Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

「SEOマニフェスト」で考えるSEO担当者の「べし」「べからず」(前半)

SEOmozで以前、定期的に記事を書いてくれていたマイケル・マルチネス氏が先日、「SEO担当者のマニフェスト」という、おもしろい記事を書いていた。それを読んで、僕と彼との考え方の違い、書き方の違い、クライアントに対するSEOのやり方の違いを比べてみるのもおもしろいんじゃないかと思ったんだ。

始めに言っておくと、僕はなにもマルチネス氏が間違っていて、自分が正しいなんてことを言おうとしてるんじゃない。ただ、ここにSEOというコインがあるとして、その違った面を見てみるのも役に立つんじゃないかと思ったわけ。

読者として、そして検索マーケターとして、どのアドバイスや情報が自分のキャンペーンに最も役立つか、ということを見きわめていかなくちゃならない。僕らの言うことがすべて正しい、というわけではないんだ。


さて、それでは彼のマニフェストを順に見ていこう。

ウェブサイトを作るときは、自分が読みたい、使いたいと思うサイトを作らなければならない。自分が役に立つと思わないようなサイトは、作る価値がない。

これについて、僕の考え方はかなり異なっている。実際僕は、ターゲットとする市場が読みたいと思ったり、使いたいと思ってくれるウェブサイトを構築するように言ってるしね。僕の考え方では、ターゲットとする市場が役に立つと思ってくれないようなサイトは、作る価値がない、ということだ。いちいち数え上げるわけにはいかないけど、その会社のCEOやCTOが、こんなサイトがいい、と思って作ったサイトが、ほかの誰にもそう思ってもらえなくて失敗に終わったという例は何度も見てきた。ユーザビリティ、コンテンツの焦点、デザイン、情報の構造、ユーザー体験の良し悪しを判断するのはユーザーで、作る側の人間じゃない。

どこでリンクが獲得できるかを考えるのではなく、どうすればそのリンクを他の人にとってさらに役立つものにできるかを考えること。

彼が何を言わんとしてるのか、わかりにくい感じも若干あるけれど、たぶんマルチネス氏は、相手がいかに自分のところにリンクを張ってくれるかではなく、自分が相手にどのようにリンクを張るかを考えるべきだ、ということを言っているんじゃないかと思う。これって、僕の意見では、物事へのアプローチのしかたとしてすごく立派なことだし、なんだか煩悩をそぎ落とした悟りのようなものを感じる。ただ、あまり戦略的ではないよね。僕としてはそれよりも、どこでリンクを得られるかを真剣に考えるほうを薦めたい。それをビジネスコンセプトのバックボーンにするんだ。ウェブサイトを開設するとして、それのどこが興味深いんだろうか? どんな人が面白いと思ってくれるだろうか? 興味を感じてくれた人のなかで、どの人がリンクを張ってくれるだろうか? 誰もリンクを張ってくれそうにない? それなら、どんなコンテンツならリンケラティにアピールできるかを探ったほうがいい。

フォーラムにリンクを書き込む行為は、SEOでそれに代わることをやっているのをよく理解していないと告白するようなものだ。ソフトウェアを使ってフォーラムにリンクを書き込む行為は、自分がどれほどSEOで失敗していようとも気にしていないと告白するようなものだ。

この意見には同意できないな……部分的にだけど。フォーラムにリンクを書き込むのは、署名付きで書き込んだ場合などは特に、既存のソーシャルコミュニティを利用して人々を自分のサイトに引きつけるすばらしい方法だ。SEOmozのブログはまさにこの法則に従っていたし(だいたい2003年から2005年初めまで)、僕は自分の経験から、この方法は有効だと言える。ソフトウェアを使ってフォーラムにリンク先URLを書き込むやり方については、僕は、SEOの失敗を気にしていないんじゃなくて、まったく違う方法論……つまりブラックハットの手法を採用していることを告白しているのだと思う。これは、君がそのフォーラムのオーナーや参加者に敬意を払っていないことを示すものだよね。

かなりボリュームのあるコンテンツを作ろうとしているのなら、シリーズ形式にすること。月に1000ドルと年に1万2000ドル、どっちの収入がいい?

まったくそのとおり!

もっとリンクが欲しいと思ったら、まずしなければならないことは、リンクを集めるような魅力的なコンテンツを作ること。そして、次にしなければならないことは、自分がどうやってそのリンクを獲得したかを、できるだけ人に話さないようにすることだ。

前半については、僕もそのとおりだと思う。リンクが欲しければ、欲しいリンクを引きつけられるコンテンツを作って、それをプロモーションする戦略を推進しなければならない。ただ後半部については、なんか変な見方だなあ。そもそも、SEOに詳しい競争相手には、リンク戦略を隠すのはかなり困難だし、それに、リンク戦略を公開する人なんて、いったい誰がいる? もちろん、僕以外に、という意味だけど(^-^)。

Yahoo! Site Explorerを使ってリンクリサーチを行っているとすれば、それは自分が検索エンジン最適化におけるリンクリサーチをよく知らないということを告白しているようなものだ。SEOのツールバーを自分のMozillaブラウザにインストールして、ヤフーでリンクをチェックしているのなら、それは自分が怠け者でリンクリサーチのやり方をきちんと勉強していないということを告白しているようなものだ。

