Googleの悪魔的なアドワーズ広告アルゴリズム変更(それともWin-Winなのか?)
経済とは、人間行動の理解を交えた、需要と供給の関係についての学問である。
価格設定の際、ほとんどの企業経営者は「推測」を行い、価格はたいてい、需要曲線と供給曲線とが交差するあたりに収まる。
次に、特定分野の競合相手を母集団として価格の分布を見ると、価格分布の高価格側と低価格側の双方に外れ値がある釣り鐘型になる場合が多い。
Googleは最近、広告アルゴリズムの変更を発表した(Googleによる日本語の説明ページ)。具体的には、検索結果の上部スペースに表示される広告が、実際のクリック単価(CPC)に代わり「上限クリック単価」で決定されるように変更された。
Googleの潜在的な売り上げと、変更が企業の入札行動に与える影響を考えあわせたとき、これはとても賢明な一手だといえる。具体的に見てみよう。
上部スペース広告の供給枠は、検索結果上の1~3か所に限定されている。
競合他社が上部スペースを獲得しているのを目にした企業経営者は、入札価格の上限を上げてその会社を上回り、上位のスペースを手に入れたいと考える。
競合している企業が入札価格を上げることによる波及効果は絶大で、特に現在は入札管理ソフトウェアと入札管理会社が利用でき、いつも何かが状況を監視している状態にある。はじき出されて順位が下がった場合、失った順位または好ましい順位を獲得するため、入札価格が自動的に、または手作業で変更される。
上位の入札者が上限CPCを引き上げ、いくつかの入札者がそれに追従すると、誰もがそうした高い上限CPCを設定したくなるため、上限の金額が実際に支払われることはめったにないとしても、経費は徐々に増加していく。
こうして増加した経費は、最終的にはGoogleのポケットに入る。
Googleは双方がプラスになるwin-winの状況を作るために懸命に努力してはいるが、今回の変更はGoogle側にとって天才的で戦略的な一手だった。Googleのやり方には脱帽せざるを得ない。
Googleは、広告主の現在の行動と広告の品質レベルをふまえたうえでこの変更を行ったのだ。
Googleは、供給枠を見ながら、顎をたたき「ふーむ」とうなって、広告主の行動をうまく利用したのだが、そのとき、頭には需要の操作があった。供給曲線は固定されているので、需要曲線を右に「移動させる必要」があった。
供給曲線が固定された状態で需要曲線が右に移動すると、通常、供給者側は売り上げが上がり、購入者側はコストが上がる。
どうだろう。これは「悪魔的(evil)」なのだろうか、それとも「実際は」win-winの状況なのだろうか。
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