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マイクロソフトが、スパム業者に寄与する研究に資金を出している……

Microsoftが6月1日に、「2006 RFP Awards(マイクロソフトLiveラボ:ネット検索に関する学術研究の提案依頼書アワード2006年)」を発表したんだ。総額50万ドル(6,000万円)の資金提供先となった受賞リストには、とても興味深い研究プロジェクトが並んでいる。

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中でも重要なプロジェクトは、Amélie Marian氏の「真実はそこに:複数のウェブ情報源から回答を集約する(The Truth Is Out There: Aggregating Answers from Multiple Web Sources)」だと僕は思う。タイトルから察するに彼女は『X-ファイル』のファンだし、気に入らずにはいられない。Marian氏は、現在の検索エンジン技術の最も厄介な側面ともいえる、繰り返し出てくるコンテンツが信用を得る傾向に焦点をあてている。

かわいいAmélie曰く、「ユーザーは1つの情報源から得られた結果に満足しない、もしくは信用しないことが多く、補強となる証拠を求めて複数の情報源をチェックしたがる」。彼女に同意するが、その上で異議を唱える。残念なことにユーザーの多くは、情報が同じ情報源から来ていることを見抜けるほどは賢くはない。百科事典的なウェブ情報源というやつについて考えてみよう。仮に「何とかペディア」とする。

何が言いたいのかというと、何とかペディアの記事の受け売りをする「情報ポータル」が、数百とはいかなくとも数十サイトとあって、そういった何とかペディア系のサイトから情報をかき集めているということ。信用に値しない何とかペディアの話が、記事を参照しているほかのコンテンツへとじわじわと浸透していく。これは深刻な問題だ。何とかペディアやそれをコピーしたようなサイトによく見られる、政治的な操作を受けたくだらない話によって、ウェブ上の情報源の質は急速に損なわれている。

実際に、同じようなコンテンツが情報源としてのオリジナルコンテンツに言及することで、オリジナルサイトの重要性がつり上がる。引用ページで素材となった情報源が参考資料として掲載されると、情報源のウェブページはますます重要だと判断される。これは、権威あるサイトを作る最も簡単な方法で、少数の経験豊富なスパム業者は長年にわたりずっとこれを利用している。

Amélie Marian氏の最終的な目標は「クエリに関係したウェブサイトを個々がチェックして回答を裏付ける煩わしさから、ユーザーを解放するために、さまざまな情報源からのクエリの結果を集約するインターフェイスを提供すること」にある。しかし残念ながら、これはスパムのための青写真になってしまう。スパムに対抗し、検索結果を改善する手法を考える真剣な研究に報いようというMicrosoftには拍手を送ろう。しかし、スパム業者だってこれらの研究論文を読むことができ、そうすると次なる攻撃に向けて、どこにロボットを用意すればよいのかわかってしまうんだ。

今回のケースでは、学術的なやり方が非学術的なやり方を代表するものだと誤解しないように、検索エンジンは慎重でなければならない。引用ベースの順位付けのせいで、Googleは登場から数年にわたりSEOの世界で笑いものだった。検索エンジンは、たわごとを受け売りしているウェブページの数を基に信用を集計してはいけない。人々を惑わせてPageRankとは何なのかを誤解するように仕向けようというのなら、そのやり方でいいのかもしれない。しかし、そうではなく本当の情報を提供したいのだとすれば、間違った情報を前面に出すことをアルゴリズムで正当化する方法ではなく、何とかペディア的な記事を検索結果から取り除く方法を考え出すことが必要となる。

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