HCD-Net通信
「人間中心設計 (HCD)」を効果的に導入できるよう、公の立場で研究や人材育成などの社会活動を行っていくNPO「人間中心設計推進機構(HCD-Net)」から、HCDやHCD-Netに関連する話題をお送りしていきます。
HCD-Net通信

「UXデザインの専門家として自信を持ってもらいたい」ネットイヤーグループが行う資格取得支援とは?

HCD-Net認定人間中心設計専門家へのインタビュー。ネットイヤーグループに、UXデザインにまつわる社内啓発の取り組みについて話を伺った。

デジタルを活用したマーケティング支援を行うネットイヤーグループは、デザイン人材育成のために「HCD-Net認定 人間中心設計HCDスペシャリスト」と「HCD-Net認定 人間中心設計専門家」の取得支援を開始した。一体どんな支援なのだろうか?

UXデザインにまつわる社内啓発の取り組みについて、同社のUXデザイナーであり、HCD-Net認定資格を持つ小山氏、徳田氏、仙崎氏に話を伺った。

ネットイヤーグループ株式会社 UXデザイナー
(左から)HCD-Net認定 人間中心設計専門家 小山美加氏、HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト 徳田彩氏、HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト 仙崎萌絵氏

有志ではじめた情報交換の場が、社内での大きな流れに

――ネットイヤーグループでは、UXデザインに関わる資格である「HCD-Net認定 人間中心設計HCDスペシャリスト」と「HCD-Net認定 人間中心設計専門家」の取得支援(NGC Re:STARTプロジェクト)を行っていると伺いました。その背景を教えてください。

徳田: ネットイヤーグループは、デジタルを活用したマーケティング支援などを行っている会社で、Webサイトやアプリ開発などを中心に企業のDX化を進めています。その一環で、UXワークショップなどクライアントさまに提供することもあります。2030年の弊社のあるべき姿として「誰しもが価値あるモノ・コトづくりができる私たちになる」をミッションに掲げました。

「価値あるモノ・コト」を提供するには、「デザイン思考」でユーザーに本気で向き合う必要があります。デザイン思考とは、ユーザーが根本に求めるものを探り、課題を抽出し、ユーザーにとって価値あるものを作り上げるためのビジネススキルであり、デザイン思考を持ち、その体験を設計する人材こそがUX デザイナーです。

創業から UX デザインの実践とそのナレッジを蓄積してきた弊社ですが、UX人材をさらに育成していくためにHCD-Netの資格取得を支援して行くことが決まり、2022年4月から始まりました。社内のメンバーには、UXデザインのスキルがあるのに業務に活かせていなかったり、現状の職能として必要ないと切り捨てていたりすることもありました。スキルがあることを自分でも納得し、自信をつけてもらいたい。そのために外部から認定を受けてもらおうと考えました。

小山: これまでもネットイヤーグループでは、どのような職能のメンバーに対しても入社時に、UXデザインプロセスを体感するためのワークショップを行っていました。またUXデザインに関して相談できる場として、「UXよろず相談室」という有志による活動もありました。

――資格取得支援とは、具体的にどのような活動でしょうか?

小山: 活動は主に3つ。1つ目は、UXデザインに興味がある人が集まる場の提供です。ここには営業からエンジニア、新卒、ベテランまで、職種も社歴もさまざまな社員が40人ほど参加し、情報交換できます。2つ目は、未経験のメンバーでもプロジェクトのサポートに入ってもらい、ユーザーテストを一緒にやってみるといった体験しながら学ぶ機会の提供です。3つ目は、UXデザインのスキルを一緒に棚卸しする活動です。HCD-Netの公式で公開されているHCD専門資格コンピタンスマップを使って、どこが不足しているのかを確認しています。資格支援での名前での活動にはなっていますが、その先に「自分がどうありたいか、どうなりたいか」といったモチベーションを持って、理想のキャリアにたどり着けるようにサポートすることを目的としています。

徳田: HCD専門家資格は更新が必要ですし、維持していくために活動を続けていく必要があります。そのモチベーションを保つためにも、「自分がどうなりたいか」を考えるのが重要だと思います。また興味がある人が集まる場では、UXデザインについて解説しています。それに対して質問を集め、FAQシートを作成し、いつでも見られる状態にするなどの活動もしています。

ボトムアップで社内啓発を続けていくモチベーション

――かなり組織的に動かれてますね。皆さんが担当されているプロジェクトにも、サポートとして入られている方がいるんですか?

仙崎: 同じチームのアシスタントUXデザイナーの方がいるため、UXデザインのプロセスを体感してもらうために、プロジェクトに関わってもらっています。

小山: 弊社はクライアントワークの会社なので、プロジェクトメンバーとして教育的なアサインを行うことはコスト面で慎重になります。そのため別のプロジェクトとして予算を取り、組織力の強化という長期的な目線で参画してもらえるような仕組みが必要だと思っています。

――みなさん普段はUXデザイナーとして、お客さまのサービスの未来のあるべき姿やサービス設計、インターフェースから実装時のディレクションなどをお仕事にされているということですが、クライアントワークに加えてHCDの社内啓発や経営の方々と話をし予算を取ってくる活動を行うのは、すごく力がいることだと思います。お三方の活動のモチベーションはどこからくるのでしょうか?

