リタゲは同じ広告に追っかけ回されて嫌だという話(以前にも書きましたが・・・)から話はDSP/RTBの運用ノウハウの活かし方まで・・・書いてみます。
みなさん結構経験あるでしょうな。行動ターゲティングの話をすると大概「同じ広告ばかりになってうんざりする。」という話になって、こういう技術はどんなもんですかね?という懐疑的なご意見を賜ることはずいぶん前からある。
確かにそのとおりです。
ただ、これはこういう技術を使いこなすということでは過渡期にあるため、まだちょっと稚拙な状況にあるためなんですね。
まずひとつは、広告主が気づかなければならないことがあるということです。それは最終流入経路としての広告のCPA効率にだけはまって、クリックしてくる以外の多くの人に嫌がられていて、ブランドの好意度を損ねているかもしれないということ。しかも一度は関心をもってサイト訪問をしてくれた大切な見込み客にしつこくして嫌われたみたいなことになっとる訳です。
クリックベースでCPA効率ばかり追いかけていると、「縮小均衡」にはまります。どんどん対象者を狭めて、狭めて、効率と効果の絶対量の両立ができないと嘆いても、それは当たり前。そもそもブランド力をメディア側にギャランティさせてきた「付け」みたいなものです。刈り取りばかりして、ペンペン草も生えない状況にしてから、「どうしよう、種蒔いて育てるのはやはり効率悪いしな」と言ってるわけです。
もうひとつ、技術の過渡期だから、フリークエンシー過多になっているということです。自動最適化のプログラムがしっかり稼動すると、頻度過多で嫌がられているなら、広告を配信しているクッキーの内の反応するクッキーの率が下がるので、こうした配信が最適ではないと判断します。またフリークエンシーだけでなく、配信と配信の間隔までも最適化するという学習プログラムが起動します。3回目までは続けて配信するが、3回目と4回目の間を1週間あけた方がいい結果が得られると最適化プログラムが判断すれば、間隔を開けて結果「うんざりさせない」ということになります、もちろんうんざりしているどうかを判断しているのではなく、反応が落ちるから頻度過多を制御する結果になるということです。また最適化のために接触頻度ごとにクリエイティブ内容を変えていくことも考えられます。同じクリエイティブばかり見せられるというのも「うんざり」の原因でもあります。
そもそもフリークエンシーというのはテレビの考え方で、同じ広告クリエイティブを何度見せるかということが前提です。
ひとりひとりを特定しているネット広告では、最適化の精度はもっと画期的に上がるわけです。ひとりひとりを特定できないTVのフリークエンシーは全体平均です。例えば平均フリークエンシー7.5回という算出があったとして、あくまで平均なので、実際には7.5回という接触をした人はひとりもいないわけです。(7回の人と8回の人はいるわけですが・・・)ひとりひとりを最適化するマーケティングでは、全体の平均値はあまり意味をもたないと思います。
さて、欧米人の好きな自動最適化と、結構日本人がこだわるであろう「理屈」を見つけて施策を立てる、が今後並存していきます。自動最適でも後追いでもいいので解明したがるのが日本のマーケターでしょう。
オーディエンスターゲティングは従前の情報をもって施策を打つタイプで(そこは日本的かもしれないですが)、それでも広告反応をもって最適化に向かうのでベクトルは全く同じです。ただどちらも誰が反応したかを検証できると、ネット広告の最適化に留まらす、マスメディアを含むマーケティング施策全体の最適化材料になると思います。
ここが重要です。SEMもそういうものなのですが(まだまだマスマーケターはサーチの文脈を活用していないですね)、関心の顕在化したプルの文脈だけでなく、広告クリエイティブをプッシュするかたちになるDSP/RTBでのディスプレイ広告では、潜在層への刺激で反応する要素分析もできるので、よりマーケティング施策全体の改善に役立つデータを得られるに違いありません。
私はその意味で、ビッディングという仕組みが同じだからと言って、従来のリスティング運営者をそのままDSP/RTBの運営に据えるのはちょっと荷が重いかなと思います、特に運用から得た情報を、マスメディアを含めたマーケティング活動全体にフィードバックすることをオペレーターに求めるならです。
