この数週間ほどの間に、Googleは大した告知も行わず、重要な機能をいくつかアドワーズのプラットフォームに導入した。これらは表面的な変更にとどまらず、広告主なら知っておく価値のあるものだ。これから、それら新機能の説明をしていこう。
広告配信先別の掲載結果レポート
多くの広告主が、Googleのコンテンツネットワークの使用をためらってきた理由の1つは、どこに広告が出るのかという情報が限定的だった点だ。6月12日にリリースされた広告配信先別の掲載結果レポート(日本語による解説)は、その情報に関する非常に意義深い様相を僕らの前に示すものだ。自分の広告を掲載する個々のページについて、URL、インプレッション数、クリック数、クリック単価(CPC)、コンバージョン率といった統計情報を確認できる。
すでにGoogleのコンテンツネットワークを利用している人は、この種の情報を詳しく調べなければならない。もしあなたのレポート内容が、僕のものと似ているようなら、キャンペーンから不適切なサイトを削除し(または、サイトにはまったく関係のないキーワードを狙った隠れテキストを使っているとGoogleに報告し)、優れたROI(投資利益率)をもたらすサイトをターゲットとしたキャンペーンを開始しよう。これは、Googleのコンテンツネットワークにおいて、本当に必要だったすばらしい改善だ。
検索クエリの掲載結果レポート
もう1つの期待できそうな新しいレポート機能は、自分の広告を引き出した検索クエリの一覧を表示する検索クエリの掲載結果レポートだ。
自分の広告グループ内で、部分一致(設定キーワード中の1単語でもクエリ内に存在すれば広告を表示)やフレーズ一致(設定したキーワードの複数単語がその順番どおりクエリ内に存在すれば広告を表示)を使用している場合、これまでAdWordsのレポート機能で見ることができたのは、関連キーワードに関する集合的なデータがすべてだった。新しい検索クエリの掲載結果レポート機能では、自分の広告を引き出した具体的な各種キーワードに区分して表示してくれる。
広告配信先別の掲載結果レポートもそうだが、この機能は、Googleによる透明性実現の試みだ。だが残念なことに、ほとんど役に立たない。僕がこのレポート機能を使った際、かなり多くのインプレッションが、実際のクエリ文字列じゃなくて、「その他のクエリ」に入っていた。Googleによると(編集時点では英語情報のみ)、これは「クエリが(Googleの)プライバシーおよび分量の必要条件を満たしていない」ために起きるんだそうだ。しかし、レポートにはインプレッション数が1か2だけしかないものが、実際のクエリ文字列とともに多数出ていた。さらに僕のサーバーのログファイルに記録されたリファラ情報を見れば、Googleが「その他のクエリ」として一括りにした多数のクエリがわかる。どうしてGoogleはそれらのデータをまとめてしまうのか、僕にとってその理由はまったく筋が通らない。
とにかく、今のところ検索クエリの掲載結果レポートで手に入る情報は、まだ完璧とは言えないので、自分のサーバーのログファイルからキーワードを抽出するほうが、依然として重要だと思う。しかしGoogleのレポートは、こうした努力を補うものとして役に立つかもしれない。特にコンバージョン率に関するデータあたりはね。
IPアドレスの除外
みんなはこれまで、自分の広告を定期的にクリックし続ける、迷惑なライバルに出会ったことがあるかな? あるいは、検索エンジンのネットワークを利用したいけれど、AOLからトラフィックが来るのは嫌だという場合。そんなときに、IPアドレスの除外ツールを使うんだ。これは、キャンペーンごとに最大20種のIPアドレス範囲を設定し、そこに対して自分の広告が出ないようにする機能だ。この機能を使うのは限られた場合だけかもしれないと思うけど、いざ使うとなれば、非常に便利なことがわかるだろう。
検索履歴に基づく広告のカスタマイズ
驚くかもしれないけれど、現在Googleは検索履歴に基づいて広告の表示をカスタマイズしている。もし自分の広告をチェックするため、自分のキーワードで繰り返し検索しているなら、期待する位置に自分の広告が滅多に出てこないことに気付いているかもしれない。その理由は、AdWordsのエンジンがあなたの検索履歴やクリックした広告を考慮し、あまり好みでなさそうな広告には重点を置かず、最も興味を示すであろう広告を表示しようとするためなんだ。
たとえば、さまざまな異なる検索クエリでeBayの広告を数十件見ているのに、1つもクリックしなかった場合、検索回数を重ねるほど、おそらくその広告の位置が下がっていくのがわかるだろう。このカスタマイズ機能は、アルゴリズム検索結果のパーソナライズ化のような感じがするよね? 両者の間には違いがいくつかあるけど、同時に複数の類似点も確かにあると考えてるんだ。
このカスタマイズ機能を回避するのに最も簡単な方法は、Ad Previewツールを使用すること。これを使えば、広告表示が変化しなくなる。もう1つの方法は、google.comドメインの「PREF」クッキーを自分のブラウザから削除することだ。おもしろいことに、自分のGoogleアカウントにログインしているか否かは、広告表示のカスタマイズ方法に関係しない。こうした振る舞いは、広告表示のカスタマイズが、Googleアカウントの履歴情報ではなく、クッキーに関連していると示唆するもののように見える。
この記事について、1つ断っておかなくちゃならない。広告表示のカスタマイズに関して僕が発見したことの多くは、自分自身のテストによるものだ。なぜなら、最近行われたこの変更に関して、Googleからは事実上何の連絡もないからなんだ。だからもし僕が間違ったことを書いていれば、内情に通じた誰か(状況を把握しているGoogle関係者のような人)がそれを訂正し、できればもっと詳しい情報を提供してくれるとありがたい。もしかすると広告表示のカスタマイズは、アドワーズのプラットフォームにとってすごく重要な変更かもしれない。
とまあ、アドワーズプラットフォームの機能には、小規模ながらも重要な変更がいくつかあったという訳。僕は自分の広告キャンペーンをさらに最適化するため、これらの新機能を使い始めたよ。ほかの広告主の人たちの多くにとっても、これらは試してみる価値が十分あると思う。
これらの新機能のうち、自分自身あるいは自分のクライアントのために実施しているキャンペーンに、変化をもたらしたものはあったかな?
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