徳田: 一緒に働いている会社の人たちが、私にとってのユーザーだと思ってます。「彼ら・彼女らがどうなったらいいのか」「どういう風になりたいのか」を考えるのが私にとってのモチベーションですね。

仙崎: 同じ視点で話せる人が、もっと増えたらいいなと思っています。UXデザインの共通認識を持つことで、より良いユーザー体験について対話ができるようになるためです。またクライアントにもユーザーにも向き合えることで、より良いプロダクトが生まれ、社会の課題解決につながっていくと思います。

小山: 様々な業界のお客さま・ユーザーと関われることが、モチベーションの源泉だと思います。ネットイヤーグループの社員がUXデザインのマインドを持ってスキルを発揮していくことができれば、様々なプロジェクトを通じて価値を提供していくことができますし、その先にいるエンドユーザーへ還元していくことができると考えています。

認定資格によってこれまでの経験を裏付けし、自信を持ってふるまう

――皆さんが「HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト」や「HCD-Net認定 人間中心設計専門家」を取るに至った背景をそれぞれ教えていただけますか?

小山: 私の最初のキャリアはWebディレクターでした。画面設計やUI作成に携わるなかで、私が考えた画面がきちんと意味があって効果があるものか、自信を持って言えないところがありました。医療系のサイトを作ったとき、「これは人命にかかわる活動なのに、ユーザー不在のまま、私やプロジェクトメンバーのみの経験知を判断軸として作って良いのだろうか」と、すごく不安に感じたことがありました。その後UXデザインという考え方に出会い、学びや経験を元としてHCD-Netの資格を取ることで、プロフェッショナルとしての裏付けや自信を持てるのではないかと思い資格取得に至りました。

徳田: 「HCD-Net認定 人間中心設計専門家」を知ったのは、10年ぐらい前です。当時、所属していた会社の同僚が「人間中心設計という資格をいつか取りたいんだよね」と言ってたのを何となく、ずっと覚えてたんです。ネットイヤーグループに入社し、人間中心設計専門家に出会い、UXデザインの本質は「作ったものが人間中心のサイクルに則って作られているかを評価するためにある」と知りました。そのときに、自分がそれまでUXデザインだと思ってやってきたことはUXデザインではなかったんだなと痛感しました。

仙崎: 前職ではWebデザイナーでしたが、ビジュアルやコンテンツがその先のユーザーに届いているのかをわからないまま制作に携わっていました。前職の上司が教えてくれた1冊の本をきっかけに、「UXデザイナー」という職種に出会い、ユーザーの体験をデザインする仕事がしたいと考えるようになりました。弊社に入社後に活躍しているUXデザイナーが、人間中心設計専門家を保持しており、同じように社内・社外で活躍するための一つの足掛かりとして、3年ほどの実務を経験したのち取得しました。

――資格取得前後で、変化があれば教えていただけますか?

仙崎: 資格取得のために、自分のスキルの棚卸しをしことで、自分に足りないコンピタンスを可視化することができました。たとえば定性的な調査は案件で取り組んできましたが、定量的リサーチを分析し、ユーザーを捉えるところはやっていなかったんです。そこで自分の目標設定時に、次のチャレンジとして実際に組み込み、意識的に動いてます。また、資格取得したことで今まで以上にクライアントと対話をする際に、ユーザー視点でのものづくりの大切さについて伝えていく気持ちが高まったと思います。

徳田: HCD専門資格コンピタンスマップの流れは、いわゆるリサーチをするところから評価までのサイクルが流れになっています。案件をコンピタンス通りに進めるとわかりやすいですよね。目の前の作業に集中しちゃうと、「何のためにその作業をやっているのか」と目的を忘れがちになりますが、コンピタンスの流れが頭に入ることで、企画を立てやすくなりました。

小山: 自信を持って発言したり仕切れるようになったりしたことが大きいです。きちんとバックグラウンドがあってUXデザインの専門家として認められていることが、社内的にも社外的にも示せる。「専門家が言うなら見直してみよう」「ユーザーの声を聞いてみよう」という流れをお客さまに納得してもらえるようになったのが、すごく良かったです。

――これから受験される方たちに伝えたいことがあれば、一言アドバイスをお願いします。

仙崎: 受験するまでは、限られた人しか受けられない資格というイメージがありました。実際、取得できるまでは時間もかかるとは思います。まずは自分がどういう状態に置かれているのか、説明会に参加したりコンピタンスの棚卸しをしたりすることでわかります。少しでも興味があれば、資格の入り口に踏み込んでみることが最初の一歩として大事です。

小山: 「人間中心設計スペシャリスト」「人間中心設計専門家」は誰にでも開かれている資格で、UXデザイナー以外の職種の方々も取得できます。私はスペシャリストを取得したときWebディレクターだったので「自分は違うかも」とこだわらずに、まずは取り組んで力をつけていくのが良いと思っています。

徳田: プロダクトの制約からものを作るのではなくて、ユーザーの抱えてる課題から作ることが大事だと思うんですよね。ユーザーを置き去りにしない考え方を自分が体現出来ているかどうか、「人間中心設計スペシャリスト」「人間中心設計専門家」を受験するなかで確かめることができると思います。

――ありがとうございました!

人間中心設計専門家・スペシャリスト認定試験が開催されます

あなたも「人間中心設計専門家」「人間中心設計スペシャリスト」にチャレンジしてみませんか?

人間中心設計推進機構(HCD-Net)の「人間中心設計専門家」「人間中心設計スペシャリスト」は、これまで約1600人が認定をされています。ユーザーエクスペリエンス(UX)や人間中心設計、サービスデザイン、デザイン思考にかかわる資格です。

人間中心設計(HCD)専門家・スペシャリスト 資格認定制度
  • 受験申込:2022年11月15日(火)~12月6日(火)16:59締切
  • 主催: 特定非営利活動法人 人間中心設計機構(HCD-Net)
  • 応募要領: https://www.hcdnet.org/certified/
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