SEOやるなら、読んでおきたい!「本質」がわかり、「応用」ができる7冊!
初心者にオススメの書籍を業界の識者に教えてもらう本連載。今回は、SEO(Search Engine Optimization)に強くWebコンサルティングサービスを提供するJADE 代表取締役社長の伊東周晃さんに、SEO初心者に役立つ書籍を教えてもらった。
*写真:永友ヒロミ
初心者SEO担当者にオススメ! SEOの基本をおさえる2冊
SEOの認知度は29%。そんな調査結果が話題になったのを覚えているだろうか(「セオ」ってなに? SEOを認知・理解している一般人は29%に留まる【STRATE調べ】)
Web担当者やWeb業界以外の人にとっては、SEOを意識することはほとんどないだろう。しかし、急にSEO担当を命じられてしまったら、「そもそもSEOってなんだ?」「何をやればいいんだ?」というところから始めなければならない。そこで知っておきたいのが、Googleが公開しているSEOに関するドキュメント類だ。
伊東さんは、「初心者に限らず、すべてのSEO担当者の拠り所になるものが、Googleがインターネット上に公開しているドキュメント類」だという。Google検索セントラルには、初心者から上級者向けまで、SEOに関するドキュメントや最新情報がまとまっている。
- Google検索セントラル
https://developers.google.com/search/docs?hl=ja
しかし、ドキュメントの量が膨大なので、初心者がすべて読みこなすには骨が折れる。そこで伊東さんが1冊目にオススメしてくれたのが、次の書籍だ。
- 1冊目:『10年つかえるSEOの基本』(土居健太郎:著 技術評論社:刊)
SEO理解の基本中の基本にあたるので、最初に読むのに最適だ。
この本の初版は2015年。現在2022年なので7年経ちますが、10年以上使えるのではないかと思える内容です。SEOの内容について、対話形式で噛み砕いて説明してくれています。SEOに配慮しながらコンテンツを作成するときのバイブルになりそうです(伊東さん)
世の中にはブログ、ニュースサイト、ECサイト、サービスサイトなど、さまざまなタイプのWebサイトがある。ECサイトであれば、膨大な商品があり、商品1つにも色違い、サイズ違いなどがある。また、ニュースサイトなら、1日に何百記事も新規公開されている。1冊目の書籍には、こうしたWebサイトのタイプの違いによるSEOについては詳しく踏み込んでいない。そこで参考になるのが次の本だ。
- 2冊目:『いちばんやさしいスマートフォンSEOの教本 人気講師が教える検索に強いスマホサイトの作り方』(江沢真紀、コガン・ポリーナ、井上達也:著 インプレス:刊)
本書では、実際のWebサイト制作において、サイトのタイプ別に配慮すべきポイントを画面を示しながら詳しく説明している。スマートフォンを前提として書かれている点もありがたい。「実務的な面での基本になる書籍だ」と伊東さんはオススメの理由を説明してくれた。
検索エンジンの仕組みを理解して、必要な対策を講じるための2冊
SEOの基本を理解できたら、より本質的な対策ができるように知っておきたいのが「検索エンジンそのものの仕組み」。そのために紹介してくれたのが次の3冊目と4冊目になる。
- 3冊目:『検索エンジンはなぜ見つけるのか 知っておきたいウェブ情報検索の基礎知識』(森大二郎:著 日経BP:刊)
SEO担当をしていると、自社のページが意図したキーワードの検索結果に表示されないという経験をしたことがあるだろう。その原因を追及できるようになるためにも、検索エンジンの仕組みを理解しておくことが大切になる。
検索エンジンの仕組みはブラックボックスに思われがちです。この書籍では、いわゆる一般的な検索エンジンというものがインターネット上にある情報をどう見つけて、内容を理解して、データベースに格納するのか、そしてユーザーがキーワードを入力したときにどのような考え方にもとづいてランキングを返すのか、一連のプロセスを解説しています(伊東さん)
本書を読めば、検索エンジンが自社のURLを見つけていないのか、あるいは、見つけていてもコンテンツの中身を理解できていないのかなど、結果に表示されない原因に対して、筋道を立てて考えることができるようになるという。
検索結果に表示されないときに、闇雲に手を動かして遠回りするのではなく、プロセスのどこにボトルネックがあるのか、解明しながら対処するための思考ができるようになります。Googleに特化した内容ではないですが、検索エンジン側の論理を理解できる1冊です(伊東さん)
- 4冊目:『Webのしくみと応用〔改訂版〕(放送大学教材)』(森本容介、伊藤一成:著 放送大学教育振興会:刊)
4冊目は、放送大学のテキストとして利用されている書籍になる。JADEでも、インターネットの技術的な部分の基礎知識を身に付けるために、新入社員に推奨している。
例えば、ブラウザにWebページが表示されるまでの間にサーバーとパソコン・スマホの間で、どういうやり取りが行われているのかを理解していると、SEOの技術的な側面についてより深い理解ができます。Webサイトの制作や運用においても役立つと思います。ぜひ先ほど紹介した3冊目の書籍とセットで読んで、網羅的に理解を深めてほしいです(伊東さん)
Googleという会社を理解して、SEOを深く理解するための3冊
