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検索エンジンでの順位とトラフィック価値に関する調査データ

検索結果ページが多様化してゆく中で、順位の重要性は以前のままなのだろうか?

検索順位の今後について、いろいろな推測がなされている。検索結果ページが進化しているのは明白で、以前は検索結果が10件掲載されたシンプルなリストだったものが、だんだんとユーザーや地域に合わせた結果を表示するようになり、wiki的要素が加わるようになった。こうなると疑問がわいてくる。

検索結果ページが多様化してゆく中で、順位の重要性は以前のままなのだろうか?

これに関して、最近ちょっとデータを集めるチャンスがあった。クライアントの中に、主要キーワードの検索順位が今年に入って下がってしまったんだけど(たぶん、グーグルがブランドの取り扱いに関して変更を加えたと言われている件に関連してるんだと思う)、最近になってまた元に戻ったところがあるんだ。

そこで僕はいくつか数字を調べてみて、順位の下落とその後の回復が検索トラフィックにどう影響したかを見ることにしたんだ。

1. キーワードによる直接的なトラフィック

左側のグラフ(I)は、このクライアントの主要キーワードについて、週ごとの検索順位を約7か月間記録したものだ。右側のグラフ(II)は、そのキーワードについて週ごとの検索トラフィックを表している。

グラフ:検索順位と直接トラフィックの対比

頭に入れておいてほしいのだが、このキーワードは

  1. 1語で
  2. かなり一般的かつ人気が高く
  3. 検索順位は7か月の間に1位から5位の間で変動している

グラフ(I)の縦軸は、1位がいちばん上になっている。

まずデータをよく見ることが大切だというのが僕の信条だ。この2つのグラフは、検索順位と直接的なトラフィックの間に、ある程度の関係があることを示していると思う。何らかの関連性はあるけれど、そのことは相関係数(r = -0.31)よりもグラフを見た方が少しはっきりする。思ったとおり負の相関があり、順位を表す数値の小さい方がトラフィックが多いという事実を示している(つまり、5位よりも1位の方がトラフィックに対する価値は高い)。

2. ロングテールのオーガニックなトラフィック

だが、もっと広いSEOの視点から見た場合、このクライアントの主要キーワードの検索順位は、検索トラフィック全体にどのような影響をもたらしたのだろうか?

さっきと同じ検索順位のグラフ(I)の隣に、Googleのオーガニックな検索結果に由来するトラフィック全体の推移を週ごとに7か月間にわたって記録したグラフ(III)を並べてみよう。

グラフ:検索順位とグーグルのトラフィックの対比

ここでは、相関関係が崩れているように見える(r = 0.21)。主要キーワードの検索順位が下落しているとき、Googleからの全体的なオーガニックトラフィックは、夏の終わりごろに下降しただけで、実際には増加している。

これは何を意味しているのだろうか?

では、そもそも検索順位は重要なんだろうか?

そう、順位の下落に見舞われた特定のキーワードから来る直接的なトラフィックに関して言えば、確かにある程度の影響がある。調査からは、検索経由でやってくるビジターの関心(とクリック)が検索結果の3位までに集中しており、そのために1位のサイトが最大のシェアを獲得するということがかなりはっきりしている。

だが、1語だけのキーワード以外に視線を向けると、状況はずっと複雑になる。このクライアントの主要キーワードは、その業界としては当然の選択で、かなり競争が激しいものだけれど、7か月の間にこのキーワードで獲得したトラフィックは、グーグルから得たオーガニック・トラフィック全体の1.3%にしかならない。狭い見方にとらわれて、主要キーワードだけにこだわっていたら、SEOの成果の98%以上を見逃してしまうところだった。

もちろん、僕は検索順位なんて無意味だと言っているんじゃない。ただ次に述べるように、視野をもっと広くすることが大切だって言いたいんだ。

  • さまざまな、ロングテールのキーフレーズを追跡する。
  • 実際にビジターが使用した検索フレーズを追跡する(使われているだろうと思うフレーズじゃなくね)。
  • 検索からの全トラフィックなど、検索解析を判断材料に取り入れる

「ロングテール」という言葉はもう聞き飽きたって思うかもしれないけど、ロングテールの影響は日増しにその意味を強めている。このケーススタディの対象とした7か月間、ビジターがこのクライアントのサイトをグーグルで見つけ出すために、それぞれ異なる25万種類以上のキーワード(キーフレーズ)が使用された。このうち80%以上は、主要キーワードのいかなるバリエーションも含んでいなかった。

つまり、個々のキーワードベースで考えるなら、検索順位が今も意味を持っているのは確かなんだが、いちばん重要なキーワードで1位の座にいるだけでは、もう十分ではないってことなんだ(もっと言えば、重要だと考えられる複数のキーワードすべてで1位の座を占めていてもね)。検索順位だけを追いかけていたら、全体像を見失ってしまうよ。

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