SEOカニバリゼーションを引き起こすサイト内コンテンツ競合を簡単に特定・修正・防止する方法
今回のホワイトボード・フライデーのテーマは「コンテンツ競合によるSEOのカニバリゼーション」についてだ。カニバリゼーションを簡単に特定・修正・防止する方法を、ジョン・アーンショウ氏が説明する。
Mozファンのみんな、こんにちは。僕の名前はジョン・アーンショウ。Pi Datametricsで主任プロダクトエバンジェリストを務めている。今回は、僕が強い関心をもっているテーマについて話そう(実に15年以上も前から関心をもち続けているテーマだ)。
ある日、SERPを分析していた僕は、ある異常な変動を目にするようになった。検索結果で1ページ目のかなり上位に表示されていたコンテンツが、突然順位を落としてしまったのだ。
数週間経って、理由もなく下がっているわけではないことに気づいた。このコンテンツは、サイト内にある他のコンテンツと競合したために下がっていたのだ。
「重複コンテンツによるペナルティなどない」のはわかっている(グーグルも常にそう言っている)。しかし、これを機に僕たちは、グーグルだけでなく他の検索エンジンも同じような性質のコンテンツに対してますます神経質になっていると理解するようになった。まさにそれが、カニバリゼーションの本質だ。
そこで今回は、次の3つのステップを説明する:
カニバリゼーションを簡単に特定できる方法を見ていく。
次に、それを修正する方法を紹介する。
最後に、そもそもカニバリゼーションが起こらないようにする方法を説明する。
これをきちんと理解すれば、当然ながら特定や修正について心配する必要はなくなる。
ステップ1カニバリゼーションのタイプを特定する
カニバリゼーションには3つのタイプがある。実際にはもっとあるが、知っておく必要があると言えるのは、次の3つのだ:
- サイト内の競合
- 国際的な競合
- サブドメインの競合
「サイト内の競合」とは、同じサイトにある別々のコンテンツが、同じ検索意図に関連性をもってしまっているため、検索順位という意味では競合してしまうことだ。
「国際的な競合」も、同じサイトだが異なる国や言語に向けたコンテンツが競合してしまう場合だ。これはまったく別の問題で、hreflang属性などで対処できる。そのため、ここでは取り扱わない。
「サブドメインの競合」は常に起こるものだ。たとえば、次の2サイトを運営しているとする:
- www.example.com(メインサイト)
- help.example.com(サポート情報用のサブドメイン)
メインサイトのコンテンツと似たようなコンテンツがサポート情報用のサブドメインにあれば、常に競合することになる。しかし、今回はこれについても取り上げない。
この記事では、3つの競合タイプのうち「サイト内の競合」にフォーカスして、問題を修正する方法について説明する。
ステップ2カニバリゼーションの問題を修正する
検索順位や派生キーワードを確認する
SEOに力を入れた結果、「メンズブレザー」というキーワードで検索結果の1ページ目に表示されているURLがあったとしよう(ここでこのページを「ページA」とする)。男性用ブレザーを販売している人なら、だれもが1ページ目に表示されたいと思うものだ。
しかし、ある日その順位が下がっていることに気づく。よく見てみると、ある期間のなかで、同じキーワードに対して自社サイトの複数のURLが検索結果に出ていることに気づくかもしれない。
注意すべき点は、カニバリゼーションはキーワードレベルで起こることだ。
コンテンツレベルではない。重要なのはキーワードだ。そのため、コンテンツによっては別のキーワードでは競合せず、問題なく1ページ目に表示されるかもしれない。
たとえばページAは、メインのキーワード「メンズブレザー」の派生キーワードである次のような検索では、同じ期間で問題なく1ページ目をキープしているかもしれない:
- 「メンズジャケット」(ページA)
- 「メンズサマージャケット」(ページA)
危険なのは、メインのキーワード「メンズブレザー」にかなり近い派生キーワードで上位に来るページがサイト内にいくつかある場合だ。この例で言うと、たとえば、次のようなキーワードでページAとは別のページが上位に来る状況を考えてみよう:
- 「夏用メンズブレザー」(ページB)
- 「冬用メンズブレザー」(ページC)
- 「2023年新作メンズブレザー」(ページD)
こうした場合、ページB~ページDが次のようなものならば、競合が起こる可能性がある:
- ページAと内容が似通っている
- ページのtitle要素にメインのキーワードが含まれている(この場合は「メンズブレザー」)
なぜなら、HTMLのtitle要素はテーマの設定という観点からグーグルにとって特に強力な指標であることがわかっているからだ。
SEOに影響がある要素はいくつもある:
- URL
- title要素
- h1要素
- meta description
- コンテンツ
そのなかでもtitle要素は重要で、title要素を変更すると、かなり短時間でビジビリティに影響が及ぶ(24時間以内)ことがわかるだろう。
メインの入り口にしたいURLを決める
カニバリゼーションの状況に話を戻す。
ここでURLについて決定を下す必要がある:
どのURLを、訪問者が自社に接触する入り口とするべきだろうか?