DSP/RTBやオーディエンスターゲティングでは運用(トレーディングデスク)にノウハウが集まります。本来広告主企業内でもやってみて、この作業を全くのブラックボックスにしない方がいいでしょう。もちろん理解して運用指示書が書けるようになったらアウトソースすべきでしょうが・・・。
ある意味「広告しながら全数調査しているようなもの」というのが私の感覚。
DSP研究会を主宰して、広告主さんに参加いただいて昨日までに3回勉強会を実施した。
ネット広告を96年からやってきた間で最も大きな変化を感じているのは、「枠」から「人」へのパラダイムシフトもあるが、ネット広告で行われていることが、マスメディアを含むマーケティング活動全体の改善材料を得ることができるということもある。
広告に反応した人がどういう人かを逆引きして掴むことも可能で、そうすると「こういう人たちがターゲット」と想定しているが、「反応している人たちとはズレている」ということが必ず起こる。
このギャップをどうするか・・・。 「こういう情報を得てどうするか」がマーケティングの大きなテーマになりそう。
顧客は誰か、将来の顧客になるのは誰か、従来はこれが分かっていない。とくにメーカーは、流通の先にいる最終顧客情報を今までほとんど持てないのは普通だった。そのためにECを行うケースもある。
「顧客インサイト」を探れ!というテーマが掲げられることは多いが、インサイトの前に「顧客は誰」が分かっていないことが多い。広告に反応する人は「見込み客」であり、将来の顧客であるはず。
リアルタイムに、発生する1インプレッションづつに広告配信を最適化しようとする(人間技では絶対にできないこと)試みは従来のメディアプランニングの発想にはなかったことを実現する。リアルタイムの状況でリアルタイムに買い付けるという仕組みの可能性は大きい。
オーディエンスターゲティングによって、ターゲティングの精度を上げることもあるが、オールターゲットの商品でも、ひとりひとりのベストタイミングを掴んで、トリガーになる行動に対してカウンターでベストタイミングでの広告配信が期待できるので興味深い。
またリアルな行動データも取り込んでの広告配信は研究対象としても実に面白い。
どういう行動うする人がターゲットなのか、特定の行動とその商品の購買に相関関係があることを見つけ出してみるトライは興味深いものがある。とくに我々が連想できることだけでなく、データから相関を見つけると、人の頭ではどうにも思いつかないが、実際には相関があることも多くでてくるだろう。
他業種同士のタイアップ、クッキー交換などの施策も考えられる。マーケティングコンサルとしてはわくわくする状況だ。来年に向けてますます面白くなりそうだ。
2012年1月に開催するCSS Nite back2basicとCSS Nite redux, Vol.6 (Shift 5「デザイントレンド」再演)では、参加費のお支払いをPayPalのみとして来ましたが、リクエストにより銀行振込を追加します。
CSS Niteでは、リーズナブルなセミナー運営を行うことを心がけていますが、この中でも手間がかかるのが、入金管理です。Doorkeeper+PayPalですと、この手間が一気に解消されるのため、CSS Nite back2basicは、かなり低価格に設定しました。
銀行振込の場合、「お申し込みの際に、会社名が書いていないのに、振込は会社名義」、「結婚などでお名前が変わっている口座から送金いただく」などをはじめ、照合に手間がかかります。
このような事情によって、銀行振込の場合には、参加費を高めに設定しています。なるべくPayPalをお使いいただければ助かります。
銀行振込を希望される場合には、次のようなフロー(流れ)です。
なお、ご参加はお支払い済みの方から、参加を確定しますので、状況によってはキャンセル待ち等になってしまう可能性があります(その場合には返金します)。
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