JWDA WEBデザインアワード、第4回グランプリはアスクルの「みんなの仕事場」が受賞
日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)が主催する、「JWDA WEBデザインアワード」の第4回グランプリおよび各賞の受賞発表が2月26日に東京で行われた。
WEBデザインアワードは、優れたWebデザインを評価し、優秀なWEBデザイナーの発掘や新しいチャンスの創造を目的としたアワード。Webデザイナーの技能やビジネススキルの向上など、Webデザイナーの市場価値の向上を図り、Webデザイン産業の育成、振興、発展を目的とするJWDAによって2006年にスタートし、第4回を迎える2008年のアワードには180作品が応募。各審査員によってグランプリ作品を含めた15の受賞作品が発表され、第4回グランプリは、アライドアーキテクツが制作したアスクルの「みんなの仕事場」が受賞した。
第4回 JWDA WEBデザインアワード最終審査結果
http://www.jwda.jp/event/award04/results.html
ユーザー視点とビジネスの両立が評価。審査員トークセッション
グランプリ受賞式の後には、審査員が評価のポイントを語るトークセッションがJWDA会長の日野水穂氏をモデレーターに行われた。アワードの評価は、グラフィックデザイン、インタラクションデザイン、インターフェイスデザインに加え、JWDAの視点を加味して行われている。ただし、見た目のデザインやクリエイティビティありきではなく、「グッドデザイン=グッドビジネス」と審査員の中西氏が語るように、ビジネス観点でいかに優れているかが評価ポイントとなる。グランプリを受賞したみんなの仕事場はどのような点が優れていたのだろうか、各審査員が評価を語った。
グランプリを受賞したみんなの仕事場は、満場一致で高い評価を得たという。まず、ユーザビリティコンサルタントのビービットの遠藤直紀氏は「一番すばらしいと思ったのは、オフィス事業を訴求していくというビジネス目的があると思いますが、それが全面に立っていないこと。控えめにされていて、利用するユーザーの目線でユーザーの役に立つサイトにしている
」と語った。
オフィス事業を行うアスクルとしては、自社製品や事業を訴求したいところだろう。だが、その部分を主張しすぎずに、ユーザーの目線でオフィスについて知りたい情報を紹介することで、ユーザーに役立つサイトを目指しているのがポイントだという。一方で、そのオフィスで扱う家具やおすすめ商品などをアスクルで買えるようにも設計されており、ユーザーが知りたいところ、欲しいところで購入を促すように情報を出している点が、ビジネス観点での高い評価にもつながっている。
続いてECの観点からサイトを評価したという通販評論家の村山らむね氏は、「何かを買おうとしたときに、それに関わる情報が商品に限らず綺麗に並べられている。住宅や家具は、今まではモデルルームという形でお手本を見せていましたが、アスクルではこれさえもCGMです。みんなはオフィスをこうやって使っている、君もこんなオフィスにしてみたらというのはすごくおもしろい
」と話す。加えて、さりげなくアスクルで買えることを伝えている点、たとえ扱っていないとしても、すぐコンサルタントに相談できる点など、ECサイトとしても優れていることを解説した。
「自分のオフィスに対する意見がどのように書かれているのか、なんども見に行きたくなる。設計も今たまっている情報もすばらしい。これからの発展がとても楽しみなサイトだと思います
」(村山氏)
PAOSグループ/ワールド・グッドデザイン代表の中西元男氏は、「グランプリは順グランプリ(イオン)とともに非常に議論がされました。私はこの2つは総合点で非常にバランスがとれていると思います。いろいろ評価ポイントはありますが、マイナス点が付いていない部分で、この2つは抜きん出ていたのではないか。また、見る人と送り手が結び合わされる部分がすばらしい
」とコメント。
CGMサイトとして制作したというみんなの仕事場では、オフィス写真の投稿の他、オフィスを見たユーザーが評価やコメントをつけることが可能で、その結果がすぐに反映されるようになっている。準グランプリのイオンとともに高評価を得た作品だが、グランプリ受賞にはユーザー参加型のコンテンツで新しい試みに挑戦した点が決め手になったという。
この点について、ジャパンライフデザインシステムズの谷口正和氏も、「文具だけでなくてオフィス空間そのものについてサービスをするという、オフィスの問題を次のステージへ進めるとき、そこに大きなアイデアがあったと思います。それはお客様をサンプルにすること。それによってお客様自身が覗きに来て、他社オフィスを見てこういうものもあると感じられる。より新しいトライアルが全面にでた作品ということがグランプリの分かれになった
」と、評価を語った。
「私はこのサイトは立ち上がったばかりと思っていたのですが、これだけのコンテンツが蓄積されていて、今後の展開発展が楽しみだと思って見ました。アスクルさんのお客さんに限らず、さまざまなオフィスを取材されているようで、素敵なオフィス空間のイメージを借りてサービスをより良く見せていて、うまくできている
」(日野氏)
運営者側のアスクルだけでコンテンツを作るのではなく、オフィスの読者モデルとしてユーザーを巻き込んで、より魅力的なコンテンツを提供するみんなの仕事場。他の受賞サイトにもいえる点ではあるが、企業から直接ユーザーにプレゼンすることにとどまらず、ユーザーにとって役立つ情報を惜しげもなく提供する姿勢が、高評価につながったといえる。
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