というのも、どのページを入り口とするべきかを決めなければ、グーグルに決められてしまい、カニバリゼーションの状況に陥ってしまうからだ。SEOのカニバリゼーションはどこでも起こる可能性があり、1ページ目の下のほうで起こっているかもしれない。
次のように言う人もいるかもしれない:
1ページ目に表示されているなら、気にしなくていいよね
だが、注意を払うべきだ。なぜなら、次のようなことが発生する可能性があるからだ:
ある潜在顧客が「メンズブレザー」を検索していて、君のコンテンツを見つけた。
商品を見て気に入ったが、そのときは購入に至らなかった。
後日、やっぱり買おうと思い、またグーグルで検索して君のサイトに来た。
だが、先日とは異なるページが上位に来ていたため、せっかく買う気になった潜在顧客が「あれ、違うページだ」と離脱してしまった。
このユーザーは、最初に訪問してきたときとは異なるサイト内のセクションに行ってしまっていたのだ。
まとまりも一貫性もなく、場当たり的な入り口から僕たちの世界に入ってくることになるユーザーは、当然ながら混乱してしまう。それではコンバージョンに影響がでてしまうだろう。
これが、「どのページを上位にするかは、自分たちが決めるべきことであり、検索エンジンに任せるべきではない」理由だ。
実際にカニバリゼーションを修正する
どのURLをメインにするか決めたら、次はグーグルがそう扱うようにサイトを修正していく。
このためにできることは、たくさんある。しかし最初にやるべきは、「他のキーワード、派生キーワードに対するコンテンツの順位を確認すること」だ。これらのコンテンツは、それ自体の内容が反映された形で検索順位に表示されているだろうか?
変更に着手する前に、title要素の調整にかかる前に、リダイレクトを始める前に、何かをする前に、これらのコンテンツがそれ自体の内容を反映して表示されているかを確認しておこう。
そのうえで、どのように修正するかを選ぶ。手法は次の4つだ:
- ページを統合し、元の記事を301リダイレクトさせる
- テーマをダウングレードする
- サイト内リンクを張る、noindexも使える
- ハブページを構築する
どの修正方法を使ってもいいが、検索エンジンは驚くほど敏感であり、得られる成果は僕たちの選択次第だ。
修正方法1ページを統合し、元の記事を301リダイレクトさせる
可能性のある選択肢の1つは、古いコンテンツのいずれかを新しいコンテンツに統合することだ。
多くのクライアントがやっているのを見てきたが、それで何かが失われるわけではないため、この方法はとてもうまくいく。
統合したら、もちろんその後に元の記事へのアクセスは301でリダイレクトさせる。そうすることで、すぐにオーソリティを注入できる。
修正方法2テーマをダウングレードする
次に、テーマのダウングレードだ。ここで言う「テーマ」とは、ページで扱うトピック、言い換えれば対応する検索意図のことだ。
テーマをダウングレードするには、どうすればいいだろうか。ページで最も強力な要素であるtitle要素を覚えているだろうか。title要素を変えれば、ページのテーマを変えられる。たとえば次のようにすれば、メンズブレザーのページではなくなる:
- 元のタイトル: 「夏用メンズブレザー」
- 変更後のタイトル: 「夏用メンズウェア」
ただし、ページのtitleがそのページ自体の内容を反映していて、内容に適した検索順位を獲得しているのなら、この手法は使わないほうがいい。そのトラフィックを失いたくないからだ。その確認には、ページへのトラフィックをチェックするといい。
修正方法3サイト内リンクを張る、noindexも使える
次は、サイト内リンクだ。たとえば、入り口にしたいページをページAと決めたら、そのページが表示されるようにするために必要なオーソリティを与える。
アンカーテキスト「メンズブレザー」を使って、ページB・ページC・ページDから、メインのページAにサイト内リンクを張ろう。
これで何をしているかと言えば、「ここにあるページAは『メンズブレザー』に関するコンテンツだよ」とグーグルに伝えているのだ。アンカーテキストとこれらのリンクによって、そのページに必要なオーソリティを与えることになる。
これを他のオプションと組み合わせてやってみる。適切であれば、noindexも使える。このように、使えるツールはたくさんある。
修正方法4ハブページを構築する
ただし、さまざまな派生ページを気に入っていて、どれも失いたくないこともあるだろう。たとえば、「夏用ブレザー」「冬用ブレザー」「麻のブレザー」「その他のブレザー」をそのまま活かしたい場合だ。
