【レポート】Web担当者Forumミーティング 2022 秋

SNSでシェアされるために知っておきたい「ビジュアルマーケティング」のコツ

SNSでシェアされるために知っておくべきビジュアルマーケティングのコツを、ウジパブリシティーのウジトモコ氏が説明。

近年、SNSの影響力は絶大だ。どのようなデザインを用意し、運用することが求められているのか悩む担当者も少なくない。「Web担当者Forumミーティング 2022 秋」では株式会社ウジパブリシティーのウジトモコ氏が登壇し、ウェブ担当者が知っておきたいブランド戦略やSNSでシェアされやすいデザインについて語った。

株式会社ウジパブリシティー 戦略デザインコンサルタント/アートディレクター
ウジトモコ氏

デザインやロゴの「単純化」

多くのブランドロゴがリデザインされコンパクト化している昨今。コンパクトなデザインは、ユーザーにとって写真に撮りやすく、SNSでシェアしやすいメリットがある。具体例として挙げたのは、大手コーヒーチェーンのシンプル化されたブランドデザイン(ロゴやショッピングバッグ、店舗外観など)だ。

写真で撮った時に映えやすいように、多くの大手企業がロゴをシンプルにリデザインしている

こうしたブランドロゴの「単純化」は、大手企業に限った話ではない。たとえば、都心の住宅街にあるオープンの期間が限定されているカフェや、離島発のコーヒー豆焙煎所などは、どちらも小規模なコーヒー屋ではあるが、買った人の多くがカップやパッケージのシンプルなロゴを撮影してSNSでシェアしている。

ウジ氏が撮影した「8YARDS COFFEE」の写真。
検索すると、多くの人が同じようにこのカップを撮影してシェアしている

このように、誰でも簡単に絵になりやすい写真が撮れるビジュアルをブランド側が提供する、という点において、規模の大小は関係ないとウジ氏は話す。

簡単に絵になるものはスピーディにシェアされやすい。また、シンプルに加えてユニークであること、ほかで見たことがないという点も必要。どこかで見たことがあるようなデザインや、ストックフォトなどで安価に売られているありがちなモチーフを組み合わせたビジュアルやロゴはあまりシェアされません(ウジ氏)

コミュニケーションにおける「統合」「包括」

続いて、テーマは「コミュニケーションにおける『統合』『包括』」へ。

広告の歴史を振り返ると、1980年代は交通広告を中心とした4マス媒体が華やかな時代で、1990年代から2000年代にかけてはメーカーやブランドがショッピングバッグのデザインに力を入れ、ユーザーもショッピングバッグ欲しさに行列をつくっていた時代があった。一方、近年は「シーズンごと、商品ごとといった都度の制作をせず、ブランドロゴなどを使用し続けてブランド訴求力を上げる」潮流にあるという。

私のように広告出身のデザイナーは、どうしてもレイアウトに力を入れてしまい、バリエーションを増やしたり、イラストを入れたり複雑にしてしまいがちですが、制作コストを下げながらブランドの影響力を強めるためには(=スピーディにユーザーにシェアしてもらうためには)、シンプルなブランド訴求のデザインが抜群の効果があります(ウジ氏)

さらには、別の商品にも同じシンプルなデザインを使い続けることで、ブランドが統合でき、デザインも資産になると話した。

主力のコーヒー豆からグッズ、看板、内装まで全てシンプルなブランドロゴのみのデザイン
shutterstock©
shutterstock©

生産性を向上し、持続可能にする「システム化」

講演直前に寄せられた「なぜビジュアルによって広告への食い付きが違うのか」という質問に対して、「そもそも、広告というだけで嫌われてしまうことも多い。ブランドのデザインを『システム化』して、さまざまなシーンで露出の機会を増やすことが顧客とのエンゲージメントを上げるうえで重要な役割を果たすことになるだろう」と話す。

ウェブはロングテールにより蓄積されていくものなので、さまざまなシチュエーションを見据えてあらかじめ計算された素材作りとシステム化により、ブランドやサービスの訴求から認知、想起にスピード感をもたらします。コミュニケーション領域における「スピード感」と「持続継続」の両輪を整えることが重要です(ウジ氏)

