SEO業界で変わるもの・変わらず大切なもの、そして初心者SEOへのアドバイス ジェシカ・ボウマン氏インタビュー(後編)
この記事は2回に分けてお届けしている。「社内SEO」という立場について話てもらった前回に引き続き、ジェシカ・ボウマン氏のインタビューをお伝えする。
●レベッカ 人々の認識や、さまざまな企業における社内SEOの採用という点で、検索は今後2年ほどでどのように変わっていくと思いますか?
●ボウマン氏 厳しい経済状況のときは特に、SEOに対する認識や、SEO対策に投資することへの関心は高まると予想しています。企業幹部の人たちも、キーワード広告を改善する手段としてアクセス解析にもっと注目するようになり、SEOにおいても同じことが起こると思います。先日、解析に基づいたSEO業務の担当者を探しているというリクルーターと電話で話をしたのですが、これは、この流れがすでに始まっていることを示しています。
検索マーケティング、特にSEOを社内で行おうとする企業は、もっと増えてくるでしょうね。大きなブランドを中心に。そうした企業の多くは、残念ながら間違った人材を知らずに雇い入れるでしょうけれども。社内SEOを成功に導くための要素は、SEO業者として成功する要素と大きく異なりますから。
●レベッカ 検索の裏技や戦術のうち、1年後くらいには時代遅れになっていると思うのはどんなものですか?
●ボウマン氏 サイト上でいわゆる「スポンサーサイト」なんて見出しの下に並んでいるような有料リンクは、時代遅れになってほしいですね。私たちは有料リンクが問題になり得ることを知っていますが、そう考えずに面倒に巻き込まれる人があまりにも多いのです。私は、そうしたことが早く過去のものになってくれることを望んでいます。
正直に言って、サイトにもよりますが、SEO戦術の大半は依然として重要性を持ち続けるだろうと思います。ある戦術が過去のものになりつつあると思っても、それが本当にうまく機能するソリューションとなるような新たなシナリオが見つかるものです。このようなちょっとした変更で何百万ドルも生み出せるんです。
●レベッカ SEOに関するアドバイスの中で、最も過大評価されているものは何だと思いますか? そしてその理由は?
●ボウマン氏 先ほどの答えと似ていますが、ある戦術が過大評価されているかもしれないと思ったら、それがぴったりと当てはまる企業またはシナリオを見つけます。PageRankは過大評価されていると思いますよ。PageRankが重要な意味を持つシナリオもあるでしょうが、数か月前のデータに基づいたものであるにもかかわらず、現在のPageRankにこだわりすぎて、企業は多くの時間とお金を浪費していると思います(得るところは多いかもしれませんが)。今だったら、mozRankがそれに代わるかもしれませんね。あれは比較的最近のデータを反映していますから(^_-)。あのツール(Linkscape)でSEOmozの皆さんはすばらしい仕事をしましたね。あれは業界の全員が必要としていたものです。
●レベッカ これまでパネリストとして参加したパネルディスカッションのなかで、好印象だったもの、つまらなかったものを聞かせてください。そしてその理由も。
●ボウマン氏 良い印象が残っているのは、数年前のSESシカゴで参加したパネルディスカッションです。どういうタイトルだったか覚えていないのですが、社内SEOと組織内における専門知識の身に付け方がテーマだったのを覚えています。ジェフリー・ローアズ氏が司会で、会場全体が1つの話にあれほど建設的に参加するのを見たのは、あれが最初で最後です。オーディエンスがパネリストと一緒になって、すばらしいアイデアをどんどん出すんです。よくある質疑応答とは別物でした。
逆に好きになれないのは、評判管理に関するものですね。私にとっては、このテーマはきついんです。というのも、評判管理キャンペーンや、プレゼンテーションのための材料の掘り起こしは、どちらもすごくネガティブなものだから、とても疲れちゃうんです。何年も前、私は社内で評判管理をしていましたが、それをどれほど疲れる作業だと感じているか、弁護士と話したのを覚えています。でも、この話題についてすぐれたアドバイスを必要としている優良企業はたくさんあるので、やるべきだとは思いますけどね。
●レベッカ 検索をテーマにしたカンファレンスの理想的な形式とはどんなものか、あなたの意見をお聞かせください。
●ボウマン氏 初対面の人に出会える機会がたくさんあって、会場は人が集まるのに心地いいホテルで(私がSESシカゴを気に入っている理由の1つです)、通る人すべてと言葉を交わさなくてはいけないようにパーティーはすべて立食形式にして、セッションは午前10時に開始。そして、最も重要なのは、過去に扱われたことのない新鮮な内容をテーマにすることです。
●レベッカ SEOの世界に足を踏み入れたばかりの人に、何か1つアドバイスを。
●ボウマン氏 SEOトレーニングに励むこと。誰かがあなたの会社のために作った社内SEO向けの研修でもいいし、SEOの基本を筋道立てて教えてくれる研修コースや、SEMPOやMarket Motiveが提供しているようなSEO認定プログラムでもいいでしょう。今は情報があふれていますから、きちんと体系化された研修と同じように全体像を把握してなすべき作業を整理する、というのは困難になっています。しかし、基本さえ押さえておけば、カンファレンスのセッションや、検索マーケティングの一面をさまざまな角度から調べている記事などから、より多くの価値を引き出せるでしょう。
●レベッカ SEOに関係のない趣味は何かありますか?
●ボウマン氏 SEOに関係のない生活なんてあるんですか???(^-^)私が大好きなのは、外国に旅行して、人々の生活、文化や習慣、歴史などを自分の目で見ることです。以前、ロシアの田舎に行ったことがあって、それまで想像したこともないような暮らしを経験しました。週に1日、冬でも暖房とお湯が止まるんです。あれは2005年でしたが、予想しなかったほど寒い日を2日経験しました。美術館にも出かけます。フランスの印象派が好きで、パリのオランジェリー美術館はぜひとも行ってみたいと思っています。
●レベッカ DVDを1枚、食事を1回分、CDを1枚、Webサイトを1つだけ持って無人島に流されるとしたら、何を選びますか?
●ボウマン氏 なんていう質問ですか。何か落とし穴がありそうな質問ですね。Webサイトについては、最初グーグルを考えたんですが、Webサイトに関する情報にはアクセスできないんですよね。だから、Google Booksかアマゾンにしようと思います。これなら、私が絶対知っておくべきことの全ライブラリにアクセスできるでしょ!
DVDは、1970年代のBBCのコメディ番組「Are You Being Served?」からできるだけたくさんエピソードを集めた自作のDVDにします。食事は、えっ、1回分だけなんですか?……お腹にたまるものがいいですね! CD1枚……やっぱり、自作のCDになるでしょうね。ベスト中のベストを集めて持って行きます。私のお気に入りの2曲、ディーン・マーティンの「That's Amore」(ザッツ・アモーレ)と、「The Lion King」(ライオンキング)の劇中歌「Circle of Life」(サークル・オブ・ライフ)は外せませんね。この2曲を聞いて微笑まない人なんているでしょうか?
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