井上氏による講演。会場にいた700人強の参加者のほとんどが広告主だったということだが、オーバーチュアがヤフーと統合され、スポンサードサーチとインタレストマッチが本格的にヤフーの広告事業として展開されるにあたっての井上氏の登壇に、安心感と信頼感を感じた広告主は多かったのではないだろうか。ヤフーの力のいれ具合を感じたセッションだった。
井上氏はまず、インターネット利用時間はますます拡大していっていることを示した。人間がパソコンの前に座っている時間は限られているが、ケータイやスマートフォンがどんどんネットにつながってきており、全体としてネットを使う時間はどんどん増えている。また、テレビもカーナビもネットにつながっていって、常に2~3種類のネット接続デバイスが手元にあり、状況に応じて適切なデバイスを使っている。ダブルウインドウ・トリプルウィンドウを含めて、今後もネットを使う時間が延びていくだろうという。
そして、そのネット利用時間の拡大を牽引しているのは、コンテンツ。ヤフー内でのユーザーの閲覧ページのうち、検索は全体の10%に過ぎず、残りのほとんどコンテンツ閲覧のページビューなのだという。
しかしそのコンテンツはというと、今のインターネットは、だれが見ても同じものが表示される。Yahoo!ニュースでもグルメ情報サイトでも。井上氏は、今後は、より自分に興味のあるものだけを選んで見られるのが当たり前になっていくだろうとした。つまり、サイト側は利用者ごとに合ったコンテンツを提示するようになっていくだろうということだ。
そして、これはコンテンツやサービスだけでなく、広告でも同じなのだと井上氏は言う。拡大するネットの利用を牽引するコンテンツと、ユーザーごとにニーズに合ったものを提供していく流れ、その2つに対するヤフーの答の1つがインタレストマッチなのだという。
コンテンツページでユーザーごとの興味関心をとらえるというのはどういうことだろうか? 井上氏は、検索ページでは検索キーワードがあるからいいのだが、コンテンツページでは、もっと別の要因からユーザーのニーズをとらえる必要があり、インタレストマッチはそれを実現しているのだという。
その手法としては、
ターゲティング
性別・年代・地域・時間帯などで、広告配信ターゲットを絞り込む。
→無駄な広告費用が発生しないようにマッチング
過去に閲覧していたページがどんな内容なのか、ページ閲覧直前にどんな検索をしてページにたどり着いたかなどを元に最適な広告を表示。
→興味をもつ人に合った広告を出すことで、クリックを向上(※直前の検索履歴を利用した広告配信はヤフー株式会社の特許技術)。
といった技術を挙げた。
そのうえで、そういった技術を利用することで広告を表示する対象を絞り込むことは、インプレッションの減少につながるのだが、それに対して井上氏は、すでにインタレストマッチは膨大な数のインプレッションを実現しており、さらにその対象が拡大中であると強調する。
インタレストマッチのインプレッション数は、Yahoo! JAPAN本体とパートナーを合わせて総配信PV数が400億PV(2009年9月時点)と、すでに十分すぎる数に成長しており、さらに今後も増やしているのだという。
筆者も、インタレストマッチのスタート後に「広告の表示回数が少ないんですよね」といった声を聞いていたのだが、サービス開始から1年で、ここまで大量のインプレッションを確保できるまでに成長していることに驚いた。
井上氏はさらに今後は、Yahooの検索以外のすべてに配信していく予定であり、これによって、ヤフーのなかだけでも検索連動型の10倍以上のパイにリーチしていけるのだという。もちろん、良質なコンテンツをもつパートナーにも配信していくとしている。そうして配信先を増やしていくことで、アルゴリズムによる興味へのマッチングもさらに向上していくとのこと。
スポンサードサーチは米国からの技術だが、インタレストマッチは日本のヤフーが開発した技術。今後もヤフーは継続的に開発していくとしており、ありとあらゆる技術を入れて、もっともクリックされやすい広告に育てていくという。
井上氏は、とはいえインタレストマッチはまだまだこれからの広告であるとして、現状ではまだ利用している広告主も(検索連動型広告に比べると)少ないことから、「今のうちにインタレストマッチを利用すると、競合の広告主が少ないですから、お得ですよ」とのこと。
これまではオーバーチュアという企業が提供してきた検索連動型広告だが、オーバーチュアがヤフーと合併し、これからは、いままでのオーバーチュアと同等、それ以上のサービスをヤフーとして提供していくことを約束して講演は終了となった。
既存のスポンサードサーチの広告主にとっても、ヤフーの代表である井上氏が公の場でこう宣言することで、かなりの安心感が生まれたのではないだろうか。
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