【レポート】Web担当者Forumミーティング 2022 秋

仏教の教えから学ぶ、上司と部下の円滑なコミュニケーション術

会社では上司と部下の関係性の悩みは尽きない。その解決のヒントとなる、仏教の「利他(他者に良い行いをする)」という教えについて、会社の代表と僧侶を兼務する河村英昌氏が語った。

会社で仕事をする上での悩みの一つとして、上司と部下のコミュニケーションが挙げられる。「Web担当者Forum ミーティング2022 秋 」では、この悩みを解決するヒントとなる、仏教をテーマとした講演が行われた。

同講演には、株式会社神社仏閣オンライン 代表取締役社長・浄土宗大光寺副住職の河村英昌氏が登壇。仏教の教えを上司と部下の関係性構築に活かす考え方について紹介した。なお、仏教については河村氏の独自解釈をベースとしている。

株式会社神社仏閣オンライン代表取締役社長・浄土宗大光寺副住職 河村英昌氏

キーワードは「自利利他円満」

河村氏によると、仏教とは「何が起きても悩まない考え方や価値観を得る=悟り」のためのメソッドを2500年もの間、存続させてきたものだ。そのような仏教の言葉を用いて、上司と部下のコミュニケーションのヒントを解説した。

まずは、キーワードとなる用語の説明をした。最初に取り上げた用語は「利他(りた)」。読んで字のごとく、「他に対して利を与える。自分自身以外の者に対して良い行いをする」という言葉だ。

自身と他者の幸せが循環する「自利利他円満」

利他は、『自利利他円満(じりりたえんまん)』という言葉に表されています。自利は自分の幸せ。利他は他人の幸せ。自利が他人の幸せにつながり、他人の幸せが自分の幸せにつながることを通して、自利と利他が循環することで円満な関係性になるという言葉です(河村氏)

次に取り上げたのは、恐怖や不安から解放された世界を示す言葉「安心(あんじん)」。この言葉から河村氏が作った造語「安心(あんじん)組織」を作る、ということをテーマに、話はスタートした。

利他を実践するためのヒントは「菩薩行」

利他を実践するためには、どのような行動をしたら良いのか。そのヒントとして河村氏が取り上げたのは「菩薩行」だ。菩薩とは、人々が悩みをなくすためのサポートをする仏様。その在り方が、上司と部下の関係にも当てはまるという。

上司は部下がどのようにすれば今後キャリアを進めていけるのかと考えながらサポートされると思いますし、部下も上司のために仕事をサポートしていくことを考えると、どちらから見ても菩薩という関係性に当たります(河村氏)

菩薩が人を導く時の行いには以下の4つがある。

  • 布施(ふせ):精神的にも物質的にも分け与える
  • 愛語(あいご):愛情豊かな言葉をかける
  • 利行(りぎょう):見返りを求めない利他の行い
  • 同事(どうじ):相手と同じ心・境遇になり行動する

河村氏はこの内、利他を実践する具体例として「同事」を挙げた。 

上司・部下関係の悩みを「同事」の行いで手放すには?

次に河村氏は、上司と部下の関係性における具体的な悩みに対して、「同事」の行いをどのように活かすかについて、3つのケースを挙げて紹介した。

上司と部下の関係においてよく聞かれる悩みとして、3つのケースが挙げられた

ケース ①テレワークで相手の姿が見えなくて不安

まず一つ目に挙げられたのが、テレワークにおける次のような悩みだ。

上司側
  • 部下が仕事をしているのかわからない
  • 部下の様子を直接見ていないので、仕事内容がズレているかもしれない
  • なんとなく心配
部下側
  • 仕事の評価をしてもらえているのかわからない
  • 忙しいかどうかがわからず、情報共有や相談がしづらい
  • 直接会っていないので本音がわからない

その中で河村氏が解決策として提示したのは、「情報共有のルールを作る」「相手の立場になる」ということに加え、「こだわり続けずに手放す」ことだ。 

テレワークの不安にはまず、相手の立場に立って考えてみる

正直、相手のことを100%わかるというのはほぼ無理です。もう全くわからないといった場合には、手放してしまうのも一つです(河村氏)

また、感情表現など、すべてを言葉で伝えることは難しいため、「絵文字など言葉以外の要素を使う」「適度に電話を入れる」といったことも提案した。

ケース ②世代間で価値観が違う

続いて、世代間の価値観の違いによって生まれた悩みについても、まずは相手の立場に立って考えることを大切にしながら、最終的には「あくまで人は人、自分は自分」だと河村氏は話す。

世代間の価値観の違いも、まずは相手の立場に立つことから始める

『ギャップを埋めなければならない』『自分が寄っていかないと』と思っていると、かなり辛くなってしまいます。ある程度やれるところまでやったら、もう離れてしまうのが一番いい。ただ、完全に離れるわけではなく、傾聴だけは引き続きしていただきたいです(河村氏)

相手のことが理解できなくとも、話を聞くだけでも相手の態度が変わることもあるそうだ。また、「傾聴」については、上司から部下に対してだけでなく、部下から上司に対して「なぜそのようなことをするのか」と思った時にも意識すると良いという。

話を聞くことで、『そういう背景があるから、こういう考えになっているのかな』と捉えられる時もあるのではないかと思います(河村氏)

ケース ③職種が異なると相手の事情が理解しづらい

職種が異なることで、たとえばマーケティング用語のような専門用語が伝わらない、上司が部下に対して評価がしづらいといった悩みも生じる。それに対して河村氏は、わからない言葉があるなら「Googleで検索しながら読む」、伝える側も「言い換えの言葉を持っておく」といった代替案を提案した。

職種が異なる場合は、互いに歩み寄る

上司の立場からなら多少弱さを見せて『わからなかったよ』と伝える、部下の立場からなら多少手間になる部分を許すなど、相手の立場になって互いに歩み寄ることが大切です(河村氏)

相手のために行う「利他」は必ず返ってくる

河村氏は、上司・部下関係の悩み対策のまとめとして、まず「同事=相手の立場になる」ことを挙げながらも「100%相手を理解することはできない」として、「傾聴」の重要性を説いた。

相手に寄り添うことは自分自身を変えることでもあります。自分を変えることは、非常にストレスがかかるので、難しい部分に関しては手放しましょう。その上で、傾聴だけは続けていただきたい(河村氏)

相手を完璧に理解することは難しいが、傾聴は続ける。傾聴も利他の一つ

また、相手に良い行いをする「利他」は、「自利利他円満」という言葉で表されるように、必ずいつか自分に返ってくると語った。

不思議なことですが、たとえばある人の相談に乗って『朗らかな顔で帰っていただけたかな』と思えたその数日後くらいに、私にとってありがたいお話が来るなど、他者に良いことができたなと思った後、回り回って自分に良いことがあったなと思うことがあります。自利利他円満でつながっているのかなと思う瞬間です。ビジネスにおいて、上司と部下は一番身近な方です。その空間をこの自利利他円満で満たしていき、傾聴などを実現していただければと思っています。でも、辛くなった時は手放すことも大事です(河村氏)

さらに、利他によって「安心(あんじん)組織を作る」についても触れ、「今日の話がみなさんのお役に立てれば」とまとめた。

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