Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

こんなメールでリンクが獲得できると思ってるの?(後編)

リンク依頼のメールでスコット君と同じ失敗をしないためにどうすればいいかの手法も紹介する。

この記事は2回に分けてお届けしている。今回も前回に引き続き、スコット君から来た3通目以降のリンク依頼メールを見てみよう。

「悪いリンク依頼メールの典型」を提供してくれたスコット君からのメールをお手本に、リンク依頼をどうするべきか考えるこの記事、次は、彼からの3通目のメール。

「http://www.seomoz.org」のオーナーさまへ

私は、「***」のウェブマスターです。貴サイトへのリンクが当サイトの「*****」のページに追加され、下記の説明文が掲載されましたことを謹んでお知らせいたします。

URL:http://www.seomoz.org
タイトル:SEO(検索エンジン最適化)|検索順位向上に必読のサイトSEOmoz 説明文:SEOmozは検索マーケティング業界のハブであり、SEOサービスのマーケットプレイス、人気の高いSEOブログ、SEOツール、および有料コンテンツを提供している。

貴サイトについて、紹介文やカテゴリ変更のご希望、あるいは何かほかに相互プロモーションのアイデアがあれば、お気軽にメールでご連絡ください。

どうか、***にリンクを張り続けてください。当方ではソフトウェアを使って、自サイトへの全リンクを自動で監視しております。

万一何かの手違いで当方へのリンクを削除してしまった、あるいはリンクを別の場所へ移された場合は、速やかにお知らせください。

お知らせいただけない場合、***からそちらさまへのリンクは3日後に削除させていただきます。

よろしくお願いいたします。
スコット
E-mail:***@*****.***

ねえねえ、スコット君はSEOmozにリンクを張ってくれたんだって。最初の2通のメールに返信してないのに! なんて親切な! それから、向こうはソフトウェアを使って自サイトへのリンクを監視していて、3日以内にリンクバックしなかったら、こちらへのリンクを削除するとか言ってたね。スコット君がこちらへのリンクを張ったっていうページをチェックしてみたんだけど、驚いたことに、ちゃんとSEOmozへのリンクがあった……あれから2か月以上経ってるのに。だから、「3日以内に削除」とかっていうのは全部、単なる脅しだと思う。

ああ、それから、スコット君が「これはスパムではありません!」という文言でメールを締めくくるのをやめたのもよかった。きっと、「何を馬鹿な。僕は立派なスパマーじゃないか」って現実を受け入れる気持ちになったんだと思う。

わが親愛なるスコット君はその後1か月ほど音沙汰がなかったけど、それからはまた同じことの繰り返し。「相互リンクのお願い」っていう最初のとまったく同じメールを2009年3月4日に送ってきた。その2日後には5通目のメールが届いて、今度はちょっとアプローチが違ってた。

「http://www.seomoz.org」のオーナーさまへ

私は「***」というWebサイトを所有しています。そして、ビジターが当サイトへの訪問、および当サイトのコンテンツから最大限の利益を得られるよう、多大な時間と労力を注いでいます。貴サイトと当サイトは密接な関連性があり、互いの製品は競合するものではありません。したがって、相互リンクは互いに利益のあることと考えております。相互リンクにご興味があれば、なるべく早く当方にご連絡ください。

よろしくお願いいたします。
スコット
E-mail:***@*****.***

あのさ、このメールって、こっちに何もかもさせようって内容じゃない。リンクが欲しいのは向こうなのに、どうして私の方が連絡しなくちゃいけないの? もっとおだてなきゃ。こちらのサイトをどんなに気に入ってるか話して、自分も同じようなサイトを持ってることを説明し、ぜひ見に来てほしいと言い、特定のブログ投稿や記事の場所を示してレビューやフィードバックを依頼し、ひれ伏すようにリンクをお願いする。リンクビルディングの世界では、ゴマすりが効果を発揮するんだから。

6通目と7通目のメールは3通目のメールとまったく同じで、8通目のメールは2通目のメールと同じだった(ややこしいよね)。スコット君のお願いには一切返信していないから、当然向こうはこちらがまだ興味を持っているもんだと思って、1か月に何度か相互リンク依頼のスパムメールを自動的に送り続けてるってわけ。この粘り強さには脱帽!

私が何かの自動スパムのリストに載ってしまってるのは確実みたいなんだけど、忘れっぽいスコット君のメールから学べるいちばんの教訓は、自分がすでに依頼を送った相手はきちんと把握しておくべし、ということ。スプレッドシートか連絡先リストを作って、接触実績を記録しておくといい。SEOmozで仕事を始めたばかりのころ、私はあるクライアントのリンクビルディングを任された。下の画面は、私が作成したExcelシートの一例。

スクリーンショット:Excelシートの一例

このクライアントはたくさんのユーザー生成ページを持っていたから、そこに投稿したユーザーたちにコンタクトを取って、彼ら個人のWebサイトやブログからクライアントのページにリンクを張ってもらえないかと尋ねてまわった。そして、それに対する反応によってExcelシートを色分けした。

青と緑は「承諾」で、リンクを獲得できたところ(青と緑の違いは思い出せないけど、3年前はれっきとした理由があったんだと思う)。黄色は「利用不可」で、相手がWebサイトを持っていなかった場合。そして赤は「拒否」で、リンクを獲得できなかったか、何らかの理由でリンクが価値を渡せなかった場合。

これと似たベーシックなExcelシートを私はたくさん作った。そしてそこに、リンクを獲得しようとしているページの情報、連絡先、担当者に何回連絡を取ったか、相手から反応はあったか、どんな反応だったか、そのサイトからリンクは獲得できたか、などを書き込んだ。きちんと整理しておけば、同じ人に何度も同じご挨拶メールを送るなんてお粗末なミスを最小限に減らせる。2007年にメラニー・ネイサン氏が、リンク獲得キャンペーンの戦略と管理について、リンクビルディング活動を整理し記録するすばらしい記事を書いてくれていて、とてもためになる。

悪いけどスコット君、君の負けだよ。私たちからリンクを獲得したいなら、これじゃダメ。この戦術が成功することもあったんだろう(だからこそずっと続けているんだろうしね)けど、少しでも名のあるサイトやプライドを持ってる人間なら、こんなやり方でリンクを獲得しようとしない。素人くさい、スパムみたい、間抜けだって笑われるのがオチだから。とは言え、私だってサイトオーナーやウェブマスターに接触してリンクを依頼するのは、重要な戦略だと考えている。でも、リンク依頼キャンペーンを行うにしても、私が今日ここで取り上げたやり方なんかより、もっといい方法が絶対にあるはず。

用語集
SEO / キャンペーン / フィード / リンク / リンクビルディング / 検索エンジン / 相互リンク / 訪問
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