特定電子メールはどこまで? 担当者が気になる15問のチェックシート―メールマーケティング特集(9)
法改正で何が変わったのか
はじめに述べた法改正の特徴でもあげたように、今回の特定電子メール法改正は大きく3つのポイントに分けられる。
- オプトイン方式の義務化
- 表示義務の徹底
- 罰則の強化
それぞれについて詳しくみていこう。
1.オプトイン方式の義務化
改正以前の特定電子メール法では、メールの件名欄に「未承諾広告※」と表示し、配信停止の方法が説明されているならば事前の許可なしに特定電子メールを送信することができた。受信したメールが今後必要ないと、受信者が配信停止の手続き(オプトアウト)を取った場合にのみ、送信者は再送信を停止すれば法律的に問題はなかったのだ。
ところが今回の改正によって、事前の承諾による同意の取得(オプトイン方式)と、その同意を証する記録の保存が義務付けられた。
- 表示義務を守っていればいきなり送信してもよい
- ユーザーから拒否通知があれば、以降の送信は禁止
↓
- 事前にユーザーの同意(オプトイン)がなければ、原則送信禁止
同意の取得方法
オプトインにおける「同意」とは、受信者が広告・宣伝メールの送信が行われることを認識した上でメールの受信に賛成の意思を示すこととされている。ただし、同意取得の際に表示すべき事項は、一律には限定されていない。では具体的にどうやって「同意」を取得すればいいのだろうか。Webサイトの登録フォームを例に説明しよう。
メールマガジンなどの特定電子メールを送信することを明記し、チェックボックスなどを設けて利用者の賛成の意思を取得する方法が考えられる。他にも、総務省のガイドラインではより具体的な項目が推奨事項としてあげられている。
- 極端に小さな文字で表示するなど、わかりにくい表示は避ける
- 頻度や容量が多い場合はその旨を記載
- イベント主催者等の第三者を通じて利用者から同意を取得する場合は、あらかじめ別の特定の送信者・送信委託者から広告・宣伝メールが送信される旨を表示
- 配信希望欄をデフォルトオフに設定する(※左の画像の例)
- ダブルオプトイン方式(登録しようとしているメールアドレスに確認用のメールを送り、受信者の操作があったうえで本登録となる)の採用
同意を証する記録の保存
もう1つの重要なのが、取得した受信者の情報とともに、「同意」を記録として残さなければならない点である。ここでいう記録は、個別のメールアドレスに関して次のいずれかの内容を指している。
- 同意を取得した際の時期・方法などを示す記録
- 個別のメールアドレスに関し、取得方法別区分をわけて記録
- 書面:当該書面に記載した定型的事項
- 電子メール:当該電子メールの定型的部分
- Webサイト:当該Webサイトの画面構成(スクリーンショット)
これらいずれかの当該記録に関して、特定電子メールの送信をしないことになった日から1か月間を経過する日まで保存することが義務付けられている。
オプトインの例外
このオプトイン方式だが、同意を取得しなくてもいい例外が存在する。
- 電子メールアドレスの通知をした者
名刺などの書面によって電子メールアドレスを送信者に伝えた者を指す。この場合、通知した相手から電子メールの送信が行われることについて、一定の予測可能性があることから、オプトインの例外とされている。
- 取引関係にある者
すでに取引関係にある人に対しては、ビジネスの実態として広告宣伝メールの送信が問題なく行われているため、受信者側もこうしたメールの送信を予測できることから例外とされている。
- Webサイト等で自己のメールアドレスを公表している団体、営業を営む個人(※ただし、特定電子メールの受信を明確に拒否している場合は不可)
同様にサイト上に問い合わせ先を記載している場合も、公開している事業者に対して、広告宣伝メールを送信することは実態的に行われており、ビジネス慣習上一定の範囲で認められていると考えられ、例外となる。また、そもそも電子メールアドレスの公表は、基本的に電子メールを受け取るために行われるものであることから、一定の送信は許容されるものと考えられている。
2.表示義務の徹底
表示義務の徹底では、受信者が事前の同意を通知しているメールであるか容易に判断できるように、メール本文内もしくはリンク先ページ内に以下のような項目の表示が義務付けられている。
- メール本文内必須
- 送信責任者の氏名又は名称
- オプトアウトの通知ができる旨の表示と連絡先(電子メールアドレスまたはURL)
- リンク先ページも可
- 送信責任者の住所(メール本文ではなくリンク先ページでの記載も可)
- 苦情や問い合わせ等を受け付ける電話番号、電子メール、URL等(リンク先ページでの記載も可、電話番号は推奨事項であり必須ではない)
これも実際の表示例を示して説明しよう。
特にモバイル向けメールなど、表示内容に限りがある場合はメール本文内での表示が必須とされる送信責任者の氏名または名称やオプトアウトの通知ができる旨と連絡先以外は、リンク先のページに記載しているケースも多い。総務省では次のガイドラインを発表している。
- 送信責任者の氏名又は名称は送信メールの本文中で、容易に認識できる任意の場所
- オプトアウトの通知ができる旨の表示は、メールの本文中で容易に認識できる任意の場所で、オプトアウトの連絡先(メールアドレスなど)の前後が望ましい
- 送信責任者の住所、問い合わせ先はリンク先でも構わない
3.罰則の強化
最後のポイントとして、今回の改正では罰金額の引き上げをはじめとした罰則が強化されている。
- 罰金100万円以下
↓
- 罰金3,000万円以下
その他にも報告徴収・措置命令の拡大などさまざまな対策が講じられている。
- 電気通信事業者における役務提供拒否事由の明確化
送信者情報を偽った電子メールの送信の場合、電気通信事業者(通信インフラ提供者)が送信を拒否できる
- 電子メールアドレス等の契約者情報の提供を求める規定の創設
プロバイダなどに違反者の情報提供を求めることができる
- 報告徴収・措置命令等の対象の拡大
国内の事業者が、海外の事業者に送信を委託した場合でも対象になる
コメント
良く分かりました
インターネット上にメールアドレスを公開しているアドレスは、特定電子メールの例外になる事を知りました。