- 編集部の見解や意向と異なる内容の場合があります
- 編集部は内容について正確性を保証できません
- 画像が表示されない場合、編集部では対応できません
- 内容の追加・修正も編集部では対応できません
(2)施策の効果測定
今回は「施策の効果測定」についてお話しします。
前回(第9回)の最後に、
「データスクリー二ング的に、入手したデータの中から有効そうなデータを選択していくという作業が必要になり、そのデータが決まったら、本格的な解析に入る。」と説明いたしましたが、実際に解析した結果の例は下記の図となります。
このケース、元々は「あるキャンペーンにデジタルを加えた為、これまでよりどれ位効果があがったのか?」を解析する、とうのがテーマでした。
実際、キャンペーンにおいてはデジタルを入れる前より効果はかなり上がったのですが、それ以上に重要な話として、「そのキャンペーン全体が、売上にどの位貢献したのか?」あるいは、「そのキャンペーン以外の他の施策は、売上にどの位貢献したのか?」を見てみると、実は最も大きな影響を与えたのが、棒グラフの一番下「ベースライン」という事が分かりました。
このベースラインというのは、MMMでいう「定数項」、いわゆる「ブランド力」を意味しています。
つまり、色々キャンペーンを仕掛ける事は大事なのですが、それ以前に、「そもそもそのブランド自体の影響力がどれ位あるのか?」という事が、売上全体に最も影響している、という事が分かったのです。
そして、次に影響が大きかったのが、流通施策、更にその次がキャンペーン施策でした。
この解析はある一定期間の解析ですが、ここから想定される事として、もしかしたら「このブランドは、長年に渡りその影響力がじわじわ低下していたのでは?」という事が考えられます。
これは、そのクライアントさんの経営者が「昔はみんな、自社のブランドの事をよく知ってくれていたが、最近はあまり知られていないと感じる」というコメントをしていた事とも一致します。
つまり、キャンペーン担当者が、そのキャンペーンだけでなんとか売上を上げようと頑張っていても、その“土台となるブランド力”がじりじりと下がっていては、「なかなかキャンペーンだけで売上全体に貢献する事は難しいのではないか?」という事が考えられます。
となると、その企業の根本的な課題は“ブランド力の向上”であった事も見えてきますよね。
このように、売上全体が、施策別にどれ位効果があったのかを解析する事で、分析においても又次のテーマが見えてきます。
そう、「ではどの施策にどの位の予算を配分すれば、売上が最も上がるのか?」というテーマです。
次回はこの「予算最適配分のシミュレーション」についてお話しします。
本件に関するお問い合わせはこちら
連載記事一覧
データ分析は、マーケッター視点で
第1回 デジタル&データの潮流① - ビジネス変革:デジタル・イノベーターの台頭
第2回 デジタル&データの潮流②
- データの多様化:接点の実績が全てデータ化されていく
第5回 顧客分析のポイント③ - 商品ファンから企業ファンへ
第6回 コミュニケーション設計① - コミュニケーションの全体設計
第7回 コミュニケーション設計② - コミュニケーション分析
第8回 コミュニケーション設計③ - マーケッターとサイエンティストの連携
第9回 施策効果① - MMM(マーケティング・ミックス・モデル)
【筆者紹介】
山崎 浩人
広告会社でマス広告、コールセンターでCRMを手がけ、携帯事業者でキャリアレップCEO、電通・CCI出資のクロスメディア事業CEOを勤めた。
その後、外資広告社で企業のブランド戦略やグローバル戦略を支援。現在も戦略系コンサルを担う。
・2012年 日本広告主協会Web広告研究会「Web人 of the year」受賞
・講演例:「反グローバリズム時代の企業成長とブランド理念」
https://www.is-assoc.co.jp/seminar20160120/
ソーシャルもやってます!