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SEOスパムから見えてきたもの——検索アルゴリズムで重視されるドメイン名のオーソリティ

以下の検索結果をよく見てほしい。

「Buy Viagra」で検索。

「Buy Viagra」のグーグル検索結果

「Cialis Online」で検索。

「Cialis Online」のグーグル検索結果

「Cheap Payday Loans」で検索。

「Cheap Payday Loans」のグーグル検索結果

「viagra cialis credit card mortgage payday loan ringtones」で検索(しつこいって? まあまあ、がまんしてよ)。

無茶苦茶な検索結果

検索結果の特徴を見ると、グーグルのランキングアルゴリズムについていろいろなことがわかる。僕が気付いたことを箇条書きにしてみよう。

  • 信頼度の高いドメイン名は、悪質なコンテンツを置くのに都合が良い場所になっている。なぜなら、グーグルがこうしたドメイン名上のコンテンツに、有利な評価を与えるからだ(少なくとも過去3年間はそうだった)。
  • こういうページのリンクをYahoo! Site Explorerで逆にたどってみると、比較的信頼度の高いドメイン名に由来する多数の悪質なリンク(ブログスパム、コメントスパム、リンク注入スパムとか)と、しょうもないリンクファームとが相まって、短期的な高位ランクを作り出していることがわかる。
  • eduドメイン名のページやリンクは、「教育機関のページだからという理由だけで」ランクが高くなるわけではないかもしれないが、ランクを上げるのに必要なある種の信頼度を得る傾向が強いのは確かだ。
  • グーグルの隠しコンテンツ探知能力は、いまだに完全ではなく、cornucopia.orgとかfeelphones.comなどのドメイン名上にスパムコンテンツやスパムリンクを置いて、高位のランクを得ることができる(どちらのドメイン名についても、ページのソースで「viagra」を探してみると良い)。

これは私見なのだけど、グーグルがスパムをやっつけ、検索結果の関連性を高めるために使ってきた最大の武器こそ、ドメイン名の信用度だ。だからこそ、コンテンツが同じなら、Wikipediaに置いた方がほかのどのドメイン名上に置くよりも、必ずと言っていいほど高いランクを獲得できるのだし、比較的小規模で新しいドメイン名上にあって検索語句と関連性の高いコンテンツよりも、信頼度の高いドメイン名上にあって検索語句との関連性がほとんどないコンテンツの方が高く評価されるのもそのためだ。これはウェブスパムを検索するときだけでなく、通常の検索結果からもよくわかる。

最近では、jamersanがYOUmozに「グーグルにおける.com検索結果」という記事を投稿している。同じようなやり方で、グーグルが最も高い信頼度を与えているドメイン名を探してみたい。

次のようにすれば、各トップレベルドメイン名について、どのサイトが「www」と最も関連性が高いのかわかる。「www」を検索語に選んだのは、意味性を排除するためだ。

ほかのccTLDに変えて、いろいろ試してみよう。そのTLDで、最も「重要」と見なされているドメイン名のリストが手に入るだろう。

この検索結果は、PageRankの高いドメイン名と非常によく一致する。ウェブ上で最も被リンクが多く、参照されることの多いドメイン名たちだ。オンラインで本物のオーソリティが欲しければ、これは手に入る限りでかなり役立つ情報だと思う。ここに出てくるドメイン名は、グーグルが考える信用とオーソリティの特徴をふんだんに持っているんだ。

オーソリティのあるドメイン名を手に入れることは、中小のサイトオーナーにとってハードルの高い目標に見えるかもしれないけれど、グーグルのアルゴリズムがドメイン名の重みにどれだけ依存しているか掘り下げてみると、大いに学んで応用できることも見えてくる。

  1. ほとんどの場合、自分のコンテンツはすべて1つのドメイン名上に置く方が良い。そこで得るリンクは、すべてがそのドメイン名上にあるコンテンツ全体のランクを上げる力になる。

  2. 信用度の高いドメイン名由来のリンクは重要かもしれないが、すでに信用度の高いドメイン名を持っている場合、グーグルが検索関連性を評価する上で、外部からのリンクジュースはさほど影響しない。

  3. ドメイン名を開設してからどれだけの時間が経ったかは、ドメイン名のオーソリティと大きく関係する。com、net、eduなどで上位100位に入っているドメイン名を見ても、開設後5年以内のものはほとんど存在しない。

  4. 信用度やオーソリティの高いドメイン名からページを「レンタル」したり、関連性の高いリスト/コンテンツ/リンクをそういったドメイン名に配置したりすることは、短期間で露出を高める上で優れた方法かもしれない(これはスパム注入ということじゃないよ。合法な配置や投稿、ユーザー生成コンテンツのことだ)。

  5. 変わった検索結果の調査に多くの時間を費やすことは、SEOに関する知識をたくさん増やすことにつながる可能性がある(SEO担当者が時間とともに「直感」を身に付けられるのは、このおかげだと思う)。

スパムはいつも邪魔っけで嫌なものってわけじゃない。大いに学ぶこともあるってことさ(^o^)

追伸:スパムについて発見したことで、もう1つ、どうしても書きたいことがあるんだ。とあるスパムサイトbad-credit-advisor.comは、sitemeterというアクセス解析サービスを利用していて、その統計ページがある(www.sitemeter.com/?a=stats&s=s21badcreditを参照)。これを見ると、このスパムサイトがリンク操作キャンペーンで信じられない程の効果を上げていることと、「cheap payday loan」とか「credit dispute letters」などの語句において、グーグルで1位のランクされると、どれ程多くのトラフィックを獲得できるのかということがよくわかる。Yahoo!でそのサイトに対するリンクを調べてみると、おもしろいこともわかる。多数のeduドメイン名をはじめ、Yahoo!ディレクトリ、質の悪いリンクリストがぞろぞろと出てくる。僕はどうやら悪意のSEOに魅せられてしまったようだ(^_^;)

用語集
PageRank / SEO / SEOスパム / TLD / ccTLD / アクセス解析 / オーソリティ / キャンペーン / ディレクトリ / トップレベルドメイン / ドメイン名 / リンク / 被リンク
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