適切なSEO事業者を選ぶ10の方法と信じちゃいけない都市伝説(後編)
この記事は前後編の後編だ。前回に引き続き、適切なSEO事業者を選ぶ方法の残りと、参考リソースなどの補足事項をお届けする。
- 候補に挙がった上位2~3のSEO事業者から簡単な見積を取る
1社からしか見積を取らないなんてことはしないでほしい。たとえ、その会社に仕事を依頼することがほぼ決まりだとしてもだ。相見積を取るのはベストプラクティスというだけではなく、サービスの対象範囲と料金について各社の違いを知る非常にいい方法なんだ。気に入らない事業者が出した見積に、自分がいいと思った事業者の見落としたサービス内容が含まれているかもしれない。
検索マーケティング業界では、料金に大きな幅があるので、適正な料金について語るのが難しい。僕は長い間、SEOmozの料金が業界でも高額な部類に入ると思っていたんだけど、実は、何でそんなに低料金でやってるんだと仲のいい同業者を慌てさせたほどの料金だったんだ。もしSEOの料金相場が知りたいのなら、僕が以前このテーマで書いた「SEOの料金とコスト――請求価格に含めるべき費用と適正な料金について」という記事(英語)をお薦めする。
ここで、一言忠告を。予算がよほど厳しいのでないかぎり、価格だけで(あるいは、価格を最大の判断材料として)SEO事業者を選んではいけない。
理由は簡単。SEOは通常、驚くほど投資回収率(ROI)の高い業務で、SEOサービスに5万ドル投資しても、トラフィックとコンバージョン率の増加によって、数週間から数か月で投資が回収できるものなんだ(トラフィックのターゲット化が的確であればあるほどコンバージョン率も上がることに留意)。したがって、料金が1万5,000ドル安いSEOに決めるのは、いい考えのように思えるかもしれないが、一緒に仕事をしていてどうもうまくいかず、それほどいい結果が出ていないと感じるようなら、長期的に見てずい分損をしていることになる。
ただし、法外な金額を要求してくる一部の企業に甘い汁を吸わせろと言っているわけじゃない。大手SEO会社の中には、情け容赦ない価格体系を用意しているところもあるのでご用心。なぜかというと、そういう企業は、フォーチュン1000企業(全米大企業上位1000社に含まれる企業)が他のフォーチュン1000企業と仕事したことのあるコンサルタントにしか仕事を依頼しないことを知っているからなんだ。そうした大手SEOは別として、とにかく僕がここでアドバイスしたいのは、数千ドルの差はSEO事業者を選ぶ決め手にはならないってこと。
- 契約内容は、良識のある優秀な人物にチェックしてもらう
弁護士というのはすぐれた人たちだ。うちにもサラという弁護士がいて、みんなから本当に慕われている。けれども、法律関係の人間は時として、あまりに安全策に走り、細部にこだわって全体像を見失うことがある。営業やROIに関する経験が豊かな人たちにも契約内容をきちんと見てもらおう。トラブルの元となる法的な問題があるようなら、CEOやCFOなどの経営幹部に関わってもらうのが、いっそう賢明かもしれない。
法律関係の人間は、契約をご破算にしそうな問題について譲歩してくれないことがある(僕らもそれが原因でいくつか契約をフイにしたことがある)。だけどCEOがとにかくやれと号令をかけてくれれば、それ以上愚かで無茶な要求を回避できる。
- 印象を大切にする
いよいよ決断するときがきたら、成果をもたらしてくれると自分が最も確信できる相手を選ぼう。その際に、金額、サービス、評判、生産性の見込みを比較検討してみたければ、それもいいとは思うが、僕はマルコム・グラッドウェル氏のアドバイスに従い、「直感」を頼りに正しい選択を行いたいという気がする。それで、ピンとくる会社がなければ、デスクに戻ってさらに情報を集め、場合によってはもう1社か2社から見積を取ってみてもいいだろう。
本当にベストな会社があれば、それが正しいと「感じる」はずだ。どうやってそのことを知るのかって? 手がかりとなるのは次のような点だ。
- 検索エンジンについての話がわかりやすく、アドバイスの内容も、自分が信頼しているSEOサイトで目にしたことがあるベストプラクティスと一致している。
- 検索エンジンについて、最近の情勢を熟知していること。そして、紹介してくれるリンクや引き合いに出すニュースなどがタイムリーで、関連性も高く、論理的である。
- プロらしく検索エンジンを使い、site:検索、リンク情報、解析データなどを綿密に調べ、検索順位が上がらない原因や競合相手の勝因となっている隠れた問題点を明らかにしてくれる。
- SEOmozのPRO会員になっている。いや、冗談、冗談。僕の記事でそんな話が載っているのを見つけたら、それは僕の仕業じゃない。僕は奥の部屋に閉じ込められていて、誰か別の人間がその記事を書いているんだ(^-^)。
SEO事業者の選定手続きを経験した人からフィードバックをもらうのは大歓迎。その業者との契約に賛成したにせよ反対したにせよ、自分の判断についてどう感じたのか聞きたいんだ。SEO事業者(に限らず、会社の基幹業務と複雑に関わり合うコンサルティング企業やサービス業者)を選ぶのは本当に難しいよね。それは僕もよくわかっている。だからこそ僕は、実体験に基づく話を聞きたいんだ。
補足:この話題について参考にすべき記事を挙げておくよ(すべて英語記事)。
- How To Choose an SEO Consultant by Karl Ribas
(カール・リーバス氏によるSEOコンサルタントの選び方:「Stuntdubl」のブログ記事) - Top 10 Things to Ask Your Potential SEO Company
(仕事を依頼するかもしれないSEO会社に質問すべき10の項目:トッド・マリコート氏) - SEO Services - What to Expect?
