地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?

Webコンテンツを一生懸命作っても、お問い合わせにつながらない理由

コンテンツを作っているのに成果が出ない…。コンテンツのゴールをしっかり設定していますか? カスタマージャーニーマップに立ち返って、お客様に届くコンテンツを作る方法を確認しましょう。

みなさん、こんにちは。株式会社アクシスの瀬川です。

この連載「地方の小さなB2B企業がウェブを使って成果を出す鍵とは?」では、私たちの事例をもとに地方の中小企業がウェブで成果を出すためのヒントをお伝えしています。

第5回となる今回のテーマは「Web集客を伸ばすコンテンツ作り」です。

Web集客では、よく「コンテンツが重要」と言われます。一方でWeb担当者さんとお話しすると、よくこんな声を耳にします。

「ブログ記事を書いているけど、思ったような成果が出ていない…」
「いろいろとコンテンツを作りたいが、そこまで時間がかけられないよ…」

このように、「一生懸命コンテンツを作っていても、どこか手応えを感じない」とお困りの企業さまはよくみえます。

また、Web担当者さんは、たいてい多忙です。社内向けの報告や部内ミーティング、他部署との調整などで時間がかかり、コンテンツ作成に多く時間が割けない方も多いでしょう。

実際にアクシスのWeb担当者である私も、ほぼ1人で業務を担っており、同じような悩みを感じていました。「もっと時間があれば、もっと良いコンテンツを作れるのに」と思ったことも数知れずです。

とはいえ、そういった環境であっても結果は出さないといけません。そこで私自身の経験から、今回は、「ブログ記事」を例に、成果を出すコンテンツの考え方と作ったコンテンツを有効活用する方法を紹介します。

コンテンツ作りに悩むWeb担当者さんは、ぜひご覧ください。

アクセスはあるけど集客につながっていない理由

「Webサイトにアクセスはあるけど、全然お問い合わせにつながらない…」その悩みの原因は、コンテンツがお客様とミスマッチしているからかもしれません。

実際、私たちにも似たようなことがありました。それは私が着任直後、Webサイトの分析をしていたときのこと。Googleアナリティクスの結果を見ると、自然検索からの流入はある程度ありましたが、アクセスの割にほとんどお問い合わせにつながっていない状態でした。そこで、どのページがアクセスを集めているのか調べていくと、「Webサイトとホームページの違い」という記事だとわかりました。

アクセスが集中していた記事

この記事は当時、月間で数千単位のアクセスがありました。しかし、この記事にアクセスしている人は「ウェブサイトとホームページの違い」を知りたいのです。あくまで「言葉の意味」を知りたいのであって、ホームページ制作に悩んでいるわけではありません。この記事でどれだけアクセスを集めても、お問い合わせにつながらないのは当然です。

ただアクセスを集めても、成果につながらない

このように目的を間違えてしまうケースは非常に多くあります。たとえば、以下のようなケースです。

  • 更新することが目的になってしまい、当たり障りのない内容が薄い記事を上げてしまう
  • とにかくアクセスを集めるために、バズりそうなネタを選んでしまう

もちろん記事を投稿すること自体は重要です。しかし、目的をもって正しくアクセスを集めなければ、どれだけエネルギーを注いでも満足する手応えは得られないのです。

成果を出すコンテンツ設計方法

では、成果を出すためにはどのようにコンテンツを設計していけば良いのでしょうか。ここで重要なのが、CV(コンバージョン)地点にあったコンテンツを考えることです。

CVしてもらうためには、CV地点まで導く適切なコンテンツが必要不可欠です。そのためには、ポイントが2つあります。

  • コンテンツのゴールを確認
  • ゴールから逆算して、コンテンツのテーマを設定する

以上のポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。

コンテンツのゴールを確認

コンテンツのゴールを確認するためには、カスタマージャーニーマップを活用します。

第3回の再掲:カスタマージャーニーマップ

まずは、それぞれのステージにおけるコンテンツのゴールを見ていきましょう。たとえば、「認知」のステージにおけるコンテンツの目的は、自分たちの存在を知ってもらうこと。情報が溢れる昨今、まずはお客様に私たちの存在を知ってもらわなければ、商談になりませんし、そもそもお問い合わせにも至らないでしょう。

