自動入札ツール9種類の一覧表付き! 機能と導入のポイント
先月公開した記事「マーケティングツールへと進化する、APIを利用した『自動入札ツール』の最新トレンド」では、リスティング広告のAPIを利用した自動入札ツールのトレンドを紹介した。
今回は、自動入札ツールの機能と導入のポイント、代表的なツールの特色を紹介する。あわせて、国内外の主な自動入札ツールの一覧表をPDFで提供する。
どのツールを利用するのが適しているのか判断するのに必要なデータがつまっているので、ぜひ参考にしてほしい。
入札機能はルールベース型、
ポートフォリオ型の2タイプ
今回は自動入札ツールの機能と、導入にあたってのポイントを紹介したい。
リスティング広告の自動入札ツールの中核となる機能は、言うまでもなく入札価格を最適化する自動入札機能だ。自動入札機能には、大別して「ルールベース型」、「ポートフォリオ型」の2つのタイプがある。
前者は、運用担当者が入札のルールを定め、そのルールに則って自動的に入札が行われるものだ。具体的には運用担当者自身が、入札価格や出稿スケジュールなどの入札ルールを設定する。ツールはそれらのルールに従って入札・運用していく。ルールを決める頭脳はあくまでも人間であり、ツールはそれを忠実に実行する手足となる。
一方、後者のポートフォリオ型は、CPAやCPCなどのビジネス目標は運用担当者が設定するが、どのように入札・運用するかはツール側に任せてしまうというタイプだ。金融の世界には、高度な金融工学に基づき、コンピュータが自動的に金融商品を売買して資産運用するクオンツという手法がある。ポートフォリオ型は、このクオンツの取引手法に類似したものだ。
もっともリスティング広告の自動入札ツールの多くは、「ルールベース型」「ポートフォリオ型」の両方を併用できるようになっている。一部は運用担当者自身がルールを設定するが、その他はツールに任せるといった形での入札・運用管理も可能だ。
このほかの自動入札ツールの機能としては、「レポート機能」「効果測定」「運用サポート機能」などビジネス目標達成を強力にサポートしてくれる様々な機能がある。それぞれの細かな機能はツールによって異なる。選択の際は自社のマーケティング戦略の実施に必要な機能が備わっているかどうかを吟味することが大切だ。
キーワード数が少なくても
自動入札ツールが有効なケースも
自動入札ツールの導入にあたって忘れてはならないのは、自社のマーケティング目標を達成する上での現状のアカウントの課題を分析し、それを解決するためのソリューションとして適切かどうかを見極めることだ。
またよくある誤解が、商材や入札キーワードのボリュームが少ないと、自動入札ツールを有効活用できないという考えだ。多くのキーワードに入札し、アカウント全体の最適化を目標としている広告主にとって、自動入札ツールの利便性が高いのはわかりやすいだろう。一方で入札キーワード数は少なくても、CPC(クリック単価)やCPA(獲得単価)が高額になりがちな商材を扱っている広告主であれば、自動入札ツールは特定のキーワードの入札最適化に有用だ。つまり商材や入札キーワードのボリュームに関わらず、自動入札ツールは収益最大化の有効な手段となりうる。
導入時は単に商材数やキーワード数を基準に検討するのではなく、まず課題分析からスタートし、導入によってどのようなビジネス目標を達成したいのか、導入目的を明確にすることが大切だ。
- 広告主に対して課金される有償ツール(販売経路は不問)
- 自動入札機能の実装(レポートツール等は対象外)
- PC版スポンサードサーチをサポートしていること
- Yahoo!リスティング広告を含む、複数媒体のサポート
- 提供形態がASP/SaaS(パッケージソフトは今回対象外)
コメント
ルールベースとポートフォリオベースの違い
はじめまして、米国のSEM会社に勤務する者です。
さて、この記事には、ルールベースとポートフォリオベースの違いは人間とシステムのどちらが主導かということで定義されていますが、これは、正確ではないと思います。
ルールベースは、各キーワードを別々に考慮して、そのパーフォーマンス情報のみを基本に入札するもので、ポートフォリオベースは何万からなるキーワード全部のパーフォーマンスを考慮し、その中で、予算分配などを行い、最適な入札価格を決めていきます。ですので、結果的には、このような大量数のキーワードのデータを考慮するには、コンピュータのような機械にしかできません。
現在このような大規模なモデリングとシミュレーションを行っている所は米国に一社だけとうかがっております。
Re: ルールベースとポートフォリオベースの違い
当記事の編集担当しております木村と申します。
ご指摘ありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。
おっしゃる通りでございまして、記事ではスペースの関係から細かくは説明いたしませんでしたが、ポートフォリオ型は、運用キーワード全体までをポートフォリオの対象とし、そのポートフォリオの中からリスク分散とリターンを考えてキーワードの最適な入札金額の算出をツール側が行い、ビジネス目標を運用担当者が設定すれば、キーワード毎にどのように入札・運用するかはツール側に任せてしまうことができる、という一般的な意味で説明をしております。
一覧表および当記事では、部分最適化か全体最適化かという入札価格を最適化する対象の違いではなく、入札価格決定・最適化に用いるアプローチの違いによりポートフォリオ型とルールベース型の違いを定義させていただきました。
一般的にポートフォリオ型のツールは、各社固有のノウハウにもとづくチューニングを施したモデリングおよびシミュレーションが各々採用されおり、特定のモデリング手法や入札アルゴリズムを指してポートフォリオ型と定義されていない現状です。そのような状況を鑑み、モデリングの手法・規模、ポートフォリオの対象がキーワード全体かによらず、キーワードの入札金額を資産とみなし、リスク分散とリターンを考慮して入札金額がシステムにより決定される機能を実装した自動入札ツール全般をポートフォリオ型ツールと区分させていただいております。
今後ともWeb担当者Forumをよろしくお願いいたします。