[特集]Web 2.0がクチコミを連れてきた!
mixiキャンペーンを成功させた5つのコミュニティチューニング
囲み込み思想を捨て、心地いい空気感と
共感意識を醸成させるのがコミュニティ運営のコツ
SNSやブログなどのアンコントローラブルメディアをキャンペーンに使用する場合、それがバイラルやバズを自然と発生させる成功事例になるときもあれば、「炎上」して手痛いダメージを受けてしまうこともある。
しかし、今後のクロスメディアにとって、プッシュメディアとCGMとの組み合わせは避けて通れないものとなる。ここでは、国内で圧倒的な強さを誇るmixi内の企業コミュニティの成功事例であるボーダフォン(2006年10月1日からソフトバンクモバイル)のLOVE定額春キャンペーンを事例として取り上げ、クチコミにおけるコミュニティ醸成のノウハウを解説してみたい。
川井 拓也
キャンペーンサイト連動のコミュニティとして設置
LOVE定額と言えば、マスメディアの強力な広告効果により誰もが認知する「音声通話定額制」の代名詞である。登場から半年を迎えるこのサービスを、より「自分ごと化」していくことが、春キャンペーンの命題として挙げられた。
さまざまな企画案が出る過程で、ユーザーが書き込み、さらに別のユーザーが加筆していく「ウィキペディア」的なコンテンツプランが提案された。仮称「LOVEペディア」と呼ばれた企画であったが、完全にユーザーにコントロールをゆだねるメディアを大規模なキャンペーンの中核に据えるのは時期尚早であるとの判断のもと、別の企画を模索し始めた。
その流れの中で、実際にケータイを使うユーザーに調査会社を通じて「ケータイと恋愛」に関するアンケートを実施し、その数値を白書的にまとめていくという企画の骨子ができ上がってきた。サイト名は「ケータイと恋愛10の法則」。調査結果を元にいくつかの仮説を導き、データをグラフで読み解く流れをエンターテインメントに仕立てていくことになった。
そして、このキャンペーンサイトに連動するサテライトとして、mixi内にコミュニティを設置することになった。
自分に関係ありそうだと思わせるためのコミュニティのデザイン
LOVE定額の「自分ごと化」のターゲットには、ボーダフォンユーザーのみならず他キャリアのユーザーも含まれた。そのため、mixi内のコミュニティでは、ボーダフォンのサービスを直接紹介していくのではなく、「ケータイと恋愛」についてのさまざまな体験談を耳にしたりアンケートによる意識調査に参加したりするうちに「音声通話やメールなどのコミュニケーションの重要性」を認識してもらい、そこで「通話定額制」であるLOVE定額を意識してもらうという位置づけにした。
「ケータイ」と「恋愛」というほとんどすべてのユーザーが現在も関わっているであろう事柄を「法則」という言葉で括ることで、「参加したくなる」コミュニティを目指すことにした。
コミュニティに人を増やすためのバナー導線
キャンペーンの期間はバレンタインから4月末までの2か月半を設定した。mixiには企業が運営するコミュニティの先行事例が多数あるが、平均的なコミュニティ加入人数は500人から1000人の間である。加入メンバーの目標数は、キャンペーン本サイトのためにアンケート調査した人数である3000人に当初設定し、主に3つの経路から誘導することにした。
- LOVE定額サイトからの誘導
- mixi内のバナー
- ボーダフォン会員のメルマガ
その中でも、mixi内のバナーは事前にいくつかのデザイン基準を作り、それに準じた。
まず、mixiユーザーはmixi内を回遊する傾向があるので、バナーは一目で「mixiコミュニティへの内部リンクであることがわかるデザイン」にしたのだ。オレンジのバナーエリアの柄をタイル状に使うことでバナーエリアとの馴染みを強調し、オフィシャルコミュニティであることを示した。
バナーに使用するコピーも文字を大きくし、内容もクリックしてからわかるようにした。また、バナーは毎週変更し、クリック率を見ながらチューニングをほどこした。平均的なmixiユーザーが1週間に1回から2回程度のアクセスをしているという前提にたち、「バナーを見慣れる」前にデザインを変更していくようにした。最初の2週間はコミュニティ誕生を謳うコピーを中心に、その後は投稿されたユーザーのコメントをそのまま使う手法に切り替えていった。この結果、mixi内のバナーはクリック率として0.04%から0.06%で推移した。
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