マーケティング分野でこれから対応すべき技術面・法律面での変化とは?
2022年4月に改正個人情報保護法が施行されたばかりですが、法律面・技術面で毎月のように内容が更新されています。
例えば、7月に発表されたGoogle ChromeサードパーティCookieの利用制限延長や、Android向けプライバシー サンドボックス導入、来年施行される予定の改正電気通信事業法、それ以外にもさまざまな変化が想定されています。
この記事では、現時点で予定されている技術面・法律面での変化を紹介していきます。
技術面での変化
もっとも影響が見込まれるChromeブラウザのサードパーティCookie規制
Chromeのプライバシー サンドボックス一般公開が、2023年からさらに2024年に延期されました。
プライバシー サンドボックスは、サードパーティCookieに代わるターゲティング広告の仕組みです。
毎年リリースが延期されているため、今後もリリースのスケジュールが変更される可能性はありますが、技術面での変化としては、もっとも大きな影響があるのではないかと言われています。
すでにSafariやMicrosoft Edgeなどは今の段階でもターゲティング広告が打てないことを考えると、ブラウザ規制の最終段階とも言える変化です。
今の時点でもiPhoneの利用者が多い日本では、ブラウザにおけるサードパーティCookieの利用は限定的になっているため、影響を受けている企業も多いと思われますが、最後の大きな波になるのではないでしょうか。
アプリマーケティングの領域において、ターゲティング・トラッキングで変化が見込まれるAndroid向けプライバシー サンドボックス
2021年4月、iOSアプリに適用された「AppTrackingTransparency」(ATT)と同様の変化がAndroid向けプライバシー サンドボックスのリリース(2022年末)で起こると言われています。
まだ、内容については確定していないのですが、Androidでも広告IDを利用する際に、ユーザーからのデータ利用の同意取得を必須化するように変更がされるのではないかと見られています。
もしATTと同様の変更が行われると、GAFA系の媒体を含む多くの媒体で、アプリマーケティングにおけるターゲティング広告やトラッキングの効果が悪化するなど、大きな影響があると思われます。
ブラウザのサードパーティCookieの利用制限と同様に、今までできていたことの大半ができなくなると想定し、影響の少ないマーケティング手法の代替案などを検討しておく必要があるでしょう。
考えられるその他の変化について
SafariのITPでは、サードパーティCookieやデバイスID以外にも、ターゲティングやトラッキングに使われているIPアドレスなどのデータや、より深いユーザー情報であるコンバージョン情報に対する規制も進んでいます。
同様に、Android向けプライバシー サンドボックスの中にも、IPアドレス規制やコンバージョン情報に関する規制が含まれています。これにより、位置情報や地域、法人IPアドレスに関するターゲティングやトラッキングができなくなる見込みです。
ターゲティングに使われている情報という意味だと、広告が表示されるメディアの情報やメディアのファーストパーティデータなど、残されている情報もありますが、これらも将来的には使えなくなるかもしれません。
悲観的なことばかりを考えてもしかたがありませんが、技術面での変化への対応は、常に準備しておく必要があるのではないかと思います。
法律面での変化
まだまだ対応ができていない会社も多い改正個人情報保護法
2022年4月に施行された改正個人情報保護法ですが、まだ対応できていない会社や、データ活用の幅を広げるために、ユーザーからの同意取得や追加データ取得の準備を行う必要がある会社も多いのではないでしょうか。
こちらに関しては、法律面でどのような対応や準備をすればいいか、すでに対応方法が明確化されつつあります。適切な専門家からアドバイスを受けながら対応すれば問題ありません。
来年予定されている改正電気通信事業法
次に法律面で対応が必要なのは、来年6月に施行が予定されている改正電気通信事業法です。
改正法では新たに、Cookieに関する規律が追加されました(第27条の12)。オンラインサービスを運営する事業者は、Cookieや同様のテクノロジーを利用する際に、関連情報を事前に公表するか、事前に利用者の同意を得るか、事前にオプトアウトを受け付けるかが義務づけられています(「改正電気通信事業法によるCookieに関する規律の概要と日米欧中比較」「電気通信事業法改正によるCookie規制を弁護士が解説」参照)。
こちらについては、何についてどのレベルで対応すればいいかというのが決まりきっていない状態ですが、データを収集される対象者に、データ内容や収集方法を明示しなくてはならなくなると言われています。
昨今ではユーザーの方でも、企業のプライバシー保護体制(プライバシーガバナンス)に対する関心が増しています。法律面での対応だけではなく、ユーザーとのコミュニケーションを意識する必要があるという意味では、今の時点からプライバシーガバナンスについて定期的に考えていくことが必要なのではないでしょうか。
法律面でのその他の変化
現時点では、アドテクノロジーの領域を中心に法律の整備などが行われています。視点をデータ活用に広げていくと、さらにさまざまな領域でデータ保護に対する関連法が整備される可能性があります。
個人情報保護法や電気通信事業法だけではなく、関連しそうな法律や周辺の法律に関しても、視野を広げて情報収集をしていくことが重要です。
データ活用に関わる変化全般について
データ活用については、技術面・法律面でこれからもさまざまな変化が生じます。
DMP分野で10年近く事業を行っているインティメート・マージャーとしては、ここ2、3年の変化は目まぐるしかったと感じる一方で、技術面・法律面でかなり整備されたように思われます。
変化への対応にも慣れてきた感もありますが、今後は変化することを前提にデータ活用を検討してくことが、この領域では重要なのではないかと思っています。
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