データ活用革命のヒント

広告配信の最適化シグナル取得率が低下! どのように対処すべきか?

国内の最適化シグナル取得状況と、それを補完する方法を紹介します。

近年のデジタルマーケティングにおいて、広告の配信効果を向上させるには、最適化シグナル(配信の最適化に用いる情報)を配信ツールにどれだけ提供できるかということが重要になっています。

従来、最適化シグナルの収集には、サードパーティCookieなどが多く使われていましたが、今後はCookie規制などによって利用が制限されるため、異なる方法を検討していく必要があります。

一方で、最適化シグナルが取れなくなることで、どの程度・どのようなターゲット層に影響があるかがわからないため、シグナルの補完に取り組むことができない企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、国内での最適化シグナル取得状況から、どのような層で最適化シグナルが取得できなくなっているか、それを補完する方法についてご紹介します。

最適化シグナルの取得状況

国内においては、最適化シグナルの取得率が減少しており、すでに過半数のブラウザにおいて最適化シグナルが取れていません。

※ここで言う最適化シグナルは、サードパーティを活用して収集されるデータを対象としています。

下のグラフは、ここ3年、インティメート・マージャーで取得している「国内のブラウザにおける最適化シグナル取得率の推移」です。

国内のブラウザにおける最適化シグナル取得率の推移(2019年10月~2022年3月)

SafariのITPや、Microsoft EdgeにおけるサードパーティCookieの取得制限の影響によって、2019年10月に6割以上取れていた最適化シグナルが、2022年3月には4割程度まで減少しています。

下図は、Webサイトの規模(月間PV数)と最適化シグナルの取得率をプロットしたグラフです。インティメート・マージャーのDMPタグが導入されている2700サイトを対象に調査しました。

最適化シグナルの取得率(平均41%)

最適化シグナルの取得率は、平均で41%程度。最適化シグナル取得率は大規模サイトで低い傾向があるため、広告予算が大きな会社ほど最適化シグナルが取得できなくなる影響が大きいと考えられます。

最適化シグナルが取れていないターゲットの特徴について

最適化シグナルの取得状況を、ターゲットの属性ごとに見てみましょう。性別、年齢、収入、職業ごとにまとめた下のグラフをご覧ください。

性別、年齢、収入、職業ごとで見た最適化シグナルの取得状況

青で塗られた部分が、最適化シグナルが取れているターゲットの割合。赤い点線の部分が、最適化シグナルが取れていないターゲットの割合です。

最適化シグナルが取れていない割合の大きいターゲットは、大きく分けると2つに分かれています。

1つ目は、若年層(主に女性)です。いわゆるZ世代(2022年時点で10代から20代前半)と言われる層はiPhoneの利用者数の割合も多く、現状取得可能な最適化シグナルを利用したターゲティングが難しくなっています。

2つ目は、年齢が高め・世帯収入の多い層です。さまざまな商品やサービスにおいて魅力的なターゲット層ではありますが、現状の施策ではターゲティングが難しい層になっています。

次に、ECサイトにおける最適化シグナル取得状況と売上の相関についても紹介しておきます。下図は、ECサイトの売上(購買回数、購買単価)と最適化シグナル取得可否の関係を表したグラフです。インティメート・マージャーのタグが設置されている600のECサイトを対象に調査しました。

ECサイトの売上(購買回数、購買単価)と最適化シグナル取得可否の関係

現状でも、「シグナル取得否のブラウザ」による商品購買回数・購買単価は「シグナル取得可のブラウザ」と比べて高い傾向が見られます。シグナルが取得できない顧客をターゲットにしたターゲティング広告は、ECサイトの売上を伸ばすためにも有用な施策だと考えられます。

最適化シグナルが取得できないターゲット層への対処法

最適化シグナルが取得できないターゲット層への対処法は、現在大きく分けると2つの方法があります。

1つは、最適化シグナルが取得できないターゲットの情報を補完して、プラットフォームが提供している「コンバージョン計測用API」にアップロードする方法です。

この方法は、Facebook(Conversion API)やGoogle(Enhanced Conversion)など、各プラットフォームがサービスとして提供しています。サードパーティCookie以外のさまざまな情報をアップロードすることによって、今まで実施できていたマーケティング施策を補完したり、媒体のコンバージョン拡張機能などを利用したりすることができます。すでに利用している企業も多いかと思います。

もう1つは、サードパーティCookieが利用できない層をターゲットにした「ポストCookie対応サービス」を利用する方法です。これらも各社からさまざまなサービスが提供されつつあります。

どのようなサービスを選べばいいかは、一概には言えません。自社のターゲット顧客を定義し、シグナルが取得できない層を抽出し、そこへリーチする施策を実行できるサービスを選択する必要があります。

まとめ

本記事では、国内における広告配信最適化シグナルの取得状況と、ターゲットの特徴、ターゲットへリーチする方法を紹介しました。

Google ChromeのサードパーティCookieの取得制限は、2024年後半まで伸びてしまいました。しかし現在すでに、デジタルマーケティングの各種施策の効果が下がっていたり、獲得できるターゲットに偏りが出てきたりしているなど、影響を受けている企業も少なくないと思います。

オーディエンスデータの取得を取り巻く状況は今後も流動的です。デジタルマーケティング施策の効率を向上させたいのであれば、シグナル取得状況を定期的にチェックしてみることをおすすめします。

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