たしかに、グローバルに展開する大手コーヒーチェーンのウェブサイトを各国別で見比べてみると、ベースになるのはUSAのレスポンシブデザインだが、イタリアではUSAのデザインにかすかに賑やかさがプラスされ、よりイベント感が増したデザインになっている。フランスは、USAのデザインに少しだけかわいらしい要素が追加されている。それらに比べると日本のデザインは、これまで紹介したどの国よりもしっかりと作り込みがされており、情報量の多い、独特なデザインになっている。世界を見渡せばデザインにおいてもDX化が進む傾向が強い中、キャンペーンごとに、多種多様なバナーをひとつひとつ手作りする文化は日本独特のものではないか、と指摘する。

もちろん広告を見てお店へ行っている人も多いだろうが、シェアされるのは、ブランドのデザインなんです。広告はほぼシェアされません。投稿も広告的なものより、日常のワンシーンなどオーガニックな投稿の方が圧倒的に反応がいい(ウジ氏)

また、unsplash.com(アンスプラッシュ)というサービスでダウンロードできる無料のコスモスの画像が2年間で11万ダウンロードされていることも紹介。使い道について「洋服やアクセサリーのメーカーが、Instagramのホームを自分の世界感にするために、レイアウトなどもせずに差し込みとして使っている。これには驚いた」と話す。

シェアされるのは広告ではなくブランドデザインやシンプルな素材

バナーが上手ければエンゲージは変わると思いますが、そもそも広告にしないほうが圧倒的にリアクションが来ます。広告とバレた瞬間に、いいねやリツイート、シェアはされなくなるのです(ウジ氏)

バナーを作る際は、多くの写真や文字をコラージュしてレイアウトするよりも、写真は単体で使い、文字要素はスタイルシートに任せて作ったほうが、効率も印象もいいという。つまり、素材をバラして使うということだ。その都度、背景画像を探したりタイトルを組んだりするよりも、デザインシステム的に全部バラして投稿したほうが、SNS的にはエンゲージが上がりやすいという。

がんばってレイアウトするのではなく、素材はバラしてシンプルに使う

加えて、「広告はシェアされにくい、ブランドデザインはシェアされやすい」と話し、「ブランドデザインに力を入れた方が絶対シェアされる。圧倒的に数字が違う」と、力を入れるべきところを従来から変えた方がいいのだと紹介した。

シンプルで包括的な、システム化されたデザインを

最後にまとめると、ポイントは3つ。

  • デザインやロゴの「単純化」
  • コミュニケーション活動における「統合・包括」
  • 生産性を向上し、持続可能にする「システム化」

1つ目は「単純化」。ロゴはデジタル社会に合わせてデザインをリファインし、シンプルにすることで、ユーザーがシェアしやすいものに手を加えていくことが重要だ。シンプルだからこそ目立つ。ところが日本企業は凝ったデザインにしがちな傾向があり、それが利用頻度を下げ、販促費を跳ね上げる要因にもなっているという。

2つ目は「統合・包括(インクルーシブ)」。ビジネス自体に統合の流れがある中で、1つ1つが異なっていても全体として同じようにイメージができるよう、なるべくデザインをインクルーシブにした方がシェアに繋がる。コミュニケーションのコストを下げながらブランド力をあげるためには、手作業にかける時間ではなく、長期的な戦略が重要だ。

そして3つ目は「システム化」。ビジネスの成長を見据え、システムでデザインを考えること。デザインを頑張ってもシェアが2倍になるわけではない。そこに時間を使うくらいならば、シンプルな画像とテキストにした方が効率が良い。レイアウトに手を掛けるよりもシステム化に注力するとスピードも生産性もあがるとまとめた。

SNSでシェアされるための3つのポイント

再度、広告チックにするのではなくオーガニックに見える投稿をすることでシェアがされやすくなることを強調し、「苦労せず、時間も掛けず、効率よく、かつオシャレにビジュアルマーケティングをするとエンゲージがあがり、シェアもたくさんされると思います」と締めくくった。

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