(SEOサービスに何を期待するのか?:デイブ・ネイラー氏) - 10 Things to Expect from a Good SEO Firm
(すぐれたSEO会社がもたらしてくれる10のメリット:エリック・エンジェ氏)
補足その2:SEO事業者の選び方については大間違いの都市伝説がまかり通っていて、それも打ち消しておきたい。たとえば、次のようなものだ。
都市伝説その1――検索順位の高いSEO会社は優秀なSEO会社である
そんなことはまったくない。実際、僕が知っているすばらしいSEO会社の大半は紹介された仕事しかしていないから、ウェブサイトは非常に簡単なものだ。そういう会社は、自社ではなくクライアントの検索順位を上げることにエネルギーを注ぎ込む。
概して、検索順位の高いところは大きなプロジェクトを手掛けていて、だから良くないって言うわけじゃないけど、自分たちの方から一括契約や戦略を提案してくるところが多く、顧客の方に合わせた仕事はあまりしてくれない(あるいは、最新の動向に疎かったりもする)。
都市伝説その2――検索順位を上げるにはSEOコンサルタントさえ雇えばいい
とんでもない。これは絶対違う。順位をちゃんと上げようと思ったら、すぐれたビジネスモデルに良質のコンテンツ、適切なマーケティング、興味深くリンクする価値のあるコンテンツを常に公開していくことなど、しなければならないことがたくさんある。
検索順位を上げようとする競争はますます激化しているので、最高レベルのSEO会社だって、ウェブサイトの出来が悪ければ検索上位なんか獲得できない(というか、そんな依頼は引き受けてもらえない)。
それから、これはもっと明らかなことなんだけど、何をなすべきか書いてあるレポートがあっても、それでサイトに関する問題が全部片付くわけじゃなく、その内容を実行に移さなければ意味がない。グーグルが計画書を読んで「ほう、なかなか大したことをもくろんでるな」なんて言ってくれるわけじゃないしね。そんなことになったらとてもステキなんだけど。
都市伝説その3――地元のSEOを雇うべきだ
これはまったく必要ない。SEOmozにだって、遠く離れたところのクライアントと契約して、非常にうまくいった例がいくらでもあるよ。
このことが問題になると僕が感じるのは、現地で向こうの経営陣や技術スタッフと何度も会議をする必要がある場合だけだ。そういった場合でも、その会議をすべて1日か2日で終わらせることができるのなら、全米に目を向けて、コンサルタントには飛行機で来てもらうようにすれば、事業者探しがずっとやりやすくなる。
都市伝説その4――いいSEOならだれでもいい
そんなことはない! 自分が直面している問題について豊富な知識と経験を持っているSEOを雇わなければならない。たとえば、ケンタッキー州という地域に合わせた最適化をしようとしているのに、世界規模のクライアントを相手に仕事をしている英国のSEO会社を選ぶのは、たとえ先方が世界的に有名な企業でも、賢明な選択とは言えないだろう。
同様に、高いレベルの情報提供と調査が必要なために時間のかかる業務を、コンサルタントが1人だけでやっているところに任せるのも適切ではない。そんな仕事じゃコンサルタントの時間を無駄に使わせることになるから、生のデータを集めて整理する部下が何人かいる会社に依頼した方がいい。
まだい都市伝説はいくつかあるけど、大体のところは上に書いた内容で触れたつもりだから、これで間に合うといいな。それに、そろそろ夕飯を作らなきゃ(^-^)。
コメント
おもしろいっす
いつもはアメリカの事例で、
参考にならないケースが多いのですが。
今回は、そのまま業者選定に使えそうです。
都市伝説な切り口がおもしろかったっす。
Re: おもしろいっす
編集部の安田です。コメントありがとうございます。
週末の間にコメントをいただいていましたが、レスが遅れてしまいました。
> いつもはアメリカの事例で、
> 参考にならないケースが多いのですが。
そう言われると切ないのですが、
> 今回は、そのまま業者選定に使えそうです。
ありがたいです。
どの記事を翻訳するかを選ぶのは、なかなか難しいものですが、アイレップの渡辺さんが日々記事をチェックして選定してくださっていますので、今後もご期待ください!
喜んでもらえる記事を掲載できるように、編集部でもがんばります。はい。