オープンソースCMS「concrete5」ファウンダーが語る、concrete5の特徴と今後の展望
エンタープライズ用途に進化してきた注目のオープンソースCMSが次に向かう方向性とは。
2014年11月11日 8:55
Question(以下Q):こんにちは、コンクリートファイブジャパンの上野です。まず、自己紹介をお願いします。
Franz(以下F):こんにちは!Franzと言います。PortlandLabsのCEOで、concrete5を開発しています。Andrew(以下A):Andrewです。PortlandLabsのCTOで、concrete5のファウンダーです。こんにちは。Q:最初に軽い質問ですが、PortlandLabsには、ポートランドの特産品を使った面白い制度があるそうですね。
F:そうなんです。PortlandLabsのオフィスには、ポートランド名産のIPAなど3つのビールのタブがあります!午後3時以降には、美味しいビールを飲みながら新しいアイディアをディスカッションしたりします。A:複雑な問題に一日中取り組んでいる際に、リラックスすることもできますね。Q:クラフトビールで有名なポートランドらしい、すばらしい制度ですね!では最初の質問ですが、concrete5とはどんなCMSなのでしょうか?
F:concrete5はオープンソースのコンテンツ管理システムです。ウェブサイトを構築するためのツールであり、デザインの自由度も高く、どなたでもかんたんにコンテンツを編集できます。ウェブサイトの開発者とサイトオーナーのどちらのニーズにもバランスよく対応しているのが特徴です。Q:concrete5を開発したきっかけは何でしょうか。
A:多くのツールはそれぞれに生まれた理由があると思います。10年以上前のことですが、私たちには大人数が同時にコンテンツの編集に参加しなければならないウェブサイトのプロジェクトがありました。スケジュールは短く、それでいて全ての方が問題なく編集できるインターフェースが必要でしたので、それらのニーズを満たすツールを開発しました。concrete5のコンテンツ編集のアプローチは、実際のプロジェクトから生まれてきたのです。Q:クライアントの要望の中から生まれてきたCMSなんですね。そんな concrete5 をオープンソースにしようと思った理由とは、何なのでしょうか。
F:最初の5年間は、私たちのCMSを商用CMSとして販売していました。その後2008年に開発したバージョン5では、システムをいちから再構築しました。自分たちは、大学時代に学生新聞を作って自由に言論を表現していた時のような自由をWeb上でも実現したかったのです。そのためにオープンソースにすることを決めました。Q:concrete5はどんなクライアントに支持されているのでしょうか。
F:ひとことで言うと、非常に幅広いウェブサイトで使われています。我々が商用CMSであったときは、数百万円の予算で中規模なクライアントのサイトを開発することが多かったのですが、オープンソースになってからはそれまでになかった領域でも使われることが多くなりました。共有ホスティング上で、小規模なサイトを持つことにも使われており、我々のマーケットプレイスに登録されたテーマやアドオンが、そういったサイトを作りたい方に取ってお役に立てるでしょう。また、数千万円の高価なライセンス料を商用CMSに支払っていたような、これまでより大規模なクライアントのサイトも手がけるようになりました。Q:多言語対応のニーズは強いですか?
F:もちろんです。大規模なクライアントの場合、ウェブサイトに数十の言語を用意することもあります。concrete5にはいくつか多言語対応の方法があります。まず、無償と有償の国際化アドオンでサポートしている、言語ごとにサイトマップのツリーを作りコンテンツを言語から言語にコピーする方法があります。また、こちらは有償のCDAM(デジタルアセット集中管理)機能を使う方法ですが、コンテンツをより組織的に、かつ集中管理したうえで細かく要素に分けて、要素ごとに細かくローカライズを行なうこともできます。Q:バージョン5.7はconcrete5が公開されて以来の大きな変更となったメジャーバージョンになりましたが、バージョン5.7の開発にあたって特に意識したことは何でしょうか。
A:これまでのバージョンよりも、ネイティブアプリのような、本当にページを見たまま編集できるユーザー体験を目指しました。我々はここ数年、大企業向けのエンタープライズにフォーカスした開発を行なってきましたが、一般ユーザーのためのソフトウェアとして立ち戻るときだと判断しました。 → concrete5 バージョン5.7の操作デモ動画(YouTube)Q:5.7では、これまでのバージョンと後方互換性がありませんね。なぜこの大きな決断に至ったのでしょうか。
F:バージョン5.7はこれまでで初めて、ワンクリックでのアップデートができないバージョンになります。我々は2003年に、Wordで編集するようにウェブコンテンツを編集できるCMSを目指して開発をスタートしました。ところが近年の変化として、WeeblyやSquarespaceなどのクローズドなサービスも、ウェブページを直接編集できるような体験—それもconcrete5バージョン5.6よりもすばらしいもの—を提供し始めました。そこで、我々は一般ユーザーのためにベストな編集体験をオープンソースで提供するために、大きな変更をシステムに加えることを決断しました。もちろん、バージョン5.6もメンテナンスを継続しますし、5.7への移行スクリプトも提供します。Q:ところで、ポートランドという街は、デザインやアプリ開発、またDIYカルチャーの面でも日本からも注目されている街ですね。
A:私たちは長く住んでいますが、この街はアイディアを生み出すクリエイティブな人たちにとって働くのに適した街だと思います。最近になってポートランドの外からも注目されているというのは嬉しいことですね。Q:日本のコミュニティに対する印象はいかがでしょうか。
F:とてもよいですね。ミートアップなどで実際に会う機会を大切にしているのは、とても健全だと思います。アメリカのコミュニティも学ぶことは多いと思います。Q:日本のコミュニティに期待することは何でしょうか?
F:日本の方々がconcrete5で自分のウェブサイトを持てるように、より日本語でのサポートをお願いしたいと思います。Q:今後のconcrete5の展望について教えてください。
F:今後の展望とのことですが、現在の取り組みの延長になると思います。より安定した動作、モバイルへの対応も続けていきます。より多くの方々がconcrete5でかんたんにウェブサイトが作れる世界を目指していきます。 詳細な権限設定やワークフローなどの標準機能に加え、静的HTML出力などの商用の追加機能もリリースされ、エンタープライズCMSとしてますます魅力的になったconcrete5。だがconcrete5のファウンダーは、そのままエンタープライズCMSとして完成していく道ではなく、「誰でもかんたんにウェブサイトを編集できること」という根本に立ち戻り、インターフェースを進化させる道を選んだことを語ってくれた。拡張が容易で企業のウェブサイトのニーズに対応できるオープンソースCMSでありながら、SaaSのWebサイトビルダーに匹敵する使いやすいユーザーインターフェースを持ったconcrete5は、今後その特別な立ち位置から、ますますウェブ制作の現場で選択肢に上がってくることだろう。 また、インタビューで日本のコミュニティへの期待を語ってくれたFranz Maruna氏は、我々がポートランドを去る際にも、日本のコミュニティをサポートすることを約束してくれた。日本でもconcrete5の波がより大きくなることを期待してやまない。 このインタビューは、concrete5日本語コミュニティが毎週Ustreamで放送している生放送番組『週刊concrete5』として行なわれ、録画がYouTubeで視聴可能なので、お時間の許す方は録画もぜひチェックしてほしい。 → 週刊concrete5 Vol.203 ポートランド特別生放送concrete5 関連セミナーのお知らせ
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