こうした場合にできることは、ハブページの構築だ。
まず、ハブページを作る(ページX)を作る。このページが、新たに「メンズブレザー」の検索意図に応えるメインの入り口ページとして作る。
次に、そのハブページから各種の派生ページに、それぞれの対応検索意図に合ったアンカーテキストでリンクする。
そして重要なのは、これらすべての派生ページからハブページにサイト内リンクを戻すことだ。
これで何を作成したことになるだろうか。このように、すばらしいハブ&スポーク構造のサイトにすることで、オーディエンスに理解してもらい、グーグルにも理解してもらえる。要するに、グーグルが混乱しないように、グーグルにシグナルを送ることになる。
ステップ3カニバリゼーションを防ぐ
最後に、カニバリゼーションを防ぐにはどうすればいいだろうか。どうすれば、こうした問題に直面せずに済むだろうか。これを防ぐ鍵は、状況に応じた4つの最適化のいずれかを採用することにある。
状況に応じた最適化には、次の4つのパターンが考えられる:
- SERPに応じた最適化
- 競合他社に応じた最適化
- グーグルのアルゴリズムに応じた最適化
- 個々のエコシステムに応じた最適化
いずれにせよ重要なのは、メンズブレザーをテーマとした新しいコンテンツを自社コンテンツとして投入する前に、次のように自問してみることだ:
すでに存在する自社サイトのコンテンツのなかに、このメンズブレザーのコンテンツと競合する可能性のあるものはないか?
title要素に「メンズブレザー」が含まれるコンテンツがあれば、競合する可能性がある。その場合、グーグル検索結果の1ページ目に表示されるコンテンツの1枠が埋まってしまい、新しいコンテンツが1ページ目に表示されない可能性がある。そうなれば、打つ手がなくなるかもしれない。
はっきり言って、コンテンツのカニバリゼーションが原因で、非常に多くのビジビリティが失われている。2ページ目や3ページ目に表示されているコンテンツの40%ほどは、これが原因だと僕は見ている。
そこで、簡単に分析する方法として、検索演算子を使おう。
分析方法1intitle検索で競合を特定する
ここでは「site:」と「intitle:」の検索を併用する。
「site:」には君のサイトのドメイン名を指定し、「intitle:」にはテーマを二重引用符で囲んで指定する(今回の例だと"メンズブレザー")。これで、でグーグルがインデックス登録したページのうち、title要素に「メンズブレザー」が含まれるページが返される。
最も強いテーマを忘れないでほしい。新しいコンテンツを投入する前に、すでにそのテーマに関するコンテンツがあることがわかれば、この記事の「ステップ2 カニバリゼーションの問題を修正する」のセクションを参考に対応を検討する。そうすることで、カニバリゼーションが起こるのをあらかじめ防げる。
分析方法2補完関係にあるコンテンツを探す
競合を特定し、それができたら、次は補完関係にあるコンテンツを明らかにしよう。では、そうしたコンテンツをなぜ、どのように明らかにするべきだろうか。
まず、理由を説明しよう。それは、新しいコンテンツを公開して、他のコンテンツと並べた場合、それが優れたパフォーマンスを発揮できるようにするには、オーソリティが必要だからだ。
オーソリティを得るための最適かつ最速の方法は、ブレザーだけでなく男性のスタイルやファッションについて取り上げている関連テーマの他のページからオーソリティを得ることだ。
では、その他のページをどう探すのか。ここでは、別の検索演算子で「site:」検索を利用して、テーマを検索している(「intitle:」は使わない)。これで、本文に「メンズブレザー」が含まれるページを探せる。
そうすれば、補完関係にあるコンテンツを見つけられる。そうしたコンテンツを見つけたら、そのページから「メンズブレザー」をアンカーテキストにして新しいコンテンツにリンクしよう。
ここで1つ有用なテクニックを紹介しよう。"2019"や"2018"のように、二重引用符で囲って検索する方法だ。
そうすれば、すっかり忘れていた古いコンテンツも見つけられる。それらのページを修正すれば、リンクに加えてオーソリティも新しいページに渡せる。場合によってはリダイレクトしてしまうのもいいかもしれない。
かなり簡単に説明したが、これだけでカニバリゼーションを特定、修正、予防できるはずだし、そのいずれもがうまくいくはずだ。
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