【レポート】Web担当者Forumミーティング 2022 秋

BtoB企業の必須施策「メールマーケティング」明日から実践できる6つのTipsとは

BtoB企業の必須施策「メルマガ」。戦略的なメールマーケティングの基礎知識から、効果測定の手法、成果に繋がる6つのTipsを解説する。
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デジタルマーケティング施策の中でもベーシック、かつ多くのBtoB企業が実施している「メルマガ」。一方で、工数の割に成果が得られないという課題を持つ企業もいるのではないだろうか。

Web担当者Forumミーティング 2022 秋」に登壇したSATORIの小畑氏は、戦略的にメールマーケティングを行うポイントや効果測定の手法など、成果につながる6つのTipsを紹介した。

SATORI株式会社 小畑 理加湖 氏
SATORI株式会社 マーケティング部 マーケティングプロモーショングループ 小畑 理加湖 氏

メールはオンライン上で継続的に顧客とコミュニケーションを取れる最適な手段の1つ

小畑氏は「メールを使ったコミュニケーションの手段は1つだけではない」と語り、代表的なメール施策を4つ紹介した。

代表的な4つのメール施策

①メールマガジン
企業が顧客や会員に対して、一斉配信するメール施策。ブログなどのお役立ちコンテンツやクーポンなどのお得な情報、新着アップデートなど多岐にわたる内容で、最もスタンダードな施策だ。

②ステップメール
「セミナー申し込みページを見たけど申し込まずに離脱した」など、見込み顧客の行動を起点にあらかじめ準備をしていた複数のメールを段階的に配信する施策のことだ。見込み顧客の育成や、顧客フォローなどに有効だという。

③ターゲティングメール
通常の一斉配信とは異なり、見込み顧客を属性などで絞り込み、その属性に合ったコンテンツを配信する施策だ。属性に合わせたコンテンツを提供するため、よりメールの反響がよくなる傾向がある。

④リターゲティングメール
メールの開封履歴やWeb上の行動をもとに見込み顧客がどういった情報を欲しているのか理解し、見込み顧客の興味関心に応じた内容をメール内のコンテンツとして配信するもの。顧客行動の活性化につながりやすい特徴がある。

メールによる顧客とのコミュニケーション手段は主に4つある
メールによる顧客とのコミュニケーション手段は主に4つある

メール施策は非対面による検討段階で効果を発揮する

小畑氏は「SATORIは数多くの施策を実施する中でメルマガ施策にも力を入れている」と話す。その理由は、営業プロセスの変化にある。「コロナ禍以前は、展示会やテレアポなど、担当者に会うことで商談、受注につなげていたものが、現在は非対面チャネルが中心になっている」と小畑氏は指摘する。すなわち、担当者に会うときは見込み顧客の中で、検討は終わっていることが多く「検討段階で選ばれなければ提案機会がない」ことが背景にある。

非対面チャネルの検討段階で選定されなければ、セールスの提案機会が失われる
非対面チャネルの検討段階で選定されなければ、セールスの提案機会が失われる

この点、メール配信には「顧客接点の維持」「休眠顧客の発掘」「顧客の育成」といった点でメリットがあり、オンライン上で継続的に顧客とコミュニケーションを取る最適な手段の1つだと小畑氏は評価した。

SATORIではどんなメールを配信しているのか

SATORIでは、集客、認知、育成、商談、成約といった一連のプロセスに応じてメールの配信内容を変えており、「マーケティング部では、認知・育成を目的としたメールマガジンと、育成・商談を目的としたステップメールを主に配信している」と説明した。

SATORIにおけるメール施策の位置づけ
SATORIにおけるメール施策の位置づけ

たとえば、週1回程度配信される「お役立ちコンテンツメール」は、ブログやセミナーの内容、マーケティングに関する課題や新しい情報など、顧客にとって有益なコンテンツを定期的に配信している。

わかりやすい言葉づかいや専門用語を多用しないことなど、読者に寄り添うコンテンツを提供するよう意識している(小畑氏)

また、開催日の2~3週間前や開催日直前に配信される「セミナー集客メール」は、セミナー情報のランディングページにプラスして集客メールを送ることで、セミナー参加のきっかけを作り、検討確度の上昇やセミナー後フォローによる商談化につなげていくことが目的だ。「メインコンテンツが複数あると関心が分散し、何を伝えたいかわからなくなるので1つに絞っている」と小畑氏は説明する。

メール施策の成否を測る4つの指標

メール施策の成否を判断する指標は主に以下の4つとなる。

  1. 開封率/数
  2. クリック率/数
  3. コンバージョン率/数
  4. オプトアウト(拒否)率/数

数と率については、配信数によって変動があるため率を重視している(小畑氏)

なお、SATORIのCV獲得効率が最も高いメールコンテンツは「資料」で、開封率・クリック率ともに高く、興味喚起を起こしやすいのは「動画」コンテンツだという。

曜日別では、火曜日と木曜日が開封率、クリック率ともに高い傾向にあるが、「コンテンツによっても変わってくるため、たとえば、セミナー情報は水曜日の配信がよい、資料や事例は午前に配信すると成果が高い」など、指標を見ながら配信日時をある程度、固定するのも1つの方法だという。

効果的なメール作成、配信のために覚えておきたい6つのTips

続いて、小畑氏は、効果的なメルマガ作成のポイントについて紹介した。

効果的なメルマガ作成Tips①件名

まずは「件名」だ。小畑氏は、「文字数は30文字程度に抑え、大事なこと・伝えたいことは件名の前方に配置する、【 】や< >などの記号で強調すること」などを挙げ、「4Uの原則」、すなわち、メールのタイトルには「Urgent(緊急性)」「Unique(ユニークさ)」「Ultra specific(超具体的)」「Useful(有益性)」のキーワードを含むよう意識するとよいと話した。