上記のカスタマージャーニーマップで言えば、「Web集客を改善する方法のうち、コンサルを入れることも手である」とお客様に気づいてもらうことが目的です。気づいてもらうためには、お客様が普段から感じているお悩みや疑問を解消するようなコンテンツを作り、そのコンテンツをきっかけとして接点を作っていくと良さそうです。

また、「興味」のステージにおけるコンテンツの目的は、自分たちのサービスに興味を持ち、詳しく話を聞きたいと思ってもらうこと。お客様の中で「この会社のサービスを導入したら、課題が解決できそう」との認識が生まれてはじめて、商談へと進みます。

上記のカスタマージャーニーマップで言えば、「外部コンサルを入れることがWeb集客改善に必要だと気づいてもらう」ことが目的です。そのためには、お客様事例などの記事を使って、自分ごとに感じてもらうと良いでしょう。

さらに「比較検討」のステージにおけるコンテンツの目的は、お客様に他社との違いを知ってもらい、自社を採用するメリットをきちんと伝えること。特にB2Bの取引においては、合理的な意思決定が求められます。「なんとなくこっちの方が良い」と決められることはありません。むしろさまざまな観点から、どの商品サービスがもっとも適しているかをお客様は検討します。

上記のカスタマージャーニーマップで言えば、「他社との違いを認識していただき、味方につける」ことです。比較検討のステージにおけるコンテンツでは、他社との違いや自社の商品サービスの特長をきちんと見せることが重要です。

このようにカスタマージャーニーマップからきちんとゴールを把握することから始めましょう。

ゴールから逆算して、コンテンツのテーマを設定する

ステージごとのゴールが確認できたら、そのゴールを達成するためには、どういったテーマのコンテンツが必要か考えていきます。

コンテンツを考える上では、横にカスタマージャーニーにおけるステージ、縦にそれぞれのコンテンツの種類を書いたマトリクスを作って整理していくと便利です。

コンテンツを考えるマトリクスの例

今回は私たちアクシスで作った事例を踏まえて、ブログ記事を例に「認知」「興味」「比較検討」の段階を考えてみましょう。

「認知」段階は情報提供系のテーマがおすすめ

「認知」段階の記事では、接点を作るために情報提供系の記事テーマがおすすめです。検索者の「知りたい」という欲求を満たす記事を作ると良いでしょう。

たとえば、私たちアクシスは、事業会社のWeb担当者さんがよく悩まれている「Googleアナリティクス」を切り口にしました。「Googleアナリティクスとは?」「Googleアナリティクスの基本」といったテーマです。

こういったキーワード記事は、比較的検索数が多く、アクセスも集まりやすいのです。

「興味」段階は商品サービスに関連したテーマがおすすめ

次に、「興味」の段階では、認知よりも少し踏み込んで、商品サービスに関連した記事テーマが良いでしょう。

私たちアクシスではWebコンサルをしており、Webサイトのアクセス解析を支援しています。そこで、アクセス解析でどういったことがわかるかを知ってもらうため、「Web集客の改善につながるアクセス解析の方法」をテーマにした記事を作成しました。

「比較検討」段階は、比較検討系や実際の事例紹介のテーマがおすすめ

最後の「比較検討」段階では、比較検討系や実際の事例を紹介すると良いでしょう。

私たちアクシスでは、アクセス解析の支援を受けたお客様にインタビューして事例紹介の記事を作成しました。実際にサービスを受けた感想や成果をお客様の口から語っていただくことで、「ここに頼めばきちんとやってくれそうだ」とお客様に感じてもらえるようにしました。

