マイナーなキーワードに多数入札し、ロングテールをつかむ――ズノウのキーワード広告事例
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この記事は、第9章「出稿企業に学ぶ成功戦略」の記事です。
新規事業の広告にスポンサードサーチを活用
スポンサードサーチを利用してビジネスチャンスを広げている企業の中には、物販ではなくサービス業を営んでいる企業もある。そうした企業の1つが、東京都世田谷区のズノウだ。
同社は1999年にパソコン修理専門の会社として設立された。パソコン修理はもちろん、インターネットトラブル、ウイルスの駆除や対策からハードディスク内データの復旧や救出、データバックアップまであらゆるパソコントラブルをワンストップでサポートしている。
現在でこそ、こうしたパソコントラブルを解決する企業は数多く誕生しているが、1999年にはパソコン修理サービスを専門に提供する会社はそれほど多いわけではなかった。パソコントラブルの解決実績が年間3000件を数える同社は、業界でも草分け的な存在だと言えるだろう。
創業から数年間は、東京、神奈川を中心とする地域への出張サポートと、持ち込みのパソコン修理のサービスを提供してきた同社だが、2005年夏に全国対応のパソコン宅配修理サービス「RENOV」(レノーブ)を新規事業として立ち上げる。このサービスは、ユーザーから故障したパソコンなどを宅配便で送ってもらって同社で修理してユーザーに返送するシステムである。商圏を東京近辺から日本全国へと一気に広げようというビジネスチャレンジだ。
この新規事業を全国のパソコンユーザーに効率よく知らせるためにはどうすればよいか。そのための方法として同社が実行したのが、スポンサードサーチを用いた広告展開だった。
パソコン宅配修理サービス事業のスタートアップメンバーの1人であり、現在もスポンサードサーチの運用を手掛けているRENOV店長の中野敬氏は次のように語る。
「当社がターゲットとする顧客層は、自分自身で部品交換などができるヘビーユーザーではなく、ライトユーザーや初心者の方です。そしてライトユーザーや初心者の方は、Yahoo! JAPANをメインの検索サイトとして利用する傾向があるのです。スポンサードサーチは、Yahoo! JAPANに掲載される検索連動型広告であり、しかも全国のインターネットユーザーに訴求ができる。新規事業の広告としてふさわしいと考えました
」
クリック数2回、コンバージョン1件のキーワードでもいい
この狙いは見事にあたり、同社はこの新規事業を軌道に乗せることに成功する。しかしその一方で、同様のサービスを提供する他社の広告も徐々に増加した。入札キーワードをめぐる競合が激しくなる中で、広告コストをできるだけ抑えるために、運用方法を工夫する必要に迫られていく。
同社のスポンサードサーチの運用で特徴的なのは、コンバージョンに対する評価だ。一般的にはコンバージョンが多く、コンバージョン率も高いキーワードや広告が、広告効果が高いと評価されるだろう。こうしたキーワードや広告に集中して投資をするのがセオリーの1つだ。もちろん同社でもこのようなキーワードと広告は重視しているが、決してそれだけに注力してスポンサードサーチを運用しているわけではない。中野店長は次のように説明する。
「当社では、クリック数がどんなに少なくても、コンバージョンが1件でもあるキーワードは除外や停止を行いません。逆にそのようなキーワードをどれだけ増やせるかが大事だと思っています。極端に言えば、クリック数が2回、コンバージョンが1件というキーワードでもいいのです。ビッグキーワードはコンバージョンを稼げる一方で、コストもかかります。一方、検索数が少ないマイナーなキーワードは競合もほとんどないので、入札価格も最低限で済ませられます。そうしたキーワードを多数登録できれば、全体としてはコンバージョンの件数もそれなりに確保できます。ロングテールを捉えようという考え方ですね
」
とは言え、こうしたマイナーなキーワードはそう簡単に増やせるわけではない。そこで同社が行っているのが、ウェブサイトのアクセス解析の結果を反映させながらキーワードを増やしていく方法だ。
「アクセス解析をすると、まったく想定していなかったキーワードでウェブサイトにアクセスしているケースがいくつも見つかります。そうしたキーワードに入札をし、試験的に運用してみるのです。試験運用しているキーワードは同じ広告グループにまとめ、簡単に効果を確認できるように管理しています
」
このようなプロセスを経て、コンバージョンが1件でも獲得できたものを残していく。これを続けることで徐々にマイナーなキーワードを増やしていくわけだ。
「アクセス解析をすると、キーワードの流行もつかむことができます。たとえば当社のケースで言えば、以前は『パソコン 修理』のように目的が軸になっている検索語が中心でした。しかし最近では『パソコン 壊れた』といった具合に、現象を単刀直入に入力して検索するケースが増えています。このようなキーワードの流行にも着目したうえで、入札キーワードを増やしていきます
」
ランディングページでは電話番号を目立たせる
もう1つ、同社の特色として挙げられるのは、ランディングページだ。電子メールのアドレスよりも、電話番号を目立つように記載しているのだ。
「電子メールでお問い合わせいただくお客様は、他社にも見積もりを取っているケースが多く、コンバージョンにはなかなかつながりません。一方、電話でお問い合わせいただくお客様は、本当に困っているということもあるのでしょうが、コンバージョン率が高いのです。ですからあえて電話番号を目立つようにしています
」
「スポンサードサーチなしでは新規事業の成功は考えられない」と言い切る中野店長だが、その成功の陰にはこのような細かな工夫の積み重ねが隠されているのだろう。
この記事は、書籍『オーバーチュアスポンサードサーチ公式ガイド』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
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