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利益vs損失? プライミング効果? 測定作用? - 行動経済学の“選択アーキテクチャ”(後編)

実践 行動経済学のSEOへの応用(最終編)
Distilled
SEOmozは英国Distilled社と提携し、検索エンジン市場のニュースと情報を提供している。この記事はDistilled.co.ukに勤務する協力者から提供されたもので、内容はすべて筆者自身の見解であり、SEOmozの見解を反映しているとは限らない。
実践 行動経済学——健康、富、幸福への聡明な選択

書籍『実践 行動経済学』の内容からSEOを考えるこの記事は、3回に分けてお届けしている。今回が最終回となるが、引き続き『実践 行動経済学』の中からWebサイトやSEOに応用できそうな人間の特性を見ていこう。

利益 vs. 損失

よく知られていることだが、たいていの人は利益を得ることに比べると、損失を被ることを強く恐れる(ギャンブル中毒の人では、これがあべこべになっているようなケースも見受けられるが)。

この情報を利用するには?

この作用は、「現状を維持したがる」というさらに強力な作用へとつながる。これは、人々が現状のままを維持することを好む理由の1つに過ぎない(単なる惰性も理由の1つだ)が、強力な作用へとつながるものだ。もし君が人を駆り立てて現状を変える行動を起こさせることができれば、引き続き利益を得られる可能性が高くなる。

リンクビルディングにおいては、短期間(おそらく、トピックの関連性が特に高い間や、一度限りの刺激で驚きが継続する期間)だけリンクを張ってくれるよう誰かを説得できれば、しばらくの間はそのリンクを張ったままにしてもらえる可能性が非常に高い。同様に、メーリングリストや何らかのサービスに登録した人は、最初に思っていたよりも長く登録したままにしておく傾向がある。

「心の中の割り当て」と交換可能性

僕は「交換可能」という言葉が好きだ。これは、物事(お金など)の性質を表す言葉で、あるものが他のものと等価であることを示している(2枚の20ドル札がある場合、どちらか一方をもう一方より好むという合理的理由はない)。このことを認識しているにもかかわらず、多くの人は「お金」を交換可能なものとして扱わない。心の中でお金を具体的なものに割り当てているのだ(この口座の預金は部屋代で、財布に入っている現金は夕食の分、といった具合に)。多くの人は、たとえごく短期間であっても、割り当てとは違うところから資金を引き出すことに驚くほど消極的になる。

この情報を利用するには?

人に働きかけてお金を払ってもらおうとするときには、より大きな「心の中の金庫」から自社サービスを購入してもらいたいところだ。SEOサービスを売っているなら、単に「SEO予算」が必要だと主張するよりも、PRや広告の予算だとした方が、はるかに多くの資金を獲得できることがよくある。

同様に、広告を掲載しているページよりも、広告を掲載していないページからの方が、リンクを獲得できるチャンスは高いかもしれない。どちらのページも君にとって相対的に交換可能(同じ価値)だが、広告を掲載する側にとっては違う価値のページだととらえられているかもしれないからね。

プライミング効果と測定作用

上で説明したアンカリングによるバイアスと同じように、前もって意向を尋ねられるだけで、人間の行動には差が出る。投票日の前日に投票しにいくつもりがあるかを尋ねられた人は、次の日に実際に投票所を訪れる可能性が高くなる。

この情報を利用するには?

慈善団体はこの効果を熟知しており、寄付を依頼する前に、相手がさまざまな問題についてどの程度関心を持っているか質問することが多い。リンク構築に際してこの作用が君に有利に働く状況なら、非常に有効な作戦が可能になる。まずアンケート調査で関係を築き、続いてリクエストを出すんだ(アンケートで特定の行動をとる気があるかどうかを尋ね、続いてその行動を依頼する)。

ただし、こうしたやり方は、人がその行動を「やるべきである」と感じる場合に限りうまくいくので、使用は控えめにするように。思うにこれは、人は他人がしていることをやりたがるという群集心理と密接に関係しているのだろう。

社会的強化を通じてこうした群集心理を利用する方法は実にたくさんある。他人に好んで読まれたように見える記事が、さらに大勢によって共有される可能性が高くなるのも、こうした群集心理によるものだ。ソーシャルブックマークのボタンを記事に埋め込むときには、この点を考慮するといいだろう。善良なやり方としては、自分が不人気であるように見えてしまうものを設置しないように。ちょっと腹黒いやり方としては、何が自分の人気をより高く見せてくれるかを考えてみよう。

選択肢を均等に扱う傾向

どうやら人には、目の前に提示された各選択肢を均等に扱おうとする傾向があるようだ。自分の貯蓄から株と債券に投資する(これは単純化した例)割合を尋ねられた人は、50対50と答える傾向がある。ところが、選択肢を変えて、米国株、英国株、債券に投資する割合を尋ねられると、答えは「それぞれ3分の1ずつ」になる傾向がある。変な話だよね?

この情報を利用するには?

これは、ビジネスに関する部分でより多くの応用法があると思う。予算について話し合っているときは、こうした作用が働くことに注意しよう。通常SEOにあまり予算を割り当てない人たちに対しては、多数の項目の1つとして(「デザイン」「開発」「テスト」「PR」「PPC」「SEO」)ではなく、大きな予算項目とともに、SEO予算を提示してみよう(「新しいサイトのデザイン」「開発」「SEO」のように)。

◇◇◇

締めくくりに、どのような場合にナッジが最も有効に機能するのかを簡単にまとめよう。

ナッジは、日常的に行っている小額の取引に関する決断や、十分に理解していることについての決断を促す場合には(および、決断してから見返りやコストが確定するまでが時間的に短い場合も)ほとんど効果を発揮しない。誰かに対して、その人が好むアイスクリームの味ではなく、あまり好まない味を選ぶようナッジすることは難しいんだ。

ナッジが最も有効に機能するのは、その反対の状況、つまり、たまにしかないような大金の関わる決断について、それがあまりよく理解できておらず、決断してから利益を実感できるまでにしばらくかかるケースだ。これは、自分の決断に対するフィードバックを十分に、あるいは即座に得られない(あるいは、フィードバックを得るチャンス自体がない)状況であり、したがって、人は自分の「直感」に頼ることになる。これは非常に「ナッジしやすい」状況なんだ。これが取締役会やCEOがSEO支出を決定する際の典型的な状況といかによく似ているかに注目しよう!

いつものように、「ザ・シンプソンズ」のホーマーの話がこの状況をうまく説明してくれる(『実践 行動経済学』の内容から)。

キャニオネロ(車)のセールスマン:はい、これがリース料の分割払いの明細です。これが頭金で、これが毎月の支払いで、そんでもってーーー、これが毎週の支払いです。

ホーマー:で、これで全部だよね?

キャニオネロのセールスマン:ええ……あ、それから最後の月払いの後に、お決まりのCBP、クリップリング・バルーン・ペイメント(破滅的な巨額の支払い)があります。

ホーマー:でもそれ、ずっと先の話でしょ?

キャニオネロのセールスマン:その通りです!

ホーマー:最高!

みんなが今回の話に興味を持ってくれることを願っているよ。僕たちの意思決定プロセスにおいて、経済的合理性のない事柄が関係しているという事実に、僕は大いに魅了された。他の人の事例や、SEOまたはCROにおけるここに挙げた以外のナッジの応用法についてコメント欄で聞かせてもらえたらうれしい。

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