このように、ステージごとで必要なコンテンツは変わります。よって、コンテンツを作る際は、今自分たちがどのステージにいるお客様をターゲットにしているかを忘れないことが重要です。

この視点を忘れてしまうと、「頑張っているけど思ったような成果が出ない」なんてことになりかねません。たとえば、アクセスが集まりやすいけど、商談にはすぐ結びつかない認知寄りのコンテンツばかり作ってしまうなどです。成果を出すためにも、常に、何の目的でこのコンテンツを作っているか意識することをお忘れなく。

コンテンツを有効活用する

ここまで読み進めてくださった方の中には、このように思っている方もいるでしょう。「コンテンツが重要なのはわかったけど、そこまでいくつもコンテンツを作る余裕がないよ」と。

実際、私たちアクシスでも、リソース不足という壁にぶつかりました。時間があまりない中どのようにコンテンツを作るか悩んだ結果、1つのコンテンツをアレンジして他のコンテンツにも有効活用することにしました。

コンテンツの活用に大事なポイントは以下の2つです。

  • コンテンツをアレンジして新しくコンテンツを生み出す
  • 作ったコンテンツに集客する

それぞれについて説明します。

コンテンツをアレンジして新しくコンテンツを生み出す

私たちアクシスでは、まずオンラインセミナー(ウェビナー)から始めました。オンラインセミナーの良いところは、期限があることです。日程さえ決めてしまえば、当日までにスライドは完成します。そして当日のセミナー内容は、すべて録画しておきます。

録画したセミナーは、それ自体をオンデマンド視聴として見られるようにします。YouTubeのプレミアム配信であれば、特定の日時から視聴できるようになるため、配信開始時刻に合わせて視聴してくださる方が増えます。これにより、歩留まり率やアンケートの回収率も高く維持できました。

また、セミナー後はスライドをホワイトペーパー(お役立ち資料)にします。セミナースライドは、どうしても情報量が少なくなりがちです。そこで私たちの場合は、セミナーの録画を見ながら、スライドだけではわかりづらい部分に加筆していきました。

さらに、セミナーの内容をブログ記事にもします。「ブログ記事を書こうとすると、手が止まってしまう」なんて方も多いと思いますが、セミナー録画があれば一から書く必要もありません。録画を見ながら、セミナーの要点をまとめていけば、記事が1本完成するのです。

このように、オンラインセミナーを起点として、コンテンツを効率よく増やすことができました。

作ったコンテンツに集客する

次は、作ったコンテンツへの集客です。ここまで手間暇かけてコンテンツを考えてきましたが、コンテンツはお客様に届いてはじめて意味があります。だからこそ作って終わりではなく、コンテンツに集客することが重要です。

私たちアクシスの場合、ブログ記事の下部には、お役立ち資料のダウンロードページへのリンクを貼ります。そして、ダウンロードページでは、メールアドレスなどの情報と引き換えに、お役立ち資料がダウンロードできるようにしました。

またWeb集客においては、まだまだメールマガジンも有効な手段です。Web施策で獲得したリードや、名刺交換した方などに対して、「〇〇といった資料を作りました」や「〇〇に関する記事を公開しました」といった文面を作り、そのURL付きで送ります。

メールマガジンには、できれば資料や記事の内容のあらすじを文面に書いておきましょう。すると、興味を持った方がURLを辿って、資料をダウンロードしたり、記事を読んだりしてくれるようになっていきます。

おわりに

今回は、コンテンツの作り方を中心に他のコンテンツへの活用法を紹介してきました。コンテンツがあれば、SNSや広告、展示会、広報・PR活動、商談の場など多数のタッチポイントでもさらに有効活用できます。地方では、紙に印刷して商談時に持っていくことも有効です。

コンテンツは作って終わりではなく、きちんとお客様に届いてはじめて意味のあるものになります。コンテンツを作る際は、ぜひどのように届けるかまでセットで考えておくと、最大限の成果を出せるはずです。

次回は、マーケティングオートメーションの活用について紹介していきます。ぜひお読みください。

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