これについても僕らは意見がまったく異なる。僕としては、Yahoo! Site Explorerは今日のウェブで最も優れたリンクリサーチツールの1つだと思う。Google Blog Searchもいいし、Technoratiやグーグルのブランドおよびドメイン検索もいい。SEOのツールバーを使うのもすばらしいアイデアだ。僕は個人的に今言ったようなものすべてについてブックマークしているよ。マルチネス氏がどうしてこれらのものを嫌うのか、僕には理解できないし、どうして何の根拠も示さずにこういうアドバイスをするのか、まったくわからない。一般に通用している考えを強く否定したい場合は、そのことをきちんと議論したり、あるいはその根拠を示すべきではないか。そうすれば、この記事から君がリンクを獲得することだって可能なんだから(^-^)。

スナップショットSEO解析は、唯一または中心的な解析手法として過度に依存するのでなければ、なんら悪いことではない。

僕にはマルチネス氏の言う「スナップショットSEO解析」というのが何を意味するのかよくわからないんだけど、もしそれがメタ検索の浸透を解析するこのシステムに関係のあるものだったら、僕は個人的にそれが好きではないと思う(正直なところ、僕はこれまでにそれを試してみたことはないし、たぶんコレのことかなと思うレポートは他のSEO企業が出しているのを1回しか見たことがない。それを見たかぎりでは、ほぼ無意味なように思えた)。僕はとにかく、解析の基本としてビジター解析を行い、それと並行してさまざまな検索エンジンでリンク、ドメイン名、ブランド名記述の解析を行うのが大好きなんだ。

独創的で、おもしろく、役に立つ有益なものだったら、非常に大規模なコンテンツを作ってもまったく問題ない。

賛成。

悪質なスパマーは、業界の人間がブログやフォーラムで公開するなどして半共有してきた全SEO関連のコツ、工夫、テクニックといったものの有用性の約10%を、ほぼ1年で使い尽くす。正当派のSEO、新人、SEO界の達人は、半年かそれ以下で残りの90%を使い尽くす。

彼の主張は、僕が思っているようなことではない可能性もあるので、僕が誤解しているのかもしれないけれども、彼の記述を読むかぎり、ブラックハット(悪質な者)は1年のうちに、あちこちで議論されたSEO戦術の10%を無駄にする(つまり、悪用して、その結果効果を損なうということ)ということを言っているように思えるんだよね。だとすると、それはもっともな話で、僕もそのとおりだと思う。

ところが、僕を惑わせたのは、その次の部分なんだよね。僕の理解では、ホワイトハット(正統派)は半年で残りの90%を使い尽くし、その効果を失わせてしまう、ということを言っているように思えるんだけど……。これにはまったく同意できない。もし彼の言うことが正しいとしたら、(少なくとも3年前から存在する)リンクベイトの手法なんていうものは、何年も前に時代遅れになっているはずだ。タイトルタグに重要なキーワードを埋め込むのだって何年も前からあるSEO戦術だけど、いまだに非常に価値があるのを僕は知っている。彼はきっと、何か別のことを言っているのだろうけど、それが何なのか僕にはわからない。

SEO理論の非常に有効な側面が、SEO界の主流派と追随者たちに受け入れられるようになるには、約2年の年月を要する。

うーん …… 僕の意見では、「必ずしもそうではない」だな。僕の見るかぎり、ちょっと名前を挙げるだけでも、バッジやクイズ、リンクベイト、ウィジェット、ロングテールキーワードリサーチ戦術、ソーシャルメディアマーケティング、ローカル検索ターゲティングなどはすべて、3か月から半年のうちにあちこちで言及されて取り上げられるようになったし、その短期間のうちに広く使用されるようにまでなった。

ウェブ業界やコンサルティングを行う側には、たくさんのアーリーアダプターがいるものだ。クライアントとのミーティングに出席して、僕とクライアントの双方がほんの数週間前に初めて聞いたばかりの戦術に、クライアントがすっかりのめり込んでいる、なんていうこともあった。SEO業界は密接につながったエコシステムなんだ。

ドメイン名にキーワードを使っても効果がない。キーワードはURLに使ってこそ有効だ。

冗談だろ? SEOでいい仕事をするのに、ドメイン名にキーワードを使うことが絶対に必要とは言わないけど、特定のキーワードに正確にマッチするドメイン名を持っているのなら、(少なくともそのキーワードに関しては)ランキングを上げることがはるかに容易になる。ドメイン名にキーワードを使っても効果がないと言い切ってしまうと、大きな混乱を招く。

ここまででようやく全体の約半分だ。Randの「SEOマニフェスト」に対する批評はさらに後半へ続く。→「「SEOマニフェスト」で考えるSEO担当者の「べし」「べからず」(後半)」を読む

用語集
SEO / キャンペーン / ソーシャルメディア / ドメイン名 / ユーザビリティ / リンク / リンケラティ / 検索エンジン
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

HTML
「HyperText Markup Language(ハイパーテキストマークアッ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]