ネットで成功するにはネットだけじゃ足りない
Web担当者Forumは、ネットマーケティングやWebサイトのビジネス活用を解説する情報サイトです。企業にとってケータイを含めたネットの重要性はどんどん高まってきているのはご存じのとおりでしょう。しかし、そういったテーマを掘り下げれば掘り下げるほど、ネット以外の部分の重要性も改めて見えてきます。
たとえば、製品やサービスを知ってもらうための広告。
ネット広告は費用対効果が数字で見えることや地域に関係なくリーチできるメリットはあります。しかし、消費者がインターネットに触れている時間は1日あたり75.9分しかありません※1。つまり、インターネット広告でリーチできるのは、あくまでも生活のごく一部分でしかないのです。
本当に効果的な広告をプランするならば、ターゲットの生活パターンからどんなポイントでメッセージを伝えられるかを考えるはずです※2。そうなると、ネット広告だけでなく、交通広告、駅看板、チラシ、ダイレクトメール、さらにはテレビなどの、オフライン広告も当然併せて検討すべきになります。
みなさんご存じのモバゲータウンは一時期交通広告やテレビCMを活用していましたが、あれは、広告クライアントの決裁者に対する認知を高めるためのアクションだったといわれています。ユーザーである若年層に利用してもらうためならばケータイを通じたアクションがいいのでしょうが、広告主に媒体として認知してもらうためにはオフラインの行動が必要だったわけですね。
ネットで何かをするからといって、ネットの世界だけで物事を考えていくわけにはいかないのです。
Web担当者Forumでは先日、「忘年会」として読者交流のためのオフ会を開催しました。平日の夜にお台場方面という交通アクセスの悪いところでしたが、80人以上の方が参加してくださいました。
このオフ会の開催目的は、
- 読者さんどうしで悩みを話し合ったり情報交換したりしていただく
- Web担のなかの人の顔が読者さんに見えるようにする
といったところです。やはり人と人のコミュニケーションは、直接顔を合わせておいしいものを食べながらが一番ですから。オフ会では、読者さんどうしで非常に活発にコミュニケーションされていたため、編集部から何かスピーチをしたり、プレゼント大会をしたりという時間が不要なほどでした。終了後も、通常のイベントに増して「参加してよかったです」という反響をいただきました。
ネットでの情報発信がメインのWeb担ですが、こういった形でオフラインでの活動を組み合わせることで、提供できる情報の幅を広げ、読者さんとのつながりを強められたと思っています。
Web担当者Forumの人間が言うのもおかしな話ですが、ネットは万能ではありません。ネットが有効な部分は当然うまく活用するべきですが、ターゲットとなる顧客のニーズを満たすためには、ネットに固執せずに物事を考えてみるのが大切なのではないでしょうか。
この記事は、インプレスビジネスメディアの発行するメールマガジンに掲載されたコラムをWeb担サイト上に再掲したものです。
コメント
なるほど
と思いました。
Re: なるほど
編集部の安田です。こういった短い反応でもありがたいものです。
まぁ、「で、どうすりゃいいのさ?」の答はビジネスによってさまざまなで、メディアとして解説しきれないのが辛いところです。Web担では、リアルの場を重視しますが、マスメディアが重要な会社、折り込みチラシ重視の会社、電話対応が要になる会社、いろいろですからね。
みなさんの会社の「ネットとこれをこう組み合わせている」例や「こうやろうと思っている」などお聞かせいただけるとうれしいです。
更に深堀
更に深堀すると、ネツトで成功するためには広報手段だけでは駄目で、ビジネス全体を成功させる必要がありますね。当然ですが。
色々な意味でWebマーケテングがその他の媒体とも合わせて包括的に再定義されるかもしれませんね。資本主義も行き詰っているし、成功の定義や生き方などもガラリと変ってくると思います。
Web2.0やオープンソースには新しい持代の萌芽がみえます。
Re: 更に深堀
Lotus Web Studiosさん、コメントでの追加提案ありがとうございます。
> 色々な意味でWebマーケテングがその他の媒体とも合わせて包括的に再定義されるかもしれませんね。
すでに、広報やマーケがいろいろと変わってきていますね。
プレス対応が中心だった広報が、それに加えてブロガーさんを始めとする一般のユーザーとのリレーションも担当するようになってきていたり。マーケも同様に、ブロガーイベントをネットで告知→実地でイベント開催→参加者がその後ブログ書き込み→さらにそれをまとめて見せてみたり、といった流れもありますし。
まずはリレーション・コミュケーションの部分が変わって、少しずつビジネス構造が変わっていくのでしょう。楽しみです。
ネット広告の範囲
ネット広告が不況の中でも伸びている原因は・・・
ネット広告は、レスポンス広告(顧客からの注文や問い合わせを受け付ける事が目的の広告)や販促的な効果を持つものが多いので、売上の1%の広告費(全産業の平均)に加えて、売上の2%程度の販促費の一部を侵食しているからではないでしょうか?
ネット広告といえども、純広告は減少していくと思われるので、販促費への食い込みで今後伸ばしていくしかないと思います。
その意味で、クライアントのビジネスをよーく知ることが大事になってくると思います!この記事に賛成!
Re: ネット広告の範囲
若杉さん、コメントありがとうございます。
> この記事に賛成!
こういう反応って、素直にうれしいです。
> ネット広告といえども、純広告は減少していくと思われるので
そこがまた難しいところだと思います。
販促費(刈り取り)にばかりフォーカスが当たりますが、焼き畑農業をやっても仕方ないんですよね(この景気じゃしばらくはやむを得ないですが)。当然、刈り取る素材を育てるアクションも必要なので、認知を広げて市場を大きくする施策も必要になります。以前はテレビや雑誌がその中心でしたが、その役割をウェブでどうやるかって、意外と難しいんですよね(アテンションとるのがウェブのほうが格段に難しい)。
英語圏などでは、そういった認知目的のディスプレイ広告などのインプレッション効果に関するデータなどもあるようですが、日本では諸般の事情でうまく出せていません。なので、費用対効果が数値で出せる刈り取り目的の広告にフォーカスが当たってしまうんですよね。
ウェブは刈り取りだけの場じゃない! と思うのですが……。
いずれにせよ、
> クライアントのビジネスをよーく知ることが大事になってくる
のは確かですよね。まぁ、これは昔からそうだったといえばそうなのですが、それがさらに強くなっている、と。