Web 2.0がクチコミを連れてきた!

米国最新事情:クチコミマーケティングの鍵はCGMの活用とリッチメディアへの対応

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[特集]Web 2.0がクチコミを連れてきた!

米国最新事情

クチコミマーケティングの鍵は
CGMの活用とリッチメディアへの対応

インターネットマーケティングにおいても日本より先行していると言われる米国。クチコミを使ったマーケティングにも多くの先進事例がある。ここでは米国市場の現状を説明するとともに、2つの事例を紹介する。

織田 浩一

業界団体の設立と市場拡大で表舞台に立ち始めたクチコミ

ジョセフ・ジャフィ氏は、その著書『テレビCM崩壊』の中で、マス広告の終焉後のキラーマーケティングコンテンツは、ずばり「コミュニティを使ったクチコミマーケティングである」と書いている。実際、米国ではここ数年の間に専門エージェンシーや業界団体が多数立ち上がるといった動きが見られる。

マーケティング先進企業として知られるP&Gは、2001年に一般消費者からインフルエンサーを募り、彼らを発火点にクチコミを喚起する十代を対象としたマーケティング部署Tremorを立ち上げ、社内外のクライアントを対象に活動を行っている。そして、2005年にはその母親版で60万人の“インフルエンサーママ”を集めたVocalpointを立ち上げ、その能力を広げている。

同時に米国では2004年に「WOMMA(クチコミマーケティング協会)」が設立され、現在では世界中の広告代理店、大手広告主やクチコミ専門マーケティング会社など合わせて300社近い企業が加盟している。この団体は、クチコミマーケティングについての、(1) 「啓蒙とナレッジの共有」、(2) 「効果測定指標の設定」、(3) 「倫理基準の設定」を目的として設立された。

これは「ステルス・マーケティング」と呼ばれる手法が問題となり、かえって広告主の評価を落とすことから、情報公開を倫理基準に据えた啓蒙活動すべきだということも理由としてある。

ステルス・マーケティングとは、コミュニティサイトやブログ、ゲリラ的に路上やクラブなどで、一般人を装ってマーケティング会社のスタッフや雇われた俳優がクチコミを行うというものだ。

(2)にあるようにマス広告との効果比較ができるような指標を設立するというのも、今までなかなか目にすることのなかった胡散臭いクチコミマーケティングが、大手企業にマス広告の代替として使われるマーケティング手法として表舞台に出てきたことを示している。

これは実際の調査にも現れている。

2006年3月に発表された、調査会社Osterman ResearchとBoldMouth.comが112の広告主を対象に行った「クチコミマーケティング調査報告」によると、63.7パーセントがクチコミマーケティングは非常に重要と答え、62パーセントが2006年により多くのクチコミマーケティングを行うと答えている。当然、市場の拡大も期待されており、上記報告書の中では2007年3月までに市場は20〜35パーセント拡大すると予想されている。

ブログやSNS、コミュニティーサイトなど、消費者によって作られるメディア(CGM)の普及により、消費者が他の消費者の意見や推薦を容易に目にする機会が増えてきたことが、市場拡大の大きな足がかりになっている。2006年6月に発表された、調査会社BIGresearchが7500人の米国在住の消費者を対象に行なった「消費者の意思と購買行動調査報告」によると、87パーセントの消費者が「店で商品を買う前にオンラインで評判などのクチコミ情報を確認する」と答えている。

また、ブロードバンド環境の普及とWeb 2.0時代と言われている現在では、従来の口頭や書き込みによるクチコミだけではなく、「Crowdsourcing:クラウドソーシング」という、オンラインツールを使って消費者やユーザーの「Wisdom of Crowd(群衆の知恵)」とクリエイティビティをいかに吸い上げ、デザインやコンテンツ制作に利用するかがクチコミを起こす鍵になり、同時に投資対効果が挙げられるのではないかと期待されている。

ではこれらを受けて、映画「Snakes On a Plane」とナイキの事例を見てみよう。

用語集
CGM / SNS / WOMMA / Web 2.0 / キャンペーン / クチコミ / クラウド / ダウンロード / バイラル / マーケティング / 事例 / 広告代理店 / 海外事情

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