さらに、Googleという会社の成り立ちや考えについても理解しておくと、SEOが必要な理由がわかってくる。次に紹介する2冊の書籍が出版されたのは2005年、2006年とやや古いが、Googleの創業者が何を目指して会社を作ったのかがよくわかる。
- 5冊目・6冊目:『ザ・サーチ グーグルが世界を変えた』(ジョン・バッテル:著、日経BP:刊)・『Google誕生 ガレージで生まれたサーチ・モンスター』(デビッド・ヴァイス、マーク マルシード:著 イースト・プレス:刊)
この2冊の本によって、Googleがそもそもどのように誕生したのか、Googleの創業当時の社是「Don’t be Evil(邪悪になるな)」が現在、どのように受け継がれているのかなど、Googleという会社の考え方を深く知ることができる。
Googleの主たる収益源である広告事業が、自然検索結果をゆがめることがないように厳密に管理されているのもこの社是の精神のあらわれの1つだろうと思います。この本には、検索連動型広告を始めたときの創業者のためらいも描かれていて興味深いです(伊東さん)
- 7冊目:『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』(ちくま新書)(梅田望夫:著 筑摩書房:刊)
5冊目と6冊目よりも、もう少しやわらかく、また幅広くWebについて理解するのに役立つのがコンサルタントの梅田望夫さんの本だ。出版された2006年当時ベストセラーとなった本で、本書を読むと、GoogleのWebサービスのルーツを探ることができる。
Web2.0といわれていた頃の話が熱量高く語られているが、伊東さんがなるほどと思ったのは、「Googleはコンピューターメーカーなんだ」という話だという。
Googleは、世界中の人からの検索要求に対して素早く結果を返すために、高性能だが高価なサーバーではなく、安価なコンピュータを大量につなげた独自の仕組みを構築することで他の追随を許さないコスト競争力を有するようになったことが述べられています。「ページランクなどの検索アルゴリズム」が注目されがちですが、「コンピューターメーカーとしてのGoogle」という見方は新鮮な気づきでした(伊東さん)
余談だが、著者が将棋好きでもあることから、将棋の棋譜をネットを駆使して研究することがポピュラーになりつつあった状況の話の流れで、羽生善治氏の話も紹介されていた。
将棋のレベルをもう一段階上げるには、ブレイクスルーが必要だと当時の羽生さんは話していますが、実際にブレイクスルーしたのがネットを活用して力をつけた藤井聡太五冠ではないでしょうか。書籍が出版されてちょうど10年後の2016年、藤井五冠がプロデビューしていることなどを考えると感慨深いですね(伊東さん)
ネットで収集できる最新SEO情報
ネットで収集できるSEO情報の入手先を聞いてみたところ、やはり一番はGoogleの公式のアナウンスやガイドラインだ。先に紹介したGoogle検索セントラルを定期的にチェックするとよい。初心者は以下を必ず見ておこう。
- 検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド
https://developers.google.com/search/docs/beginner/seo-starter-guide?hl=ja
Googleが発表する最新情報をチェックするのは難しいという方には、Web担当者フォーラムで連載中の鈴木謙一さんの「国内&海外 SEO情報ウォッチ」がオススメだ。
- 海外&国内SEO情報ウォッチ
https://webtan.impress.co.jp/l/3723
2週間に1回、最新のSEO情報をまとめて紹介してくれています。それぞれのトピックに重要度を星の数で示しているのが特に良いですね。月に2回チェックしておけば、最新情報に追いつけます(伊東さん)
海外の興味深いケーススタディや情報を抑えたいなら、次のブログを読んでほしい。
- SEO Japan(アイオイクス)のブログ
https://www.seojapan.com/blog/
記事元に対して、ライセンス契約をして翻訳記事を掲載しています。内容が濃いのが特徴です。情報を得るには自分でオリジナルのニュースにあたることが一番ですが、新人はそこまでやる必要はなく、まずはこの3つを抑えるだけで十分でしょう。弊社も、情報発信にもっと力を入れていこうと考えています!(伊東さん)
新人SEO担当者に向けて、基礎知識を身に付け、さらに本質を理解するための7冊の書籍を紹介してもらった。変化の激しいSEO業界の最新情報を追っていくために、信頼性の高い3つのWeb情報も併せて参考にしてほしい。
伊東周晃 株式会社JADE 代表取締役社長 (Managing Director) / Chief Operating Officer (最高執行責任者)
1975年奈良県生まれ。2000年に株式会社NKB入社。2004年より東京メトロと共同運営する地域情報サイトの立ち上げ、運営に参加。2007年10月株式会社ぐるなび入社。「ぐるなび」を中心にSEO及びソーシャルメディア施策、ウェブ解析、コンテンツマーケティング、広告、広報領域の執行役員を務めた。
株式会社JADEのURL:https://ja.dev/
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