CMS学会が発足! 上司説得に使えるCMS導入の費用対効果の指標づくり活動がスタート
Webサイト制作のロフトワークは7月23日、200件をこえるCMS導入の実績をもつロフトワークと企業のWebサイト運営で先進的な取り組みをしているWeb担当者が経験やナレッジをもちより、企業のWeb担当者などに役立つCMS導入の費用対効果(ROI)を測るためのサンプルとなる指標づくりを行う活動、「CMS学会」をスタートした。
CMSは企業サイトに欠かせないツールとなりつつあるが、CMS導入プロジェクトは規模が大きくなりがちで、まとまった予算が必要な場合が多い。運営効率の向上、情報発信力の向上、統一したデザインによるブランディングの向上など、CMS導入のメリットはさまざまだが、Webサイトごとに目標や指標が異なるため参考データを入手するのは困難であり、実際に費用対効果を示して社内承認を得ようとするのは難しいもの。そこでCMS学会では、CMS導入を支援するロフトワークと、すでにCMSを導入した実績のある企業の担当者の経験をもちより、Web業界全体で利用できる形で、CMS導入の費用対効果の指標をまとめていく。
「今、CMSがいろいろなところで進んでいるなかで、CMS導入の費用対効果が業界として明示されていなく、担当者が苦労されている。業界として費用対効果の指標をまとめていきたい
」というロフトワーク代表取締役の林氏。学会のレポートは、クリエイティブ・コモンズのライセンス「表示-非営利 2.1」で公開していく予定だという。
5つの項目別にCMSの費用対効果を指標化していく
第1回の学会では、具体的な数字に落とし込むための指標づくりが行われ、次の5項目をもとに、会社の経験を交えて指標づくりに向けた議論がなされた。
- 構築コスト
- 運用コスト
- 情報発信力
- アクセスデータ
- その他
たとえば、構築コスト(ページ制作)では、「ページ制作単価=プロジェクト原価概算÷ページ数」といった指標が掲示された。経営層にわかりやすく伝えるには、Web全体の原価という大きな規模だけでなく、制作会社に発注するとページ単価がこれだけかかるが、CMSだとこれだけ削減できると、小さなスケールで伝えることも有効だという。
また、運営コストでは、年間300万円の更新費用を削減できると、決済を通してもらったという例も話されていた。導入前に比べて、外注していたページ制作費と運用費を削減できると経営層を説得したという。
8月中に第2回会合を行い、9月に最終的なドキュメントを公開していく予定だ。なお、先日開催された、第1回CMS学会のレポートはロフトワークですでに公開されているので、そちらも参考にしてほしい。
コメント
偏りが
学会とあるが参画者がかたよりすぎているように思えました。
この一企業の集まりが、さも標準のように見えるのはどうか思います。学会、などと銘打つならもっとオープンな「場」を提供すべき。
現状はユーザー会の
現状はユーザー会のような小規模な会ですが、レポートは二次的著作物が作成できるライセンスで提供されるので、ここでまとまったレポートがそのまま業界標準になるというよりも、そこからもっと大きな場へと議論が広がっていくのではないかと予想しています。
会でも話されていましたが、同じ業界でもサイトの目的や運用体制によって企業ごとに指標が異なるため、参考になる情報を得るのに現場で苦労されているようですから、業界で広く役立てられることを目標に、こうした活動が開始されたこと自体にも大きな意味があると感じます。
指標作りという点では、おそらく他にこうした活動はされていないのではないかと。
CMS導入のRFPについては、日本ウェブ協会のCMSワーキンググループが、CMS導入のRFPサンプル作りを行うと昨年のCMS Conferenceで発表していますね。