データ分析は、マーケッター視点で:第6回 コミュニケーション設計①

今回は、データ分析の基盤にもなっていく「コミュニケーション設計」についてです。 3点から考察していきます。 初回はコミュニケーションの全体設計です。
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(1)コミュニケーションの全体設計

 全体設計おいては、まず土台となるフレームが必要になりますが、一般的にはやはりそのコミュニケーション・プロセスをパーチェスファネルを使って設計するのが良いと思います。

 ただし、そのプロセス自体は時流によって変化していきます。
かつては「AIDOMA」(*「注意/Attention → 関心/Interest → 欲求/Desire → 記憶/Memory → 行動/Action」)が主流でしたが、インターネットでの検索やソーシャルメディアが台頭してきた以降は、「AISAS」「DUAL AISAS」等という考えも出てきました。
このプロセスは、今ではコミュニケーション構造が複雑化している為、「360°コミュニケーション」という考えもある位ですから、あまり決めつけすぎない方が良いとは思います。

 そして、これをカスタマージャーにし、各プロセスにインサイトや心理変容を想定していく、という事になります。

カスタマージャーニーも、どこまで細かく設計するかにもよりますが、私自身はまずはシンプルな設計をする事をお奨めします。

例えば図のような例があります。

 顧客は、個別キャンペーンの場合、主ターゲットを「潜在層か」「顕在層か」「既存顧客か」に絞るかもしれませんが、まずはそれらを全て含む“全体設計“を設定した方が良いと思います。

  1. まず、スタートとして、ブランドに対する各ターゲットの現在のインサイトを想定。
  2. 次に、その各ターゲットとコミュニケーションをした結果、「どんな心理変容・態度変容に導きたいか?」というゴールを設定します。
  3. そして、スタートとゴールの間のプロセスを設計。
  4. 最後に、各ターゲットの各プロセスで、最適なコンタクトポイントは何か?を想定します。

 これが、コミュニケーション全体の仮説設定になります。可能であれば、各プロセスでの通過率も仮説を立てておくと良いでしょう。

 

 分析においては、コミュニケーション施策を実施した結果、「その各ターゲットと各プロセスの通過率が、仮説と比較してどう違ったか?」を検証します。
そして、そのブランド・コミュニケーションにとって、最大の課題はどのプロセスにあったのか?を導き出すのです。

 

 以降は、その課題に対する改善策を施した次のコミュニケーション施策を実施し、また検証をする。
その繰り返しですね。

それによって、そのブランドの最適なコミュニケーション施策に近づいていくわけです。

 

 

次回(第7回)は、「コミュニケーション分析」について触れてみようと思います。

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連載記事一覧
データ分析は、マーケッター視点で
 第1回 デジタル&データの潮流① - ビジネス変革:デジタル・イノベーターの台頭

 第2回 デジタル&データの潮流②
  - データの多様化:接点の実績が全てデータ化されていく

 第3回 顧客分析のポイント① - 属性からインサイトへ

   第4回 顧客分析のポイント② - データの多様化

 第5回 顧客分析のポイント③ - 商品ファンから企業ファンへ

 第6回 コミュニケーション設計① - コミュニケーションの全体設計

 第7回 コミュニケーション設計② - コミュニケーション分析

 第8回 コミュニケーション設計③ - マーケッターとサイエンティストの連携

 第9回 施策効果① - MMM(マーケティング・ミックス・モデル)

 第10回 施策効果② - 施策の効果測定

 第11回 施策効果③ - 予算最適配分のシミュレーション

 第12回 ブランド評価と目指すべき分析の方向性①

 第13回 ブランド評価と目指すべき分析の方向性②

 

【筆者紹介】

山崎 浩人

広告会社でマス広告、コールセンターでCRMを手がけ、携帯事業者でキャリアレップCEO、電通・CCI出資のクロスメディア事業CEOを勤めた。

その後、外資広告社で企業のブランド戦略やグローバル戦略を支援。現在も戦略系コンサルを担う。

 

・2012年 日本広告主協会Web広告研究会「Web人 of the year」受賞
・講演例:「反グローバリズム時代の企業成長とブランド理念」
 https://www.is-assoc.co.jp/seminar20160120/

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