そのうえで、「常にすべてのUを含めなければならないものではない」ことや、「件名は必要以上に煽らないこと、たくさんのメールに埋もれないように凡庸なものにしないこと」が大事だとした。

開封したいと思わせる件名のポイント
開封したいと思わせる件名のポイント

効果的なメルマガ作成Tips②画像クリエイティブ

続いてのポイントは「画像クリエイティブ」だ。

画像がなくてもメルマガは成立するが、視覚的に情報をインプットすることは、読者のアクションを促すためにも有効(小畑氏)

たとえば、ダウンロード資料の中身や、ブログ記事のサマリなど「おススメしたいコンテンツがどんな中身なのかわかるような素材を入れ込む」のがよいということだ。

効果的なメルマガ作成Tips③キャラクター設定

そして、メール送信者の「キャラクター設定」もポイントとなる。「機械的な送信者名でなく、実在する人物を設定することでメルマガが親しみやすくなる」効果があるからだ。配信メールに応じて複数の送信者を設定してもよい。「それぞれにペルソナを設定しておけば、配信担当者の誰が作っても一定のテイストが期待できる」と小畑氏は説明した。

送信者を設定するのもメルマガ作成のコツの1つだ
送信者を設定するのもメルマガ作成のコツの1つだ

効果的なメルマガ作成Tips④メール形式

「メール形式」もポイントの1つだ。視覚的な訴えがしやすいのはHTML形式だが、受信環境によっては画像が表示されない場合もある。一方、記号装飾のみのテキストメールは、装飾の幅は狭まるが、メールの容量も軽く、どの環境でも閲覧できるメリットがある。それぞれの長所、短所を理解して配信方法を選択してほしいと小畑氏は話した。

効果的なメルマガ作成Tips⑤配信方法

そして、「配信方法」については、手動配信の他に「メール配信ツール」や「マーケティングオートメーション(MA)ツール」の利用が考えられる。

小畑氏は「手動配信は自身のメールソフトで配信するため費用がかからない反面、配信ミスや情報漏えいなどのリスクがある」としてツールの活用を推奨する。特に、MAツールは、メール配信以外のマーケティング機能(LPやフォームの作成、分析機能など)を備えており、「用途に応じてメール配信ツールやMAツールの活用を検討するのがよい」とした。

手動配信はコスト面で有利だが、安全性・効率も考慮するとツール導入のメリットは大きい
手動配信はコスト面で有利だが、安全性・効率も考慮するとツール導入のメリットは大きい

効果的なメルマガ作成Tips⑥法令の遵守

最後のポイントは法令の遵守だ。メール配信を行ううえでは「特定電子メール法」「個人情報保護法」といった法律を理解し、抵触しないように配慮する必要がある。特に、顧客情報を預かったうえで配信するメールマガジン施策は、個人情報の取扱には十分注意する必要がある。

成果を出すには定期的な分析、改善が重要

そして、メールは送信して終わりではなく、定期的に配信結果をまとめて分析・比較を行うことが大事だ。小畑氏は、「1か月から3か月間隔で平均を出し、推移をみるのがよい」と話す。

たとえば、開封率が伸び悩んでいるのであればメールの件名を改善しようとか、開封率は高まったが、クリック率をもう少し伸ばしたいのであればクリエイティブを変えてみるなどの改善を行っていくのだ。

定期的に配信結果を分析・比較し、改善点を見つけていく
定期的に配信結果を分析・比較し、改善点を見つけていく

継続するためにはチームのフィードバックや他社メールも参考に

とはいえ、運用を続けていくと、メール担当者として壁にぶつかることもある。そういうときは、1人で考え込まずに「チームや他部署の人からフィードバックもらうと新しいアイデアや企画が出てくることもある」と小畑氏は話す。

あるいは、会社にある情報をちょっとずつ発信する、「ツールの使い方ご紹介・アップデート情報・イベントに出展します!」などお知らせとして発信できるものは積極的に使うのも1つの方法だ。

そして、自社のメールコンテンツだけではなく、他社のメールを見ることも大切だということだ。コンテンツの見せ方や装飾、サムネイルのデザインまで、得られる情報はたくさんあるため、よいものは積極的に参考にしていくといいだろう。

意外にも、見込み顧客が配信者のことを覚えてくれていて、よい関係性が構築できるケースもある。展示会やセミナーなどで配信者を記憶しての来訪してくれたケースもあったと小畑氏は述べ、「まずはメルマガ施策からはじめてみてほしい」と呼びかけた。

配信から成果分析まで可能なMAツールの強み

講演内容の総括として、小畑氏は、メールマーケティングは「オンライン上で顧客とコミュニケーションを取るために、最適な手段の1つだ」とした。コンテンツがなくても、まずはサービスについてのお知らせからでもよいので、小さなことからはじめてみることや、メールのクオリティを上げるには、チーム内のフィードバックを受けたり、他社のメルマガをチェックしたりしてみることが重要だ。

そして、メールマーケティングの成果を上げるには、成果分析をして改善していくことだ。そのために「メール配信ツールやMAツールの導入も視野に入れてみてほしい」と締めくくった。

特に、MAツールについて小畑氏は「弊社では、自社ツール『SATORI』を活用している」とし、「オンラインとオフラインの行動を一元管理し、見込み顧客の状況を把握できる」と説明した。メルマガ運用を効率化する機能や、フォーム・LP作成機能も標準で備えており、専門知識は不要で直感的に編集を行うことができる。

小畑氏は「SATORI」をはじめ、MAツールを有効活用しながら、マーケティング業務を効率化しつつ、さらなる成果を目指して新しい施策にチャレンジしてほしいとエールを送った。

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